第48話 白石さんのフォローは3人で
「あの…今から資料作ります」
誰もが白石さんの言い訳に呆れてる中、雫が手をあげた。
「どれくらいでできる?」
「1時間半もらえれば…」
「わかった、まとめるの石木手伝ってやって。最終チェックは崎田に頼んで、出来次第連絡して。それまで別の件進めとくから」
「じゃあ、俺、課長にそれとなく言っとく。武史にも事情伝えとくわ。久高、本田にもフォローさせるから」
「ありがと亀。そういうことだから、みんな久高のフォローを頼む」
山下さんと亀井先輩が白石さんに目を向けることなく、その場を離れていった。いたたまれなくなった白石さんが部屋を出ていくと、雫と俺は資料作りに取り掛かった。
白石さんが大きな音をたてて部屋を出ると部署の空気がふっと緩くなった。渉と後からきた椿とで資料をまとめる作業をすぐに始めた。山下さんの資料は丁寧に書き込まれていて、わかりやすかった。佐藤先輩は、わかりきった所をはぶくクセがあるのでそれに慣れてる私には山下さんの資料は新鮮だった。
「渉、椿、書類見てもらっていい?」
「えっ、もうできた?早くない?1時間たってないよ」
「うん、なんかわかりやすい資料だったから…」
「じゃあ、半分ずつチェックでOKだったら、崎田さんところに持っていこう」
なんとか崎田さんにOKをもらって、急いでコピーをして、渉が会議中の部屋に持っていった。
「っていうか、さっき渉に聞いたけど、あいつ雫に罪被せようとしたって言うじゃん!」
「…あ、ああ…罪って大げさだよ…でも、ちょっと怖かった…」
「だからくせ者なんだよ」
「たまたま椿たちと一緒に作業してたから良かったけど、そうじゃなかったら…私のせいになってたよね…」
「ま、言いくるめられそうな雫に目をつけた時点で悪どさ100%だから」
「気をつけろって当たってたな」
書類を渡して戻ってきた渉がぼそっとつぶやいた。
「へ?誰か言ってた?すごいね、よくわかってるじゃん!雫も言い返さないとだめだよ、わかった?」
「…うん」
「おかしいなと思ったら1人で考え込むなよ。先輩にも言われたろ頼っていいって」
「わかってるんだけど…今日は突然すぎて、何も言葉が出てこなかった…」
「あいつには極力かかわらないようにしないと」
「でも仕事って言われたら…」
「それでもおかしいと思ったら、先輩か俺たちに一応言って、そしたらフォローできるし」
「うん、そうする。ありがとう」
渉と椿の言葉で少し気持ちが落ち着いて、仕事をこなせた。白石さんは飛び出したきり、昼を過ぎても部屋には戻ってこなかった。
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