第41話 本田VS白石さん
「じゃあ、そのレッドアイで」
「トマトジュースが入ってますが大丈夫ですか?」
念の為にマスターが聞く。
「大丈夫です。私、美容のために毎朝飲んでますから」
「女子力アピール、怖」
「本田!」「椿!」
聞こえるように悪口を言おうとする本田を亀井先輩や雫が制御しようと名前を呼ぶと反発してベロを出した。そのまま黙ってる本田じゃないとわかってたからか亀井先輩が睨みをきかせてるとそんなのは物ともせず、本格的な爆弾を白石さんに投げつけた。
「白石さんって、結局佐藤先輩と山下さん、どっち狙いなんですか」
「なっ、何言ってんの?」
わかりやすく焦る白石さんを横目に当の本人2人は知らんふりを決め込んでいて、焦ってるのは俺と雫と亀井先輩だった。
「えー、意味わかんないんですか?狙う人は1人にしないとってことですよ。どっちつかずだとだめになりません?ほら二兎を追う者は一兎をも得ずって!」
「はぁ~?失礼じゃない?私がどっちにも振られるって言いたいの?」
白石さんと本田が取っ組み合いのケンカをしかねないので、急遽、亀井先輩と俺が一緒に本田をカウンターに避難させた。残った席には、白石さんと佐藤先輩と山下さんと雫の4人になってしまった。
「佐藤さんと山下さんと3人で飲めるなんて、すごく嬉しい」
テンションの高い白石さんが私をいないものとして話してる間、することのない私は目の前にあるお酒を飲むしかなくて…気づけばグラスが空になっていた。白石さんの無言の圧で、私を邪魔だと思ってるのはわかってた。でも移動したくても、カウンターの席が少なくて、私が座る席はなかった。
「おかわりどうする?ジュースかお茶にするか?」
佐藤先輩が私に話しかけると白石さんがにらんでくるので、会話を早く終わらそうと同じものをお願いした。置かれたモヒートに口をつけようとすると
「あんまり無理するなよ」
私に目線をあわせず、隣から山下さんの低い声が私の耳に届く。
「えっ、山下さん何か言いました?」
佐藤先輩に話しかけていた白石さんには、山下さんの声が聞き取れなかった。
「いいや、何にも」
すでに酔いのまわった私は、山下さんの言葉でいっぱいいっぱいだった。
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