第38話 慌てる佐藤先輩
山下さんが口にした内容にショックを隠しきれない佐藤先輩と亀井先輩が山下さんにいろいろ聞いていた。山下さんがどうして、白石さんのことを知ったのか気になるところだったけど、本田は白石さんの本性をみんなが知って上機嫌になっていた。
「椿…飲み過ぎだよ、大丈夫?」
「平気平気、なんかさー、あいつがやっぱりくせ者女だってことが証明されてスカッとした!嬉しくて何杯でも飲める!!」
「バカ!お前、それなくてもいつも何杯も飲んでるだろ」
「あー、バレたかー。渉はあんな性悪女に惑わされないようにね!」
勢いよくグラスの中身を飲む本田を雫が心配そうに見る。
「いや、お前、性悪女設定やめろ、仮にも先輩だぞ」
「だって、うちの彼氏取った女に超似てるし…あーやっぱり腹が立つ…雫!新しい恋に生きよう!」
「えっ、急になに…?」
「今度、合コンセッティングするから」
「…いや私は大丈夫だから…」
「ちゃんと良い人連れてくるから」
「そういうことじゃないって」
本田の大声に先輩達が反応して、こっちを向く。
「本田、お前の事情に久高を巻き込むなよ」
合コンと聞いて、佐藤先輩があわてて話に入ってくる。
「あー、巻き込むってなんですか。いくら雫の教育係とはいえ佐藤先輩にとやかく言われる筋合いは…」
これでもかと楯突こうとする本田を亀井先輩が止めた。
「本田、あんまり久高いじめんな。久高はお前に押し切られたら断れないのわかってるだろ」
「別にいじめてなんか…」
「無理強いすんなって言ってんの」
亀井先輩が隣にいる本田の頭をポンポンとすると口をへの字にして黙り込んでしまった。
「そんなに合コンしたいなら、俺の同期と合コンするか?」
「「はっ?」」「はい?」
亀井先輩の冗談とも本気とも取れる言葉に俺たちが驚いて声をあげる。
「文哉、からかうのそれぐらいにしたら?3人共、顔面固まってるよ」
山下さんの言葉に、亀井先輩と佐藤先輩が大笑いする。冗談とわかって俺と雫は苦笑いで本田はふてくされてた。佐藤先輩はホッとしたのか残っていたウィスキーを飲み干した。
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