第34話 白石さんの裏の顔
「ここだけの話だけどさー、白石っていろいろあったんだよ」
「そうみたいですね」
「佐藤さんや本社の同期のやつらは白石がひどい目にあったと思ってるんだよね」
「えっ、違うんですか?」
「まぁ実際、佐藤さんの取り巻きに注意されたりはしたらしいけど、それも服や爪が派手だったり、ボディタッチが多すぎるって理由で…」
「へー」
「白石、本気で佐藤さん狙ってたから同情してもらおうと思って、あることないこと言いふらして」
「えっ、それって…」
「そう、挙句の果てに佐藤さんの身辺探って近づこうとしてたの片岡さんにバレて」
「注意されたんですか?」
「いや、あいつ外面いいからさ、佐藤さんや同期の男たちに泣きついて、片岡さん悪者に仕立て上げたんだよ」
渉やそばにいた私も椿も酔いが一気に醒めていくのがわかる。
「片岡さんや取り巻き達も対抗して、白石のやってること言いふらしたら、余計に白石を守らないとって雰囲気になってさ…言えば言うほど片岡さん達が悪者になって、最後には佐藤さんが上に報告しようとしたんだ」
正義感の強い佐藤先輩ならあり得ることだ。
「…どうなったんですか?」
「焦ったのは白石だろうな、自分は大丈夫だから、もういいですって悲劇のヒロインぶってごまかして、まぁ白石の嘘に裏が取れるわけないから結局うやむやで終わったんだけど…」
「なんでそんなに詳しいんですか?」
「俺の彼女、白石の同期なんだよ。元々異性の前での態度と同性の前での態度が違いすぎて、更に白石のしたことを知ってる同期の女の子たちは関わりたくないって…」
「…」
「佐藤さんや同期の男たちもあのときの事を知ったら今みたいに白石のこと庇ったり優しくなんてできないと思うけど、俺達が何か言っても信じてもらえないだろうし」
立川さんの同期の人が帰るぞって声をかける。
「だからNYから戻ってくるって聞いた時は驚いたけど、前よりパワーアップしてるよ。狙いは今でも佐藤さんっぽいけど、山下さんにも色目使ってて怖いよ」
立川さんは、言いたいことだけ言うと同期の人たちとあわてて駅の方へ駆けていった。
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