第20話 戻ってくる人は要注意?
佐藤先輩の部屋におじゃましてから、2週間がたった。賑やかな関口さんや浜沖さん達の研修が終わって、会社はまた通常に戻っていた。佐藤先輩達は、プロジェクトが始動した中で、私達の面倒も見てくれていたので、目一杯忙しそうだった。
「佐藤先輩、俺達も何か手伝えることがあったら…って言っても役には立たないと思うんですけど…弁当の手配でもコピーでも何でもするので言ってください!」
少しでも何かできないかと渉と2人で先輩に言いに行く。
「ありがとう石木、久高も。そのうちお前達も会議の準備とか簡単な仕事手伝ってもらうようになるから、その時は頼むな」
「はい」「はい」
「あ、あと来週からプロジェクトの関係でNYから俺の同期ともう一人が戻ってくるから、総務行って席の手配しといてほしいんだ。ただ片岡が窓口だと思うから、石木お願いしていいか?久高は、関わらないでいいから」
あの件以来、片岡さんや他の女の先輩が雫に極力関わらないように気にしてくれていて、先輩がいない時は俺か本田がつくように言われてた。申し訳なさそうにする雫を置いて、総務へ行くと総務の課長と片岡さんが話をしていた。
「石木くん?もしかして佐藤くんに言われて?」
「はい、あの来週から来る2人分の席の手配をお願いしたくて」
課長が見ていた書類から顔を上げた。
「聞いてるよ、山下くんと白石さんね。片岡くん、2席手配で、プロジェクト終わるまでだから3か月ちょっとはかかるかな?手続きの準備よろしくね」
「はい」
「あと石木くん、今の部署だと空いてる場所ってあったっけ?」
「書類置いてる棚の前のところぐらいしか…」
「そうかー、石木くん、配置の件、課長と佐藤くんに考えといてもらっていいかな?配置は部署で考えるほうがいいと思うから、今週中に備品の手配済ませるから、それまでに早めでよろしく」
「わかりました」
課長が忙しなく立ち去ると、片岡さんがため息をついた。
「…あの子帰ってくるんだ…」
ぼそっとつぶやいた声が聞こえて驚いてると
「なに、ああ、手続きは心配しないでちゃんとしとくから…それより白石さんに気をつけてね」
「えっ」
「久高さんのことは…確かに私達が悪かったけど、白石さんのことは本当に違うのよ…あなたに言っても仕方のないことだけど…まぁ、彼女に会えばわかるわ」
片岡さんの言葉が気になったけど、とりあえず課長に言われたことを伝えて席に戻った。
「渉ごめんね…なんか気を使わせちゃって…」
「そんな気にしなくていいよ。それより佐藤先輩の同期の人ってすごい人らしいよ。佐藤先輩や亀井先輩もモテるけど、同じくらいかそれ以上だったって、他部署の人が噂してた」
「ふーん、そうなんだ」
「気にならない?」
「なにが?」
「モテる人!」
「うーん、特に…でも椿とか喜びそうだね」
「まあ、確かに…喜びそう、でも目の前の亀井先輩っていう男前無視ってどうかな〜?」
そんな他愛もない話をしてると終業時間になってて、あわててやりかけてある仕事を終わらすためにパソコンの前に座った。
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