第10話 がっつり飲み会です
あれから何事もなく過ぎて、関口さん達の研修も最終日になった。明日は祝日でお休みなので佐藤先輩が関口さん達と飲みに行くことになって、私達の同期4人も呼んでもらった。定時で仕事を終えて待っていると佐藤先輩が少し遅れるから先に行っといてほしいと言われ2人でロビーに降りると椿と阿部ちゃんが待っていた。
「あれ、佐藤先輩は?」
「少し遅れるって、関口さん達の研修に講師で出てるから一緒に来るんじゃないかな」
「椿は?亀井先輩に黙って来たの?」
「亀井先輩も講師で行ってるから、先行ってていいよって言われた」
「じゃあ、大丈夫じゃん、行こうー」
飲み会に張り切ってる阿部ちゃんを先頭に4人で会社を出た。佐藤先輩のセレクトしたお店は私達では絶対選ばないような高そうなお店で、店の前で誰が一番に入るかでかなりもめた。結局、じゃんけんで負けた阿部ちゃんと渉が先に入ってその後ろを椿とついていった。店内も通された個室もメニューもいつものお店とは違いすぎて、何も決められないままでいると佐藤先輩、亀井先輩、関口さん、浜沖さんがあらわれた。
「乾杯ー!」
亀井先輩の声でにぎやかにはじまった飲み会は、次の日が休みということもあって、みんな飲むペースが早かった。本田は、関口さんと阿部と飲み比べをしていて、佐藤先輩と亀井先輩は仕事の話なのか真剣で、俺と雫は浜沖さんがいた頃の本社の話を聞いていた。
「久高ちゃんも石木くんもラッキーだったよね、佐藤さんの下につけて。佐藤さんも亀井さんも、仕事できるうえに教え方も上手いんだよね。今はわかんなくてもあの人達と離れたあとにすごいなーってわかるよ」
確かに佐藤先輩も亀井先輩も仕事の量が半端ない上に俺たちの教育係もしていて驚かされる。
「本田ちゃんもケンカ多いらしいけど亀井さん無理なこと言う人じゃないから、慣れてきたらすごい仕事できるようになるよ」
「そうなんですね…あの…佐藤さんが教えてたもう一人の人って今は…」
「ああ、白石?なんか本社に居づらくなって支社に移ったあと、海外の支社に行ってる人の補佐って形で今はニューヨークにいるよ」
「えっ、ニューヨークですか?すごいですね」
「元々英語できる子で海外の希望もだしてたらしいから…どこの支社に行っても噂とかでいろいろ言われるの心配して佐藤さんが頼んだって聞いたよ。海外の支社の人、佐藤さんの同期だからね、頼みやすかったんじゃないかな」
「ニューヨーク支社の人って佐藤先輩の同期なんですか?」
「うん、佐藤さんや亀井さんと同じくらい仕事できる人でかなり早いうちからニューヨークに行ったって聞いたよ。名前なんだったかなー」
浜沖さんがその人の名前を思い出してると、本田が雫と浜沖さんの間に割り込んできた。
「雫助けて〜阿部ちゃんの惚気がうざい〜」
追いかけてきた阿部が俺の隣に移動してきた。
「なんだよ、本田が聞くからだろ」
「何、阿部彼女いるの?意外だな」
「亀井先輩、意外ってなんですかー!」
「石木は?」
「あっ、俺は今はいません」
「そうかー、それも意外だな」
「だから佐藤先輩も俺のことばかにしてるでしょ」
「いや、男らしい石木よりあざとい系の阿部のほうがモテるということを今日知ったよ」
先輩たちにからかわれて、阿部が叫びながらビールを一気飲みして、自分でまたおかわりを頼んでた。
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