第7話 内輪の飲み会でしたっけ?
和やか?と言うべき食事会は、気づけば内輪の飲み会になっていた。それでも俺や雫は先輩の手前、口をつける程度で本田と関口さん以外は、シラフとほぼ変わりなかった。
「ねえねえ、久高ちゃん、彼氏は?いる?いるよね〜?」
「…いえ、いません…けど」
「うそ!マジ?ほんと、じゃあ俺立候補しようかな?」
「却下!」
「佐藤さーん、なんでですかー?」
「関口は無理だわ、俺が…!」
「え、なんで佐藤さんが無理なんすか!」
「このメンツでお前だけはない!」
捨てゼリフのように言うと佐藤先輩はビールを流し込む。
「佐藤さん俺に冷たすぎですって、まあそれだけ大事にしてるってことなんでしょうけど、過保護ですよ」
「いーなー雫、私も佐藤先輩が良かった」
「おい」
「あっ、やば」
本田があわてて雫の後ろに隠れる。
「俺を目の前にして、いい度胸だな」
「だったら、もっと優しくしてください」
「お前なー」
「いや、だから、話変わってきちゃってるじゃないですか」
ほぼほぼコントの2人と関口さんを見ながら、浜沖さんが大笑いしてた。
「本社は平和だなー、あれ?久高ちゃん?」
「ちょっとお手洗いに」
「そう、いってらっしゃーい」
入口に近い俺もいっしょに立って、2人でお手洗いに向かった。
「本田と亀井先輩、いいコンビだと思うんだけどなー」
「ホントだね。椿がちゃんと意見を言えてるんだから、それはそれで2人の関係は成立して…えっ」
急に立ち止まって、驚いてる雫の目線の先を見ると昼に会った片岡さんがこちらをにらんで立っていた。
「久高さん!どういうこと?プライベートでご飯なんて、私の言ってること、ちゃんとわかってるの?」
「あの2人とかじゃなくて…」
口ごもってる雫をさえぎって、前にでた。
「俺や本田、研修で来てる浜沖さんや関口さんもいて断れなかったんで」
「そういうことじゃないのよ。佐藤くんに必要以上に近づくから誘われるでしょん、それをやめてって言ってるの!久高さんわかってる?佐藤くんにあれほど近づくなって言ったのに…あなたもあの子と同じだわ」
「……それ、どういう意味?近づくなってどういうこと、片岡?」
「えっ!?あっ…亀井くん…いや、それは…」
俺たちも気付かないうちに亀井先輩が怖い顔で後ろに立っていた。
「片岡、久高に言ってた近づくなって、佐藤のことだよな?お前、何の権利があって、そんなこと言ってんの?仮にも教育係に近づくなって、何もできないだろ」
「…それは、久高さんが佐藤くんに色目を使わないように、注意しようと…」
「色目って、どういうのが色目?」
「だって、今日だってごはんに…」
「今日のごはんは、関口が佐藤を誘って、人が多いほうがいいからって、みんな誘われたって聞いたけど。それが色目って言うなら、正確には関口が佐藤に色目使ったってことになるけど」
「うっ…で、でも佐藤くんも嫌がってるし…」
「俺が何を嫌がってるって?」
「さ、佐藤くん…」
騒いでるのに気づいた佐藤先輩も部屋をでてきていた。
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