第6話 月曜の居酒屋
関口さんの選んだ店は会社から少し歩いたおしゃれな居酒屋で意外なチョイスに驚きながら席についた。
「後で2人増えるから」
佐藤先輩がメニューを見ながら言う。
「え、誰か来るんですか?もしかして女子ですか〜?」
わかりやすい関口さんの反応に笑いを隠せなかった。
「あれ?久高ちゃん、なんか俺、変なこと言った?」
「だから、お前久高に近い!それ以上近寄るな」
「佐藤さん、久高ちゃんに甘すぎですよ。石木くんもそう思うよねえ」
「そうか?石木もそう思うか?」
「あ、え、いや、そんなことは…」
急に話を振られて、どちらにも答えられず渉が苦笑いでごまかした。それを見てまた笑うと
「雫!お前他人事みたいに笑うなよ。少しはフォローしてくれ」
渉に怒られた。
「ごめんごめん。だって、佐藤先輩がわざと悪そうな顔で言ってるのがおかしくて」
言い訳して謝ってると佐藤先輩のスマホが鳴って、画面を見て電話をかけ始めた。
「あー、史哉、うん、連れが来るのは言ってある」
電話を切って、5分もしないうちに入口のほうからにぎやかな声が聞こえてきた。
「…なんで私が先輩とご飯食べないといけないんですか」
「だから、お前の知ってるやつって言ってるだろ」
「先輩の知り合いと食べても美味しくないでーす」
2人のやり取りを聞いてた佐藤先輩がおもむろに立って、個室の扉を開けた。
「お前らうるさい!人の迷惑考えろ、早く入れ」
私たちに気づいた椿が声をあげた。
「雫!渉!なんだー、2人がいるなら、そう言ってくれれば」
「お前が俺の話聞いてくれないからだろ」
「それは時と場合によりますって」
「はぁ~お前な」
「こんばんはー」
肩を震わせて、笑いをこらえてるみんなを見て、椿が軽い挨拶をする。
「遅れて悪い。関口久しぶりだな。浜沖は昼に挨拶に来てくれたのにすまなかったな、取り込み中で」
「あ、いえ…なんか亀井さんでもあんなふうに怒るんですね、俺の時声を荒げることとかなかったから」
「そうだな…ある意味…つわものだよ」
その一言に椿と亀井さん以外が大笑いした。
「ヤバ、おなかいた…ハハ…いいコンビだよ、お前ら。まあとにかく座って好きなの頼め。そのつもりで文哉も連れてきたんだろ」
しれっと私の隣に座った椿と、浜沖さんの隣に座った亀井さんが飲み物を頼んで品物がくると、ニコニコしながら椿がでっかいジョッキを持ってて、また笑った。
「椿、まだ月曜だよ、大丈夫?」
「これぐらい平気!!」
亀井さんが、大きなため息をついたのを見て佐藤先輩が背中をさすってた。
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