第2話 追放で即退場とか聞いてない

 場の空気はとても重い。


 人が死んだ。だから空気が重くなるのはしょうがないことなのかもしれない。

 でもここまでお通夜みたいな空気になるのっておかしくないか? いや、ほら、ここは剣と魔法の世界だ。息を吐くように人は死んでいく。今まで積み上げてきた数十年という年月を簡単に投げ出してしまう。そういう世界だ。

 死はさほど遠いできごとではない。身内が死んだ、ということなら話は別だが、ブラトに関しては身内ってわけでもないし。


 「リア様。質問してもよろしいでしょうか」


 エリスは囁く。

 こくりと頷き反応をする。


 「なぜ皆、絶望したかのような表情をしているのでしょうか。自分たちが狙われなかったと安堵してもおかしくない場面かと思いますが」

 「それは……たしかにそうかも」


 エリスの言っていることは一理ある。


 私やライアンが殺されていた可能性だって大いにある。最悪のシナリオを描かなかった。それを喜ぶ人が少しくらいいてもおかしくない。

 でもここに居る大人たちは虚空を見つめる。


 しばらくすると大人たちは重い腰を上げ始めた。

 そして神妙な面持ちで会話をし始める。

 だが内容はぐちゃぐちゃであった。

 はっきり言ってしまうと会話が成り立っていない。

 全体的に動揺しているのがわかる。


 たかがブラトが死んだだけでそんな動揺することだろうか。

 まぁ近衛騎士団長の長男が死ぬって、それなりに国の勢力図が変わるかもしれない。

 権力バランスが崩れるかもしれない。ウチを気にかけていたブラトが死んだことで、ウチの領地は後ろ盾を失い、不利益を被ることが多くなる……って可能性もありえる。

 それなら未来を憂うというのも理解できる。


 しかし、だ。

 だとしても、そこまで絶望に満ちた表情をするには足りないと思う。

 精々これからどうする困ったなぁ、程度じゃないだろうか。


 でもこの人たちは違う。

 このままだと思い詰めて自殺してしまうんじゃないかってくらいの絶望だ。絶望が溢れてのオーラさえ出てきてしまっている。


 「……とりあえず、リア」

 「はい。父上」

 「部屋に戻っていなさい。また後で呼び出す」

 「かしこまりました父上。お待ちしております」


 父親の指示に素直に従う。


 思うところがないと言えば嘘になる。


 でも、ここであれこれ抗って、好き勝手意見を出すというのはなんか違うなぁと思った。

 今でさえ酷く混乱しているというのに、私が口を挟むことで、その混乱はさらに酷くなるだろうから。

 別に場を乱したいわけじゃない。

 ならばここは素直に引くべきだ。そう判断した。


 「エリス」

 「はい、リック様」


 エリスはピシッと敬礼する。


 「リアお嬢様の護衛の任務、引き続き任せた」

 「承知しました。エリス・ルーベン、命に変えてでもリア様をお守りいたします」

 「いや、命は大事にしてね?」


 本能的に反応してしまった。

 私が生きていても、エリスが死んじゃうんじゃ意味がない。

 この世界で私が生きる理由はエリスが殺されないように守ることだから。


 「この命、リア様のためにありますので」


 エリスは真面目な顔でそんなことを言う。

 そうやって小さな頃から教えられ続けてきたから、人のために命を散らすのは美学。そう考えているのだ。騎士とは主のために死ぬべき、だと。

 『銀色の薔薇』のキャラクター設定集のエリスの紹介にそう書いてあった。

 素直にカッコイイと感動して、大好きだったのが大大大好きに変わった。だからその考えをありえないと一蹴するつもりはない。

 けど、それはそれ、これはこれ、であって。


 「エリスが死ぬなら私も死ぬからね」

 「それは困りますね……」


 エリスは苦笑する。

 なぜか私がわがままを言っているみたいな雰囲気になってしまった。

 解せない。

 今の私悪くないでしょ。むしろ真っ当なことを言ったのでは。


 若干不貞腐れながら、部屋へと戻った。






 部屋に戻る。

 自分の部屋だというのに落ち着かない。

 まぁそりゃそうか。

 私の部屋じゃなくてここはリア・フェルナンドの部屋なのだから。


 にしても、広い。

 だが広いだけである。


 ベッドは私の部屋にあったものの方が見た目も機能性も良い。

 この領地の資金繰りの厳しさを痛感してしまう。


 「リア様、私たちはなぜ外に追い出されてしまったのでしょうか」

 「なぜって……気遣われたんでしょ、多分」

 「気遣われた、ですか」


 あまり納得できていないようだ。


 「なにに気遣ったのかは知らないけどね。まぁグロい死体を見せつけないとか、混乱しまくって支離滅裂な情けない大人たちの姿を見せないようにするためとか、単純に疲労を考慮してくれたとか」

 「なるほど。そういうことですか。ですがあの人たちはそこまで優しいのでしょうか」

 「優しいでしょ、多分」


 正直知ったこっちゃない。

 内面を知るほど関わっていないから。


 「それよりもさ、二人っきりでもこんな感じなんだ」

 「……?」

 「口調とか」

 「いつも通りじゃないですか。それに馬車の中でも申し上げた通り――」

 「あー、わかってるよ、わかってる」


 期待した私が馬鹿だった。


 いや、待てよ。


 「エリスは私の騎士なんだよね?」

 「はい。わたくしはリア様の騎士です」

 「私に仕えてるんだよね?」

 「リア様にお仕えしております。今、ここで死ねと仰られるのでしたら全力で切腹いたします」

 「仰らないし、切腹いたさないでください」


 こんなので自死されてしまったら困る。

 私の努力はなんだったんだって、さっきの大人たちよりも酷い死に顔を浮かべてしまうところだ。なによりもエリスがこのタイミングで死んでしまったら私のお先は真っ暗闇だし。


 「じゃなくて」


 将来を憂いたかったわけじゃない。

 むしろ私の思い描く未来に近付く一歩を踏み出そうとしているのだ。


 エリスにタメ口を使わせる良い作戦だ。我ながら良く考えたものだと感心する。


 「エリ――」


 彼女の名前を呼んだその時、私の部屋にノックが響き渡る。


 「はい、どうぞ」


 と、中断して反応する。


 扉が開く。

 扉の奥にはメイドが一人いた。さっきの部屋にもいたメイドである。


 「父上が呼び出した感じですね」

 「その通りでございます。準備ができましたらお声掛けください」


 準備と言われても。特に準備することなんてない。


 「じゃあお願いします」


 立ち上がってぺこりと頭を下げる。

 彼女を先頭に私とエリスはさっきの部屋へと戻った。





 さっきの部屋へと入る。


 重々しい雰囲気は消えてなくなっていた。

 代わりに強固な覚悟のようなものがひしめいている。


 「ただいま参りました、父上」

 「ふむ、良く来た。我が娘よ」


 歓迎された。大が付くほどに歓迎された。

 これがなんにもない日であれば素直に受け入れられたはず。しかし、今日は違う。あの重々しい空気を知っている。

 だから違和感を覚えてしまう。

 これはおかしいって。


 訝しむ。

 しかし、考えたところでこの違和感を突き止めることはできない。


 エリスの父親であるリック・ルーベンも私の父親に負けず劣らずな覚悟が垣間見える。

 冷静沈着に周囲を見渡し、状況理解に努めようと思えば思うほど、違和感は大きくなっていく。


 「それではアレを用意しろ」


 父親は部下に指示を出す。

 指示を受けた部下はすぐにその場から立ち去る。


 しばらくすると、部下は戻ってくる。持ってきたのは魔法袋であった。


 魔法袋とはアイテムを収納することができるアイテム。青いネコ型ロボットが腹部に付けている四次元ポケットのようなものである。

 たしかこの世界において魔法袋は希少なものであったはず。

 『銀色の薔薇』のストーリーにおいてもアニメ版では出てこない。

 そんな希少アイテムと設定されている魔法袋をなぜ私に渡してくるのか。


 ぼーっとしながら受け取らずに固まっていると、父親はこほんと咳払いをする。

 遠回しではあったが、受け取れと言われたような気分になる。

 頑固じゃないので素直に受け取る。


 「これ、魔法袋ですよね」

 「そうだ」

 「たしか貴重なものであったと記憶していますが」

 「そうだ。ウチの領内では一つしか保有していない。他の領地に至ってはそもそも保有していないというところも多いだろう」


 それほどに貴重なものである、ということだ。


 「ならそんなものなんで私に? 持ってろと言われても責任持てないよ。無くしたら怒るでしょ」


 気まぐれで管理を任せようとしているのであれば、それはやめておいた方が良い。

 整理整頓とか五本の指に入るくらいに苦手なものである。


 「そろそろ本題に入る」


 私の嘆きはスルーされた。

 もう決定事項で覆ることはないらしい。

 そう悟ってなお抗うほど私は馬鹿じゃない。

 仕方なしに魔法袋を受け取った。


 それを見た父親は立ち上がり、周囲にいる兵士たちに向かって目配せをした。


 「リア・フェルナンド、エリス・ルーベン。そなた二人を我が領地から追放する」


 聞こえてきたのは想像を遥かに超える内容の言葉であった。

 私は驚きのあまりにぽかーんっと口を開ける。

 まさかの追放である。

 もちろんこんなの『銀色の薔薇』ではなかった展開だ。


 「な、なぜでしょうか。考え直していただけませんか。せめてリア様だけでもどうか」

 「ならぬ。追放は追放だ。これは決定事項であり、ここから覆ることは一切ない」


 エリスの懇願は一蹴される。

 もうなにがなんだかわからない。


 「父上、質問がございます」

 「認めん。その魔法袋を持って即刻我が前から消えるが良い」


 父親は部下に目配せをする。

 待ってましたと言わんばかりに部下は私たちへと近付く。

 底知れぬ恐怖を覚える。


 「リックさん……なにが、どうなっているんです? これ」


 エリスの父親に助けを乞う。

 目を合わせると、すぐに目を逸らされてしまった。

 無視だ。無視である。


 「……っ。貴様ら! これ以上リア様に近付くな。例え、仲間であろうともリア様に危害を加えようとするのなら、容赦しない」


 エリスは剣を抜く。

 穏やかじゃないセリフを吐く。


 「やってしまえ」


 リックさんは淡々と指示を出す。

 父親の部下はリックさんの指示の元、剣を持つエリスに向かって走り出す。

 多勢に無勢。いくらなんでも勝ち目がない。


 「……リア様のために死ねるのならば本望です」


 立ち向かうエリスは剣を鳴らし、やがて剣を落とす。そして力を失うように倒れてしまう。


 「エリス! ちょ、エリス……っ!」


 慌ててしまう。しょうがないだろう。守ると決めたエリスがこうもあっさり死んでしまいそうなのだから。


 「安心したまえ。無力化したまで。死んでいるわけじゃない。半日もすれば目を覚ますことになるだろう」

 「父上――」

 「リアよ、口答えは許さん」


 質問すら許してくれない。

 どうやら私は相当父親を怒らせてしまうようななにかをしてしまったらしい。堪忍袋の緒を切ってしまうようなことなにかしたのだろうか。心当たりがあるのなら仕方ないと割り切れるが、心当たりがないので本当に困る。


 「リア・フェルナンドよ。以後、オリオット領内に足を踏み入れることを禁ずる。余の前に姿を現すな。そして、フェルナンドの家名を名乗ることも禁ずる」

 「……」


 追放というか絶縁だ。


 無力化されたエルフは父親の部下に担がれ、外へ出されてしまう。

 そして私も両腕を掴まれて、無様に部屋から追い出されようとしている。抵抗すればそこそこ抗うことはできるはずだ。一応覚醒しているからね。

 でもそれは意味をなさないだろう。

 数分間抗うことができるだけであって、根本的な解決ができるわけじゃない。


 なによりも、エリスが外に出されてしまった以上、私だけがここに残ったって意味がない。


 突然追放された。説明すらない。解せないが、もう諦めるしかないのだろう。


 「リア、よ。生きるのだ」


 父親は悲壮感を漂わせている。今にも死にそうな顔で連れていかれる私を見る。扉の閉まる最後の最後まで、苦しそうな表情を浮かべていた。

 なんでそんな表情をしているのだろうか。なぜそんなにも辛そうなのか。

 そんな顔をするくらいなら、追放なんてしないで欲しい。


 廊下に出された私は壁に背を預け眠っているエリスを背負う。

 とりあえず外に出なきゃならないよな、と歩き出した。



 運良く、と言えるかは疑問だが、私にはこの世界の知識がある。ただの異世界転移や転生に比べればだいぶイージーモードだ。エリスを守ったせいでこの先の展開は全く読めないが。それでも世界情勢、周囲の領土、国、等の知識に関してはそこそこ頭に入っている。まぁこれらもエリスが生きたというターニングポイントのせいで大きく変化している部分があるかもしれないが。


 『銀色の薔薇』のストーリー的には王都へ向かう、という展開があった。

 ならば、向かう場所のない私たちは一度王都へ向かうべきだろう。

 というわけで、エリスを背負いながら、王都へ向かって歩いているのだ。


 あそこは日本で言うところの東京だ。

 なんでもあるので、暮らすには困らない。


 「そういや、魔法袋の中ってなにが入ってるんだろう」


 中身と魔法袋を売っぱらってしまえば、そこそこの資金を工面できるはず。

 場合によっては王都なんな行くのをやめて、どこかも知らない田舎でのんびりスローライフって選択肢もある。

 エリスと二人でスローライフ。悪くないね。



 オリオット最南の小さな町に到着した。

 この先は違う領主が治める土地となる。

 突き進んでも良かったのだが、エリスを背負っていて疲れたり、色々気になることがあったり、と休憩するタイミングに適していた。まぁ半日も歩きっぱなしだったし、仕方ない。むしろ良くここまでノンストップで歩いたな、と褒めてあげたい。


 エリスを一度下ろし、その隣に私も座る。


 魔法袋を取り出して、中身を漁る。

 手を突っ込むと、ゴツゴツと手のひらや甲になにかがぶつかった。


 「結構中身入ってるな……これ」


 縁切りの餞別、みたいなものだろうか。


 「なに入ってんだろ」


 うーん、なんて声を出しながら取り出していく。

 まず出てきたのは水だった。そして食料。生きるために必要不可欠なものが入っている。

 追放されたし、見捨てられたのかと思ったが、一応心配してくれているらしい。

 次に出てきたのは衣類である。出しても出しても出てくる。どんだけ積み込んでいるのだろうか。キリがないので、この辺りにしておこう。

 最後にお金。打ち出の小槌かってくらい次から次へと金貨が出てくる。果たしてどこにこんなお金があったのだろう。貧乏領主だったはずなのに。これじゃあまるで有り金全部突っ込んだみたいだ。もちろんそんなことはないはず。なにか悪事に手を染めたんじゃないかと勘繰ってしまう。


 「まさか、ね」


 アハハ、と乾いた笑いが出てくる。


 「んん……っ」


 笑っているとエリスが意識を戻した。


 「……リア様。申し訳ございません。どうやら敗北してしまったようです」


 周囲を見渡し、外であることを理解してから、頭を下げてくる。


 「いや、謝らないで。エリスはできる範囲で良くやってくれた」

 「それでも騎士として恥ずべきです」

 「騎士、ねぇ」


 ふと、思った。

 彼女はもう私の騎士とは言えないのでは、と。


 「どうかなされましたか?」

 「落ち着いて聞いてね」

 「はい」

 「父上と縁切りされたから、エリスも私に仕える必要はないんだよね、と思っただけ」


 エリスはオリオットに仕える騎士であって、その一環で私に仕えていた。

 故に私とオリオットの関係が解消された今、エリスが私に仕える必要はない。

 無理強いしているとは思っていない。彼女は私に仕えたくて仕えているというのもわかっている。奴隷を従えるアニメ主人公みたいに鈍感さを発揮したりはしない、が。私が嫌なのだ。騎士じゃなくて、幼馴染というもっと柔らかで親しみやすい関係が良い。

 だから、これを機に関係性を変えてしまおう。そう画策した、というわけだ。


 「リア様」


 エリスはグッと私の両肩を掴む。

 あまりの迫力に狼狽える。


 「私はなにがあろうともリア様にお仕えする騎士ですよ」


 真っ直ぐな眼差し。

 なんとなくそう言われることはわかっていたが、いざそう熱視線を送られると恥ずかしくなってしまう。

 推しにそんなこと言われて、平然を保てるオタクがこの世の中にどれだけいるだろうか。蕩けないだけ褒めて欲しい。


 「てか、動揺しないんだ。縁切られたんだよ。私もだけどエリスも」


 他人事みたいな反応だった。もしかしたら実際他人事だと思っているのかもしれない。

 それならなるべく早く現実を突き付けておきたい。

 後々になればなるほど堪えるだろうし。


 「仕方ないです。と、思うことにしました。簡単に受け入れられるものではありません。ですが、リア様に仕えた時点で私は死を覚悟して生きていました。いつ死んでも後悔しないように、と。ですから、突然のことで多少驚いたのは事実ですが、くよくよしたり引きずったり、そういうことはありません。明日を生きるために必要なのは悔やむことではありませんから」


 達観している。

 私が考えていたよりもうんと彼女は覚悟していたらしい。

 凄いね、凄いよ。






 宿場で一夜を過ごす。

 夜の間に旅を続けるというのは安全面に些か不安が残る。

 宿がある町で滞在が可能ならば滞在すべきだろう。それがきっとエリスを守ることに繋がるから。

 今日は色々あったし、色々した。

 はっきり言ってしまえば疲労困憊である。

 寝て起きたら、元の世界に戻ってしまうかもしれないな。


 「まぁお先真っ暗な異世界で生きていくことになるわけだし、元の世界に帰れるのならそれはそれで悪くないのかもしれない、か」


 別にこの世界の知識で無双できるわけじゃない。

 あぁ、でも、ダメだ。

 推しを守るって決めたから。こんなところで帰ってたまるか。


 突然見放されてナイーブになってしまっていた。

 良くない。

 睡眠は精神を安定させる。

 そう、だからさっさと寝てしまおう。




 起きて、旅立ちの準備をし、朝食をとる。


 冒険者たちが集う宿屋ということもあって、日が昇ったばかりなのに沢山の人が朝食をとっていた。


 「リア様、これからどうなされるおつもりですか?」

 「そうだね。とりあえず王都へ向かおうかなって」

 「王都ですか」

 「そ、王都に行っておけば潰しが効くかなって」

 「それはその通りですね。焦る必要はありませんし、ゆっくりと地盤を固めていきましょう」


 今後の方針を話し合っている中のことだった。


 とある冒険者の話が耳に入ってくる。


 「アルベルト家がフェルナンド家と戦争するらしいぜ。なんでも息子を殺されたから敵を討つんだとか。オリオット領もこれでおしまいだな。ま、元々栄えていた土地でもなかったし、アルベルト家が実権握った方が色々都合が良いんだろうな」


 血の気が引く。

 父親の目的を理解してしてしまったから、だ。


 「あの人、とんでもねぇー馬鹿じゃねぇーか」

 「リア様?」

 「エリス。父上たちは私たちを怒って嫌ったわけじゃない。逃がしたんだ。このままだと戦争に巻き込まれて死ぬか捕まるか、するから」

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