第9話 クリスタルの力
ドカーーーン…!!
扉が大きな音を立てて粉々に破壊され、モクモクと塵埃が舞う。
ウエンディとロイドの視界が奪われる中、銃声の音がした。
「げほげほっ…なんだ?…いたっ!」
クリスタルが銃弾に当たり弾け飛び地面に落下する。
「くっ…!何者だ!!」
視界が徐々にハッキリと見えるようになりウエンディたちは目を凝らした。
そこに居たのはーーー……
「お邪魔しま~す…と。やっぱり俺が登場しないと締まらないだろ?」
そう言いながら扉を大砲でぶち破って、銃をしまいながら登場してきたのはウィリアムズだった。
「おいおいおい、もう決着がついたのか?あら?ルヴァンとクラーンの姿が見えないけど…もしかしてやられちゃった?」
「なんだ!?いきなり扉を破壊して侵入してくるなんて!」
「一応お邪魔しますって言ったけど、てかそれよりさ、もう勝敗着いたのー?」
ウィリアムズは大きな声で喋りながら部屋の中央へと歩を進める。
「な、なんなんだ…っルイス!」
ルイスはウィリアムズの目の前に立ち塞がる。
「ん?俺はアンタと戦うなんてゴメンだぜ?おーい、ルヴァン!クラーン!
生きてるんだろ?ならとっとと起きろ、いつまで寝てんだぁ!」
と再び大きな声でルヴァンとクラーンに呼びかける。
ガラッ…
「うるさいぞ、ブレッド…私はとっくに目が覚めている」
「くっ…俺も、起きている…」
ウィリアムズの声に反応した二人は痛みに耐えながら、
のそのそと立ち上がりまだまだ戦えるという気迫を放っていた。
「ったく、ほらよ!受け取れ」
ウィリアムズはルヴァンに新たな剣を渡した。
「これは…」
「お前が昔愛用してた剣だろ?忘れちまったのか?」
「…いいや、フッ…」
愛用していた剣を再び手にしたルヴァンは薄っすらと口角を上げる。
ロイドは落ちていたチョーカーについていたクリスタルを手にする。
すると、クリスタルが眩いほどの光を放つ。
徐々にクリスタルが輝きを最小限に抑えつつも光を放っていると
ロイドに異変が起きた。
「うっ……くぅ…!」
ロイドの体に青いオーラが纏う、明らかに先程までとは違う様子に
さすがのルヴァンたちも身構える。
「ルヴァン、わかってるな?」
「あぁ…(クリスタルが反応した?おかしい…やはりあの人物は…)」
「クラーン様は俺に付いて来てください。あとこれを…」
「わかった」
ルヴァンたちは一斉に分散し、ルヴァンはロイド目掛けて突進する。
ウィリアムズとクラーンはウエンディに攻撃を仕掛ける。
「何人束にかかってこようと無駄さ!」
「同じことが通用すると思うな!」
ウィリアムズがウエンディの気を引いているうちにクラーンがウエンディの背後から剣を振り翳す。が、しかし影を纏ったウエンディに受け止められてしまう。
「くっ!」
「だから、言ったでしょ、無駄だってさぁあああ!」
そのまま投げ飛ばされるが、すかさず受け身の態勢を取るクラーン。
「へぇ~…」
それを見ていたウエンディはニヤリとほくそ笑む。
「俺は、シャルテを助ける!!」
「だったら、キミから先に居なくなってもらおうか!」
影はクラーン目掛けて襲いかかる。だが、そこでウィリアムズが待ってましたと言わんばかりに
ウエンディの背後に回り頭に銃口を突き付ける。
「くっ…!」
「クラーン様!」
身動きが取れなくなったウエンディに剣先を向けて走り出すクラーン。
「はぁああああ!!!」
ウエンディの胸に剣先が突き刺ささる手前で、先程ウィリアムズに手渡されたクリスタルの欠片が光を放つと、ウエンディの体から闇の力が抜けていくのを目視した。
完全に闇のオーラが体から消えたウエンディは力なく気絶してしまう。
ウィリアムズはウエンディを祭壇の下にそっと凭モタれかけさせる。
クラーンはウィリアムズにクリスタルの欠片を返し、
そしてすぐさま眠っているシャルテを抱きかかえ起こすと、目が覚めるシャルテに笑顔を向ける。
「こ、こは…」
「シャルテ!シャルテ!!良かった…本当に良かった…」
クラーンに抱き締められながら、徐々に意識をハッキリしてきたシャルテは
状況が呑み込めず慌てふためいた。
「ふぇ?ちょ、ク、クラーン!?何してっ!ちょっ、離れてっ!!」
クラーンを引き離しているとウィリアムズから声が掛かる。
「シャルテお嬢様、詳しい話は後ほどしますので、とりあえずアレを何とかしてください」
ウィリアムズの指さす方向に視線を向けるとルヴァンがルイスと未だ交戦中であった。
「な、なにあれ、誰?てか何でルヴァンはあんなにボロボロに…戦って…」
「これを、お願いします。あいつを助けてやってください」
今度はシャルテにクリスタルの欠片を手渡すとその欠片を握って、
シャルテはルヴァンのもとへ駆け寄った。
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