第2話

 コナン・ドイルは、三島由紀夫とヘミングウェイを診察した。そして、自室で回復させることにしたのであった。

「気が付いたかい。」

「ここは?」

「私の自室さ。申し遅れた。私は、コナン・ドイル。道端に倒れている君たちを見付けて、保護させてもらった。見たところ。毒に侵されているようだったので、私の能力で治療しておいた。」

「何から何まですまない。」三島はコナン・ドイルに礼を言った。

「私も王令で、ここまで来ている。気にしないでくれたまえ。」

「王令?」ヘミングウェイが尋ねた。

「そう。実は先ほどの場所に桜の木があっただろう?あれが、何本か枯れていたんだ。」

「それは、俺も見た。どうやら、柳田國男という、小柄な中年の仕業らしい。」

「とにかく、俺は柳田をとっつかまえる。雪辱を果たしたい。」

「2人の間に何があったんだ?」三島はヘミングウェイに尋ねた。


 ことは数日前。

「今年の力自慢大会は、ヘミングウェイが圧勝か...」

「へへっ。お前らが俺に勝つなんて100年早えよ。」すると、柳龍光が訪ねてきた。

「力自慢か...へえ。俺にもやらせてくれよ。」

「なんだあ。てめえ。飛び入り参加は禁止だ。それも日本人じゃねえか。負け犬民族はお呼びじゃねえんだよ。」取り巻きの一人が柳田をからかっても全く相手にしなかった。

「いいぜ。来なよ。」

「そうだな。こんなひょろがりに負けるわけねえ。」

柳田とヘミングウェイは手を掴み合った。腕相撲である。ヘミングウェイは約30年間一度も負けたことがなかった。

「はっけよい。残った!!」周りのギャラリーはヘミングウェイが瞬殺するものと思っていたが、勝負の結果は...

「な....ヘミングウェイが負けた...」

「俺らの大将が...」

「ふざけんな!インチキに決まってんだろ!!ぶっ殺せ!!」5,6人の漁師たちが拳銃や刃物で柳田に襲い掛かったが、見事に返り討ちにした。そして、

「じゃあ。帰るとするよ。」

「待てよ。俺との勝負がまだだぜ?」

「遠慮しとくよ。力の流れは大体わかったからさ。」そして、去ってしまったのであった。


「手あたり次第に声を掛けたってことは、他にも...」

「その可能性は高いな。」


一方そのころ、柳田は。

「この殺気ただモノではない。」

「ふふ。敗北を知りたいんだ。」

「敗北か....望み通り教えてやるぞ。」

柳田は男に襲い掛かった。だが、殴った感触は全くなく、押し返されるような感じであった。

「我が正拳をもって貴様を鎮めようぞ。」憤!!

柳田の内臓は破壊された。首の頚椎をそのまま握りつぶした。そして、柳田はそのまま消えていった。

「ありがとう。」


 次の日、目撃情報により、コナン・ドイルたちは柳田國男が消えたことを知る。

「これは、まずいことになった。犯人が死んだ。ではなく、消えた。となれば、その消した犯人を必ず、王様は許さないはずだ。」

案の定王様は、柳龍光を殺した犯人の捜索を命令した。

「犯人は文豪の中の誰かとなる。身長190㎝くらいの大男だと言っていた。しかも、能力を使わず素手で。となると。」

「何かお探しか。」

「やっぱり。犯人はあなただったか。こんなに早く犯人があらわるなんて、私の小説にはないのですがね。」

「何のことかな。」大男はコナン・ドイルに話しかけた。

「昨日。あなたは人を殺している。その証拠に、手にかすかな震えがまだ残っている。頚椎を破壊したという目撃情報を加味すれば整合性はとれる。」

「ははは。相変わらず。人を見るのが得意なんだな。」

「王令によって、あんたを捕獲しなければならなくなったそうだ。俺の仕事は捜索までだが、あんた相手だとそうも言ってられないみたいだ。」

「おもしろい。受けて立つぞ。コナン・ドイル。」

「コナン・ドイルさん。こいつは一体誰だ?」

「日本の若き人よ。教えてやるぞ。我が名はヴィクトル・ユーゴーだ。」

 三島は驚いた。となると、このごつい体に説明がすべてついてしまう。

「2人とも下がっててください。」コナン・ドイルとヴィクトル・ユーゴーの戦いの火ぶたが今切られた。

「しゃあっ!!」コナン・ドイルはストレートを繰り出したが、あっさりと、腕で防がれてしまった。そして、ヴィクトル・ユーゴーは前蹴りを喰らわせた。腕でガードしたが、胴体にダメージが入ってしまった。

「我と貴様では、天と地ほどの差がある。分をわきまえい!!」すると、ヘミングウェイが「一本釣りじゃあ」といって、腕を掴み、そのまま放り投げるが、地面に着地する前に手をほどき、一回転して、あっさりと足で着地してしまった。

「やるな。アメリカの若いの。名を聞いておこう。」

「ヘミングウェイだ。」

「今度会うまでに力を蓄えておけ。ヘミングウェイ。お前はまだ完全じゃない。」そう言って、ヴィクトル・ユーゴーは去ってしまった。

「くそ。いらない知識以外は全て完璧だと思ったのにな。」

「あいつは、誰にも勝てんさ。能力を全然出すつもりもなさそうだった。」

「あんたもそうじゃないのか?」三島がヘミングウェイに尋ねた

「いや、俺は”老人と海”の一部を発動している。一本釣りがその一つだ。あんたも怒って俺に”金閣寺”出したが、奥の手はまだ隠してあるだろ?」

「まあね。」

「先生は何であいつを知ってたんだい?」

「ある事件でね。そのあと、とんでもない大物になってしまったんだ。あと一歩、私が早ければ、あの男は怪物にならずに済んだのにな。」

「とにかく。俺はあいつを倒す。そのあとに三島!!お前の番だ!!」

「それはこっちのセリフだ。とりあえず、今日はジムに戻る。コナン・ドイル先生。奴が見つかったら、俺に連絡ください!!」

「いや、こいつにやらんでいい。俺にだけよこせ」

「はい。二人に連絡いたしますよ。」3人は解散した。


フランスにて。

「ルブランよ。久々だな。」

「逃げてこれたのか。ユーゴー。」

「ああ。お前の協力のおかげでな。」

「コナン・ドイルと手合わせしたそうだな。」

「少々戯れてやっただけのことだ。」

「次はどうするんだい?」

「奴が大きくなるまで、徘徊にでも行くか。」

「奴って?」

「アメリカの若いのに面白いのがいてな。」

「へえ。アメリカにねえ。」


そのころとある文豪の家では

「はじめまして、私の大切なものを渡せ?さもなくば、いただきに参上する。モーリス・ルブラン。あの有名なコソ泥か。絶対に渡さん。それに文章があいまいすぎる。所詮は作品だけの話か?”怪盗紳士”よ。」


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