文豪ストレイドッグス
@panchitaro
第1話
王様は、馬車に乗って庭園に向かっていた。毎年恒例の桜を見るためであった。
「今年もいい年が迎えられるといいな。」王様はそうつぶやくが一つの異変に気付く。一本の桜の木が、完全に枯れていた。
「この木は一体。誰がこんなことを.....」人災であることを見抜いた王様はすぐに家来に調査を命じた。
そして一人の家来がある男に協力を依頼する。
「王令だ。我が友人コナン・ドイル君」
「今度の依頼は?」
「桜の木が一つ完全に枯れているらしい。王様はどうやら、人災であるとお思いだ。」
「承知した。すぐに案内してください。」
三島由紀夫はそのころ、筋トレに励んでいた。とある男と戦うためであった。
「見ていろ、ヘミングウェイとやら。この受けた屈辱必ず...」先日は太宰治との死闘したばかりだというのに、次の戦いに向けてトレーニングを積んでいた。すると、レスト中に窓の外を見た由紀夫は一本の桜の木に....
「どうしました。三島さん。」
「あれを見てくれ。」三島は専属トレーナーに告げた。
「何ですか....これは」桜の木が見るも無残な姿に変えられていた。
「一体、誰の仕業なんだ」
王様に呼ばれた、コナン・ドイルは早速調査を開始した。コナン・ドイルは虫メガネを使って、桜の木を観察した。
「これは、毒によるものだな。それもかなりの高純度だ」コナン・ドイルは王様にそう告げた。
「犯人の目星はつきそうか」
「そうですね。犯人はおそらく、毒手使い。」
「ええ。我々異能力者と同じではありますが、性質が全く違います。これは、”中”のものの犯行ではないでしょうか」
「パンプアップは完了したか三島由紀夫。」
「ああ。準備万端ですよ。」ジムの中にヘミングウェイが入ってきたが、三島は外に出るよう促した。
「早速始めるか」ヘミングウェイの掛け声とともに、戦闘が開始された。先手を打ったのはヘミングウェイだった。三島の胴体にがっちりと捕まった。そのまま、ベアハグをしていったが、三島が腕力でヘミングウェイの腕をほどいていった。
「この間とは、力の加減が違うな。」今度は三島が右ストレートを繰り出した。が、ヘミングウェイはその腕を掴み
「へっ。一本釣りだ!!!」といって、そのまま三島を投げ、地面にたたきつけた。直前で三島は受け身を取ったため、顔面を打つことなく且つ背中のダメージは最小限で済んだ。本来であれば、粉砕骨折は免れなかった。
「柔道だな。今のは」
「外人のあんたでも、知ってるんだな。じゃあこれはどうだ!!」といって、ヘミングウェイの鳩尾めがけて、下段蹴りをくらわせた。見事に鳩尾に入った。
「これは、空手だな。さすがに対応できなかった。」
「こんなもんじゃないぜ!!」さらに、正中線連撃や廻し蹴り、正拳突きで、ヘミングウェイにダメージを与えていった。が、ヘミングウェイは左アッパーを喰らわせた。
「へへ。これは、ボクシングってんだ。そっちの国には伝わってないかい?」三島は顎にもろに喰らってしまったため、脳震盪、都合100回の振動が三島を襲った。
すると、後ろから小柄な中年男が声を掛けてきた。
「お二人さん。お楽しみ中かな?」するとヘミングウェイが、その男に襲い掛かった。すると、その男は、どこから出してきたのか....日本刀を出し、瞬時に鞘を抜き、ヘミングウェイの胴体に一太刀入れたのであった。袈裟斬りである。だが、ヘミングウェイの体には、傷はあるものの、出血はほとんどなかった。
「カジキマグロを取ったときに出す血は全部出したのさ!!」
「さらに、傷ついた部分は度重なる修復により、皮膚そのものが固い」
「何者だ。あんた。」
「柳田國男。ただの脇役さ。」”脇役”この言葉に三島は違和感を覚えた。
「三島由紀夫よ。この男。二人でかからないと厄介だ。」
「そのようですね。」そして、2人は柳龍光に襲い掛かった。
そのころ、コナン・ドイルは聞き込み調査を開始した。怪しい人影はなかったか。口をそろえて、皆「分からない」と言った。だが、異形のものがこのあたりに尋ねてきたのは明白だった。なぜなら、足跡が全く他のものと異なるからであった。
「この靴の形状は、この国にも、他の国にもないものだ。世界中の靴屋を回っても結果は同じだろう。」すると、長身の男がコナン・ドイルに話しかけた。
「靴。ですか。見たところ。珍しい形のようだ。」
「あんたは?」
「失礼。セルバンデスと申す。無謀な冒険家であり、夢想家でもある。」
「そんなことは、どうでもよいのです。何の用ですかな。」
「私も探し物をしておりましてな。その靴の男に興味があるのです。」
「これとあなたの探し物に何の関係が?」
「ええ。それと同じ型の靴を見かけましてな。何でも、その願いが特殊なんです」
「願い?」
「敗北を知りたいそうです。」
「敗北?」
三島由紀夫とヘミングウェイは、刀を持った柳田國男に、距離を保ちながら、攻撃を仕掛けていった。柳田が刀を下ろし切った刹那、三島はとび膝蹴りをくらわせ、後ろから、脊髄にヘミングウェイが肘打ちをした。柳が少しひるんだように見えたが、そんなことはなく、三島に正中線切りを行おうとしたが、
「真剣白刃取り。俺は剣術にも精通してるんだ。」そのまま、柳に下段蹴りをくらわせ、三島は刀を奪った。
「何が目的だ。お前。」ヘミングウェイは柳に問うた。三島は刃先を柳田に向けた。追い詰めたと言わんばかりであった。
「敗北を知りたい....」
「敗北....?」
「そうさ。俺は、元々死刑囚だった。死刑執行されるまで暇だったんだ。だから脱走した。顎と、右手を失ってたけど、脱走することは造作もなかった。殺してくれる人を探してたんだ!!だが、その時、光が差し込んだ。そして、馬に乗せられて連れていかれたんだ。そしたら、右手と、顎は治ってた。ああ。神様ありがとう。また俺は敗北を知れるんだと。そしたら、この世界では、文豪が強いそうだね。手あたり次第に声を掛けたよ。でも、君。弱かったんだもん。敗北教えてくれ無さそうだったもん」
「あの桜もお前の仕業か?」
「そうさ。能力があるか、確かめたかったんだ。試しに木を何本か枯らせてみたよ。この”毒手”でね。」
「毒手?」
「聞くより、試す方が早いよ」二人は理解した。追い詰めたのではなく、逆に追い詰められてしまったのであった。
「いくよ!!」柳田は腕を鞭のようにしならせ、2人にぶつけた。
「鞭打。という。」殺傷能力は低いが、痛みは絶大。そして、柳田は毒手を仕込んでいるため、すぐさま。
「肉が...しぼんでいく....」
「ふふ...じゃあね。」柳田は颯爽と去っていった。
コナン・ドイルはセルバンデスに質問をした。
「敗北を知って何になるというのです?」
「さあ。私には分かりません。ですが、何か事件を起こしているようなので、様子を確かめに来たのです。」
「それで、あなたの能力と言うのは?」
「”ドン・キホーテ”です。」
すると、持っていたステッキがおもむろに倒れた。
「あの方角に何かあったみたいだ。」向かった先にいたのは、倒れていた、三島由紀夫とヘミングウェイであった。
「やはりな.....」
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