陸山蓮太郎(29)

四肢がちぎれるような痛みで目が覚める。頭を持ち上げると、目にぬるい血が流れ込んできた。


何をしていたんだったか──そうだ。


依頼を受けたんだ。ここの交差点で異様な死体がいくつも出ているから、なんとか祓ってほしいと。


霊能者なんて言っても、俺は所詮見えるだけ。見えるだけの俺にできるのは、せいぜいが霊の気持ちに寄り添い、説得すること。それでも、今までなんとかなってきた。


でも、だめだ。ここの霊は、理屈が通じない。目的もわからない。


怨みや怒りで人を殺しているわけじゃない。


被害者にはまるで法則性がなくて、いくら調べても繋がりは見えなかった。


霊が顔の前にいるのがわかる。俺の顔に、圧力がかかる。


まるで、処理。やはり怨みや怒りは感じない。ただ、ちゃんと死んだか確認して、生きていたからやり直しているだけ。


意識が途切れる瞬間、わずかに感じ取れた感情は──


【付記】

7月3日、四肢と頭部が潰れた遺体で除霊を依頼した地元住民に発見される。

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