米良夏輝(7)

つうがくろには、すこしくらくてブキミなこうさてんがあって、そこにオオカミおとこさんがいます。


オオカミおとこさんは、ぼんやりしかみえないけど、えほんのオオカミみたいに、あかちゃいろのかおで、くちはみみまでさけています。


わたしがオオカミおとこさんにきづいたのは、みっかまえ。


わたしがおどろいてみつめていると、オオカミおとこさんもこちらをみつめてきます。


そして、「まだ」といいました。


そしてつぎのひもおなじことをいいます。


「まだ」


そして、つぎのひ、こういいました。


「あした」


わたしは、つぎのひ、こうさてんをとおらずがっこうにいきました。そして、かえりにおそるおそるこうさてんをとおり、おどろきました。


なんと、あさ、こうさてんで、じこがあったというのです。しんだひとはいないらしいですが、くるまがベコベコにへこんでいます。もしオオカミおとこさんが「あした」といっていなかったら、わたしはひかれていたかもしれません。


おれいをいわないと!


すると、めのまえにオオカミおとこさんがあらわれました。


わたしはそのかおをみて、はっとしました。


ちかくでみると、そのかおはオオカミなのではなくて、ぐちゃぐちゃにつぶれた、にんげんのかおだったのです。あごがかおのそとにとびでていて、はがじぐざぐにならんでいます。


うわぁ、すごくいたそうだな。


みてるだけでこっちまでいたく、いた、あ、あれ?なんだろう、メキメキっておとが、わたしのなかからきこえっ


わたしのかおも、あっ、かおが、いたっ、つぶれっれれれれれれれれ


【付記】

6月14日、頭部の破裂した遺体で発見。

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