都内某交差点における連続怪死について

弓長さよ李

後藤遥香(27)

信号を待ちながら、なんだか気持ちが悪いなと思った。


少し前に子どもが事故死したというから尚更だ。


その交差点はビルに囲まれていて日当たりが悪く、夕方のわずかな時間以外は昼だというのにどんよりと薄暗い。


──幽霊でも出そうだな。


そんな想像をすると、背筋がゾクゾクとしてくる。居心地が悪い。信号が青に変わった瞬間、足早に歩き出す。


──ん?


ふと、違和感を覚えた。信号に、何かが重なって見えたのだ。


恐る恐る視線を戻すと、確かに、半透明の何かが重なっているように、周囲の背景と比べて少しぼやけて見える。


──あれ、なんだ?


じっと目を凝らす。


いつの間にか私の足は止まっている。


尚も私は目を凝らす。やがてそれは、徐々に像を結ぶ。


そこに、あったのは


──顔だ


それは子どもの顔だった。ひしゃげて潰れた、はくはくと口を動かす、血塗れの。


ひ、と声が出る前に、赤信号になっていることに気がつき、目の前に乱暴な運転の軽自動車が、あっ、あ


【付記】

6月13日、轢死体で発見。目撃者がおらず、犯人は不明。

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