第54話 うわっ。また出た典型的なバカ貴族……
「薬屋のお店を、お願いしていたのですが?こんなに大きなお店を用意されて、何をユウヤ様に売らせる気だったのかしら?ユウヤ様が武器やアクセサリーをお売りにならなかったら、どうなさるおつもりだったのかしら?」
おいおい・・・皆の前で国王に文句を言わないであげて。
「大きい店舗なら喜んで頂けるかと……思いまして」
商売をしたことの無い王様が大きければ喜ぶと思うのは仕方ないのかな……でも、まぁ……例えば、駄菓子を売るのに学校の体育館程ある大きさの店舗を用意されても困るだろ。
「そのお陰で武器屋が出来たんだから良いって!」
「そうですか……ですが、信頼できる従業員を用意をしていただきませんと困りますわ」
「は、はい。直ぐにご用意を・・・」
「人数合わせで、用意をされては困りますからね?ユウヤ様がお作りになるお薬を販売するのですからね?大金を扱うのは勿論ですが、重要な秘密を取り扱うと思って下さいませ。手配をした従業員は専属として頂きます」
ん?秘密?そんな物はないと思うけど?あぁ……異次元収納の事を言ってるのかな?あれはバレたくないのでミリアの従業員に任せるつもりだ。
「勿論でございます」
「その代わり莫大な税金が王国に入り、治癒の薬で冒険者達や兵が安全に活動も出来て王国も平和に暮らせるようになるのですからね」
「多大な恩恵を受けることを理解しております」
ほぉ……ミリアは良い事を言ってくれるね。そうだよな税金も払ってるしね。効能の割には、格安で売ってるし即効性だしね。国王が皆の前で効果を認めたんだし信頼性も出来て、良い宣伝になったんじゃないかな。効果はモンスター討伐に参加をして負傷をした冒険者が実感して宣伝をしてくれてるか。
「信頼を裏切れば許しませんわよ。直ぐに店は閉めますしお父様に代わり、わたしが制裁をします」
皇帝の話が出るとビクッ!と国王が反応をして跪き頭を下げて返事をした。そんなに恐い人なのか……?
「期待と信頼を裏切らぬよう務めさせて頂きます」
近くに居たギルマスや兵士も皆がミリアに跪き頭を下げた。
「皆、ユウヤ様を裏切る事のないように心して働きなさい」
おいおい……俺なんか直ぐに裏切られるって。俺を出すんじゃなくて、そこは「わたしを裏切ったら許しませんわよ」じゃないのかよ。
「はい。ユウヤ様を裏切る者が居れば直ちに処罰を致します」
「当然ですわ。わたしも誰であろうが許しませんわよ」
うわぁ……ミリア格好良いよ!
ミリアの演説を聞きながら武器屋の中に入り防具を展示をしていた。
革胸当てや鉄製の物を並べて……甲冑って……冒険者は必要ないよな?重装備になっちゃって冒険が出来なくなるし……兵士向きだよなぁ。盾は必要か……?後はショートソード、双剣、ナイフ……槍、弓矢くらいで良いか。他にも色々と見てきたけど種類を増やしても切りが無い……
今度は、アクセサリーか……指輪やネックレス、髪飾り、ブレスレット……ブローチ……こんな感じかな。
大体準備は出来たかな。
あれ?まだミリアの話が続いてたの?聞いてみると内容が説教っぽい事を長々と話していて、聞いている者はツラそうだったので終わらせようとミリアに話し掛けた。
「ミリアまだ話が続くなら置いてくけど……」
「え?あ、お待ちになって下さい!終わりましたわ」
ミリアの説教が終わり、周りに居た人達がホッとした表情 になった。襲撃をされやすいという事を改めて伝えておいた。
「襲撃されないように気を付けて下さいね。一応、武器は高級品だし治癒薬も高値で取引をされてるみたいだし……」
「24時間体制で護衛を付けているのでご安心を!」
「お任せしましたわ」
「それじゃちょっと町の散策に行こうか?」
「はい♪」
「ユウヤ様少しお待ち下さい。お渡ししたい物がありまして」
国王が兵士に合図をすると、馬車から剣と短刀を持ってきた。
あぁ~前回は、このおかげで助かったけど不審者扱いをされた短刀だ……
国王が、紋章入の剣と短刀を渡してくれた。
「これがあれば町で、何か起きても兵士に見せれば力になってくれると思いますのでお受け取りください」
どこかの貴族がやってきて、その光景をみて騒ぎ立てて大きな声で手柄を立てたかのような表情だった。
「貴様!国王様が、お渡しになるのに跪かずに無礼だぞ!不敬罪だ!」
護衛を5人ほど連れて、いかにも代々貴族を引き継いできた感じの、全く空気の読めない典型的なバカ息子で、子供のまま大きくなった感じだ。30代半ばくらいの太っていて……弱い者に威張って、強い者には逆らわずにお世辞を言ってそうなタイプっぽいヤツが、手柄を取った様な顔をしてニヤニヤしながら更に近づいてきて、渡している物を見て困惑をした表情になり独り言の様に呟いた。
「国王様、こんな者に何をお渡しに……?こ、これは……」
近くに居た、お偉いさんがバカ貴族に威圧的な表情と言葉で詰め寄った。
「貴様……国王様に恥をかかせる気か?黙って下がれっ!下がっていろ」
お偉いさんに注意をされたバカ貴族は、意味がわからないようで、その場に呆然と立ち尽くし俺達を見つめていた。
「無礼ですって?どちらかと言えば国王の方が無礼ですわよ!わたしの夫になる方なのですよ。献上品を渡すのであれば跪き渡すべきですわよっ」
「はぁ……ミリアは……黙ってて」
「はぁい……」
可愛くふてくされる様に返事をして、俺の後ろに下がり服を掴んできた。
「そうですな……」
王様が一歩後ろに下がり、跪きそうだった王様を止めて慌てて声を掛けた。
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