第53話 剣の実演販売をしてみた。
「次は、武器屋かなぁ」
店舗を3つに区切って、王国の兵士の剣と防具を貸してもらって……コッソリと収納をして、アイテムのステータスを見てみると……
ん?品質はC級か……防具もC級か……
取り出すと、兵士に返した。
「ありがと。これって、標準装備だよね?」
「はい。王国では標準装備です」
うぅ~ん……C級の武器や防具は売りたくないな……せめて最低でB級を売りたいよな。まあ……でもC級も取り扱わないとか……標準装備らしいし、駆け出しの冒険者用に必要だろうし。
B級品の価格は……C級の2倍の価格になっちゃうけど、それだけの価値はあるよな。切れ味と耐久性が全然違うし、命を預ける武器なんだから仕方ないよな。安くしたいけど……安くすると他の武器屋に恨まれそうだしな。
倉庫の奥に入りコッソリとB、C級の剣を数種類出して、手伝ってくれる兵士に陳列棚に並べて貰って、B級の剣を王国の兵士に持ってもらった。
「どうかな?」
「重さも、グリップも良い感じですね……」
「ユウヤ様……」
俺の後ろから男性から声を掛けられて、兵士が慌てて持っていた剣を、どうして良いのか分からずテーブルに置き跪いた。
ん?誰だろ?兵士の慌て方からすると……国王かな?
振り向くと王様とギルマスが立っていた。
あぁ~慌ててたのは国王が来たからと、兵士が王様の前で抜剣してたら不味いよね……
でも俺は、そのまま抜剣してる剣を持っているけど……見逃して!
王様の護衛が凄く警戒をしているんだけど……まぁ護衛の仕事だから仕方ないだろ。
「武器屋も出そうと思ってるんだけど……それが、これなんだけど」
王様に持っていた剣を渡した。
「ほぉ~……剣には詳しくは無いのですが……これは、良い剣だと言う事は分かりますぞ。ギルマスならば更に分かるのではないのか?」
王様が後ろに控えていたギルマスに剣を手渡した。
「おおぉ。これは……凄い剣ですな!ぜひ欲しいですな価格は……?」
「あ、王国での標準装備の2倍の価格ですけど……」
「そ、そうですか……2倍ですか」
「高いと思われてると思いますけど……品質と切れ味、耐久性を見てもらえれば納得できると思いますよ」
コッソリと、兵士に用意をさせておいた木の人型の的に甲冑を着せてある物を運んできてもらった。
「試し斬りですかな?」
「俺が斬っても理解できないと思うので、ギルマスが標準装備の剣で斬ってみて下さい」
国王が兵士に指示をして、ギルマスが兵から剣を受け取った。
「は、はい。剣は久しぶりなので、恥ずかしいですな……では……」
バキンっ! バキンっ!
「まあ……こんな感じになるのは予想できてましたよ。でないと甲冑の意味が無いので……」
見ていた兵士達が驚いた表情をしていた。うん。流石ギルマスだね……甲冑を凹ませるパワーがスゴイ。当たり所が悪ければ骨折や打撲をしてるよな……
ギルマスも予想できらしい。べコリと甲冑が凹んで斬れてはいなかった。
「では、この2倍の価格の剣で試し斬りをしてみてください」
「は、はい・・・良いのですか?価格が高く良く切れる剣は、刃が欠けてしまいますぞ?」
そうなんだよなー価格が高い良い包丁とかって硬度が高いと欠けたり折れたりするんだよなー逆に安いと材質が柔らかくて、折れたり欠けたりはしないけど……すぐに切れなくなるし、いくら研いでも切れ味は悪い。
「大丈夫ですって、売り物じゃなく試し斬り用なので思い切りお願いします」
人だかりが出来ていて、宣伝効果が抜群だね!
「では!」
バシュ!
「おおぉ。凄いぞ!甲冑が斬れたぞ!?」
うん。おしい!斬り落としてほしかった!俺が、残念そうな顔をしているとギルマスが気不味そうにしていた。
「ユウヤ様が、お斬りになられれば良いのでは?」
いつの間にか後ろに居たミリアが、話しを掛けてきてギルマスにも聞こえたらしく剣を渡してきた。
すると歓声が上がった……え?何で?あ、モンスターの討伐で冒険者の間で有名になってるらしい……ね。
「じゃあ……実演販売って事で……いきますよ」
シュ シュ シュ
ガラガラ……ガッシャーン!
甲冑がバラバラに斬り刻まれて、崩れ落ちて歓声が上がった。
「価格は高いですけど、見てもらえれば分かると思いますが甲冑を斬っても刃は欠けていませんし、この様に甲冑も斬れる剣です。耐久性もあるのでモンスターと戦闘してて刃が欠けて命を落とす事も減りますよ」
「俺は買うぞ!売ってくれ」
ギルマスが購入してくれて……関係のない国王も数本勝ってくれた。近衛に買ってくれたんだろうな。
冒険者も数人買ってくれて表情も嬉しそうだった。
上級の冒険者は、今まで満足する剣に出会えなかったんじゃないかな……上級になれば中級や上級のモンスター討伐の依頼が多くなるし、硬い装甲のモンスターも多くなって、お金は稼げているから高い県を使い、すぐに剣の刃が欠けたり折れたりしてたんじゃないかな。
「ユウヤ様は、さすがですわねっ♪」
「あ、ありがと」
ミリアが国王に笑顔で聞いてくれた。
「当然、武器の販売の許可も頂けるのですよね?」
「はい。も、勿論でございます。私も購入をさせて頂きましたし……」
そうそう……アクセサリーの許可も貰わないと。
「あと、アクセサリーも売りたいんだけど良いですかね?」
「はい。問題ありません」
アクセサリーは、高級品じゃなくて普通の平民が、オシャレで付けるような感じの、シンプルなアクセサリーを販売予定かな。高級品を取り扱うと、儲かるのは分かってるけど、その分……面倒事も押し寄せてくる気がするし。
ミリアが何かを思い出したのか笑顔が消えて、ムッとした表情になって国王に文句を言い始めた。
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