第46話 金貸しの違法行為の確認出来たので捕獲するだけ。

兵士が、ミリアを連れて俺を置いて足早に店を出て行くと、金貸しの店の店主は意味が分からなそうな表情をして、俺と兵士が出ていった入口を交互に見ていて、不思議そうな表情をした店主から話し掛けられた。


 

「お前は、親と帰らなくて良いのか?」


 

とりあえず時間稼ぎをしてミリアに危険が無いようにしないとな……


 

「えっと……俺は、母親の買い物の荷物持ちで、この店で待ち合わせの約束をしていて……待ってても良いですか?」


 

一瞬、店を待ち合わせの場所にされて、嫌そうな顔をした。


 

「商売の邪魔をしなければ良いぞ。金を借りてくれたしな……だけど、馬車とか護衛とか言っていたが?」


 

店主が仕方無さそうに答えると、俺が帰らないと分かると疑問に思ったことを聞いてきた。


 

「あぁ……えっと、あれは……貴族っぽくて双子の妹が喜ぶからさぁ……」


「なんだ……驚いたぞ、護衛とか言うからよ。それに剣も持っていたが?」


 

納得して安堵の表情をして、更に疑問に思った事を聞いてくる。


 

「あれは父親が冒険者で、お金を借りる手続きをするのに剣が邪魔になるから預かっていただけだよ」


「なんだ、そうか……」


 

そろそろ馬車に着いた頃かな……


ミリアと兵士が馬車に辿り着いた頃に話し掛けた。


 

「えっと……おたくの店って悪質な金貸しですよね?」


「は?なんだ……急に?」


 

子供のイタズラだと思っているのか、悪い事をしている認識がないのか、もう当たり前となっていて悪事をしているという感覚が麻痺しているのか、素の表情で意味が分からないという顔をしていた。演技だとしたらスゴイな役者になれるんじゃないか?


 

「返済に関して何の説明も無いですし……」


「説明だと?」


 

ムッとした顔で聞き返してきた……知らない訳がないと思うけど……説明する義務がある事を知らないで通そうとしているのか?まあ……知らないにしても、忘れていたとしても、どちらにしても違法だ。


 

「金貨1枚借りて返すのも金貨1枚で良いのですか?それで儲かるんですか?支払金額の合計額を言ってないですよね?支払金額の合計の紙も渡してないし」


「何のことだ?ちゃんと渡したぞ」


 

話をしていると5人の兵士達が入ってきた……あぁ~あ……遊べると思ってたのに……良い所を兵士達に持っていかれちゃったよ。

 

俺は諦めて店を出ると、馬車に戻ってきた。


 

「お疲れ様でした。ユウヤ様」


「では、私も取り締まりに行かせてもらいます」


「後は任せました。証人のミリアも居ますし屋敷の方へ帰ってますね」


「はい!お任せ下さい」


 

はぁ。もっと活躍出来ると思ってたのになぁ……


兵士の人が馬車から降りるのでドアを開けた時に外がチラッと見えた……あれ?

 

金貸しというか盗賊が逃げていくのが見えた。


何で取り逃がしてるんだよ……まったく。


 

「今、店で見かけた従業員が逃げて行ったけど?……何してるんだ?」


「え?」


 

兵士が、慌てて走って追いかけて一人を捕まえたが数人取り逃がしていた。店の中で戦闘が始まっていて、兵士の方が苦戦して逃げられたんだろうから参加して来ようかな。


 

「ミリアは出ちゃダメだからね」


「えぇ……はぁ~い……お気を付けて」


 

完全に暇で不満そうな表情だ……そして眠そう。


 

「ありがと……」

 


ちゅ♡


 

ミリアの頬にキスをすると、笑顔になったので馬車から降りてミリアが乗る馬車にバリアを張って、店に向かうと、店主が雇った盗賊が10人程が外に逃げようとして交戦していて兵士が劣勢で負傷していた。

 

この兵士達は大丈夫なのか?ど素人の俺でも苦戦をしている原因は分かるぞ……?人数差っていうのもあるけどさ……狭い店の中で槍を振り回すってどうなのよ?振り回した形跡が壁や天井にあるんだけど……?この狭い場所なら突くしか無いでしょ……

 

負傷そしている兵士に治癒薬を渡して、兵士達に指示を出した。


 

「無事な兵士は、負傷してる者を外に運び出して」


「はい!」


「残りの兵士も中から出て逃げる盗賊を捕らえて!」


「はい!」


 

無事な兵士に負傷をしている者を外に引きずり出させ、外には回復をした兵士達が逃げ出してくる者を捕らえる為に店を取り囲んでいた。店には俺と盗賊だけになると店主と、その手下がニヤニヤしだした。


まあ……俺みたいな一人のガキが相手だとそうなるよね……


 

「逃してくれるなら金貨5枚やるぞ?どうだ?」


「ここの店から逃げても外で捕まると思うけど?」


「そんな心配をお前にされなくても大丈夫だ。逃がしてもらえれば何とかなる」


「そう?盗賊だから山でも森でも大丈夫そうだしね……」


「まあな。逃してもらえれば他の国でも同じ様な商売が出来るしな」


「だろうね~」


 

盗賊なんて害虫の様にしぶとくて仲間を作り増えるし、どんな環境でも生き残っていけそうだよな。


 

「お前が一人で10人と戦うつもりか?」


 

剣をショートソードに変えてバリアで覆い切れ味、耐久性を向上させた。


 

「そうだけど?死にたい人から掛かってきて良いよ」


「生意気なガキだな……コイツを始末して兵士が集まってくる前に逃げるぞ!急げ!!」


 

手下の盗賊が剣で襲いかかってくるが、剣を振り上げると天井に引っかかり上手く戦えずにいた。


うん。こいつらも頭が悪そうだな……


 

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