第47話 恐いもの知らずのミリアが、震える程に緊張した相手とは……
「解決してきたから、もう家に帰っても大丈夫だよ」
「ホントですか?」
「うん。金貸しの店は、無くなって皆捕らえられたし大丈夫じゃないかな。それで一人で帰れる?」
「はい!大丈夫です……有難う御座いました」
「それより、モジモジしてるけどトイレとか食事はしたの?」
「ううぅ……トイレ行きたかったです……っ」
「まぁ……お屋敷は緊張するよね」
「は、はい……きんちょうしますね……一緒にお願いしますっ!」
あ、その気持ち分かるわ……こんな大きな屋敷だと迷子になりそうだし、周りが豪華だから緊張もするよね。メイドさんや護衛、使用人が大勢いるし。
「あ……うん。良いよ」
「ダメです!何でユウヤ様が一緒に行こうとしてるのですか!……そこの貴方!その子に付いていきなさい!」
ミリアが近くに居たメイドさんに指示を出した。
メイドさんに緊張をして、トイレに行けなかったと思うんだけど?
「勿論、途中までだって!」
「それでは、わたしもご一緒しますわ」
「うん。それで良いんじゃない」
ミリアに腕を組まれて、娘さんに服の袖を掴まれてトイレまで向かった。
「有難う御座います……それにしても豪華すぎますね……すごいです」
モジモジしながら話をしてきた。おいおい……余裕が無さそうだけど?
「そんな話は後で良いから早くトイレに入りなよ」
「は、はい……漏れちゃいそう……」
「そうなる前にトイレに行けば宜しかったのに……」
「緊張して行けなかったんだと思うよ」
「そうなのですか?何に緊張しているのでしょうね?」
「緊張は、ミリアには分からないと思うけどね……」
ミリアは、生まれた時から豪邸に住んでいて父親は最高権力者で、国王よりも権力があって怖い物知らずでしょ。 大勢を前にしても平然としてるし……お偉いさんも平民同様の扱いでしょ?それどころか、国王さえ同様の扱いだったし。
「緊張は……この前に初めて分かりましたわ」
え?ミリアが緊張を覚えたの?スゴイじゃん!ミリアに緊張を与えた相手がいるの?スゴイ恐い人にでも出会ったのか?皇帝より権力者が居たのか?
「え?ホントに?ミリアを緊張させるとかって凄いヤツがいるんだな?」
「ええぇ……とても凄いお方ですわ……緊張して震える思いでしたわ……」
ほぉ……やっぱり人だったのか、スゴイお方……ミリアが敬語を使い震えて褒める相手が居るんだな。
「へぇ……それは凄いな……俺だったらどうなってたんだろうなぁ……」
ミリアが緊張で震えて、褒める相手……想像できないな~どんなスゴイ人なんだろ……皇帝より偉い人?ミリアの教育係で恐い人でも居るのか?それか……母親とか?
「ユウヤ様ならば、平気なのではないですけね……」
「いやぁ……ミリアが緊張する相手だろ?誰なんだ?」
「えっと……それは、ユウヤ様ですわ」
は?まさかの……俺?俺は、恐くは無いし威厳も威圧感も無いから王の紋の入った短剣を見せても疑われて、直ぐに牢獄に入れられちゃうんだけど?
「はい?何で?」
「別れを告げられて、再びお会いする時に緊張で震えてましたわ」
はい?俺なんかで緊張するの?あのミリア様が?
「俺に緊張するの?」
「はい……生まれて初めて緊張をしましたわ」
うん……そこまで思ってくれてるのね。嬉しいけど悪い事をしたな……まぁ俺もミリアが別れるって言い出したらショックだよな……。
「うぅ~ん……それは、悪かったって」
「いえ……わたしが悪いので」
「何のお話ですか?」
「何でもありませんわ」
娘がトイレから戻ってくると、平気で話しに加わってきたのでミリアが不機嫌そうな感じになっていた。ミリアの正体も知らないから、普通に話に入ってきただけだ。とは言っても、この屋敷のお嬢様に良く普通に話を掛けられるよな……ってメイドさんには話し掛けられなかったんじゃないの?
話の合間を見ていたメイドさんが声を掛けてきた。
「ミリア様そろそろ……お召し替えを」
そういえばミリアは平民の服を着たままだった。だから平気で話しに加わってきたのか……
「そうですわね……ユウヤ様、少しお待ち下さい」
「は~い」
娘さんとリビングのソファーに戻ると、定位置に俺がソファーに座ると、娘さんが隣に笑顔で座ってきたけど、なにも気にせずに雑談をしてミリアが戻ってくるのを待っていた。
「もう恐い人に追いかけられない?」
心配そうな表情で話を掛けてきた。そりゃコワイ思いをしてきたんだから、しばらくはコワイよな。
「うん。大丈夫だと思うよ」
「ホントにホント……?」
心配そうな顔で俺を見つめてきた。あの店の奴等からは追い掛けられることは無いけど・・・
「他の店で、同じようにお金を借りてなければだけど……」
「お金は、あのお店でしか借りてないから大丈夫」
ミリアが服をドレスに着替えて戻ってくる時に、俺達が楽しそうに話をしてるのを見て早足で階段を降りてきた。
「ユウヤ様!もぉ!」
怒っている表情で、怒鳴って早足で階段を降りてきて転びそうになっているのが目に入り、慌ててソファーの前にあったテーブルを踏み台にして、ミリアまで跳躍をして、抱きしめると同時にバリアを張ってミリアを守る感じで階段を結構な距離を滑り落ちた。
慌ててお互いに心配をし合った。
「ミリアケガは無い?治癒薬は必要か?」
「わたしは大丈夫ですわ。ユウヤ様こそ大丈夫なのですか?」
「俺は大丈夫だけど……ミリアは本当に大丈夫か?」
「は、はい。どこもケガはしておりません……わたしの不注意で、すみませんでした……」
「あ、俺も……ゴメン。テーブルを壊した」
振り返り、豪華なテーブルを踏み台にしたので真っ二つに割れて壊れていたテーブルを見ながら話した。
「え?あぁ……うふふ♪ 大丈夫ですわ。買い替えれば済むので……。それよりも……ユウヤ様はホントに大丈夫ですか?」
ミリアが助けてもらえて嬉しそうに答えて、俺の後ろに立ち背中や頭を丁寧に触って調べていて、くすぐったい……
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