第26話 調子に乗って盗賊の討伐をした。

一振りで5、6人をバリアで斬り1分も掛からずに後方の盗賊を斬り終えると、前方に向かうと思った通り数に押されてミリアの護衛が苦戦をしていた。


 

助けに入るのに居合ではなく、剣を振る真似をして斬っていると半数近くを実際に斬っていて……ごっこ遊び程度でも盗賊には通用するらしいけど、少しやり過ぎたかな……?


 

「2人は治癒薬を飲んで馬車の中で休んでて」


「この数を一人じゃ……あれ?……分かった……助かる」


 

男性の護衛が周りを見て驚いた表情をしていて治癒薬を受取り女性の護衛と一緒に素直に馬車の中に退避した。


 

護衛の避難をさせ終わると、盗賊を放っておいたら盗賊に囲まれた……


そうだ誰も見てないし憧れていた技をやってみよっと。


調子に乗って格好をつけてクルリと回って斬る真似をしてバリアを使い、剣で斬った様な感じにすると回転の一振りで残りの盗賊を、ほぼ全滅させた。


うわっ。これ格好いいなぁ……一度自分でやってみたかったんだよな〜この技は気分が良いね!


数人残ったけど深追いをせずに放っておいた。盗賊の討伐にきた冒険者じゃないし兵士でもないので別に良いでしょ。

 

御者の王国の兵士が呆然として見ていて目が合った。


うわぁっ。見られてた!でも、まぁバリアがバレて無ければ良いか……良かった剣を使ったようにしてて。


 

「ケガは無い?」


「は、はいっ!助かりました。お強いのですね……」


 

この兵士は戦闘兵じゃなくて御者専門なのかな?戦闘には一切、出てこなかった。それどころか武器を持っていないし。


バリアを解除して馬車のドアを開けると、ミリアは疲れ切った顔をして安心して休んでいた。


 

「終わったけど……随分と安心して休んでるみたいだね?」


「あ、すみません。ユウヤ様が戦っていたので安心していました」


「えっと……俺は薬屋なんだけど?護衛は2人じゃないの?」


「そうでした……」


 

2人は目を逸らし気不味そうにして馬車のドアを閉めた。ミリアと二人っきりになると、先程とは表情が変わり心配そうな表情をして聞いてきた。


 

「おケガはありませんか?大丈夫ですか?」


 

いつも通り血だらけで戻ってきたので心配をしてくれた。


可愛い子に心配をしてもらえるのは嬉しい。


 

「うん。大丈夫だよ。俺さ〜盗賊にスカウトされちゃったよ」


「まぁ……なんて盗賊でしょう!ユウヤ様を盗賊にしようなんてヒドイですわっ!許せませんね……」


「あ、スカウトしてきたリーダーっぽい盗賊は、もう死んでるけどね……」


「そうでしたか……さすがですわっ♪」


 

護衛の兵士が、道に転がった死体を道の端に退け終わるのを待った。片付ける間に着替えを済ませて濡れタオルを出して顔を拭いてるとミリアが手伝ってくれた。


 

「あ、ありがと……ミリアが拭いてくれるんだ?」


 

ミリア自身が動くことは滅多に無いのに、そのミリアが拭くのを手伝ってくれるとは嬉しいね。ミリアの愛情を感じた。


 

「拭くぐらい出来ますわよ。大切なお方ですし……食後にお口を拭いて差し上げてるじゃないですか。ユウヤ様のお役に少しでも立ちたいのですわ」


 

そう言うと優しく丁寧に顔を拭いてくれて、ある程度キレイになると膝枕をしてくれた。


 

「髪の毛はキレイに落ちませんね~困りましたわ……」


「髪の毛は帰ってから洗うから別に良いよ?」


「わたしが良くないですわ……ユウヤ様の頭を撫でられませんし」


「あぁ……そういう事ね」


 

水袋収納から出して頭を濡らした。えっと……アイテム作成でイメージ、イメージ……水で濡らすと汚れが浮いて落ちて、汚れを拭き取るだけでサラサラになって良い匂いがするアイテムを作成して出した。こんな適当なイメージで成功するのかな?


そのアイテムを使用すると汚れを浮かせてタオルで拭いて本当にサッパリしてサラサラで良い匂いになった。っていうか何でもありだな……さすが女神様のスキルだな。


それにサービスしてくれるって、この強さもだよな……そのお陰で今回は助かったなぁ。ありがと女神様。やっぱり強さも必要だったね……女神様が心配そうな顔をしていたわけだな。


髪の毛がキレイになりミリアの膝の上に頭を乗せると嬉しそうに撫でてくれた。



「わぁ♡ ホントにキレイになってサラサラですわっ♪ それに……良い匂いですわ」

 

「ミリアが頭を撫でてくれるので癒やされるよ」


「えへへ……♪ わたしも癒やされてますわ」


 

一騒動があったけど無事にミリアの屋敷に着いた。


 

「はぁ……無事に着いたなぁ……」


「お疲れ様です。ユウヤ様」


「今回も、お役に立てずに申し訳なかった」


「すみませんでした!」


 

護衛の二人が謝罪をしてきた。


 

「運が良かっただけで、偶然に討伐が出来ただけですので気にしないでください」


「運が良くてモンスターと大勢の盗賊を討伐は出来ないと思いますけど?」


 

そこを突っ込まれるとキツイんですが……


 

「ちょっと!あなたユウヤ様に失礼ですわよ!ユウヤ様は、わたしの婚約者で今では王族なのですよ!言葉に気を付けてくれるかしら?次は許しませんわよ!」


 

さすがミリアさんナイスなカバーを有難う御座います。


 

「失礼しました……」


「それに、あなた達は訓練不足ではなくて?今回も前回もユウヤ様が居なければ、わたしは死んでいたかもしれませんよ?いえ。実際に死にかけましたよ!それもユウヤ様が居なければ死んでいましたよ……ユウヤ様に感謝をしなさいっ」


 

ミリアに腕を組まれて屋敷の中に入ると、リビングにあるソファーに並んで座り少し雑談をして過ごした。


疲れたので貸してもらっている自分の部屋に入ってベッドに寝転がり店の事を考えていたけど……俺の常識が通用するか分からないしなぁ……

 

考え事をしていると、 気が付くと寝ていて早朝に目が覚めた。昨夜は夕飯を食べずに寝てしまったので、腹が減っていてリビングに入ると早朝なのにミリアも起きていてお茶を飲んでいた。


 

「おはよ」


「おはようございます。ユウヤ様」


「朝早いんだね」


「ユウヤ様こそ、お早いのですね」


「昨日は、夕食も食べずに早く寝ちゃったからね」


「わたしもですわ」


「やっぱり馬車での移動は疲れるね」


「はい。疲れちゃいますわね」 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る