ユテーリア王国
第13話 国王との謁見とミリアって何者?
王の間の大扉の前に案内をされると、さっそく兵士が大扉を開けた。広い部屋の奥の一段高い場所にある玉座に王様と王女様が座って待っていた。
俺は王様の近くまで緊張して近づくと周りが跪いたので俺も真似をして跪き頭を下げて待つ。
「薬屋は誰だ?」
静まり返った王の間に王様から質問だけが響き渡った。この質問に答えても良いんだよな?
「あ、はい。私ですが」
「そうか。挨拶は省かせてもらうぞ。早速だが城に来て薬を作ってくれないか?」
「すみません……今の場所が気に入っていまして」
「ただでとは言わぬ毎月、金貨20枚でどうだ?」
は?いやいや・・・20日間、店を開ければ金貨600枚以上の売り上げはあるし。
「それでも今の場所に今の生活が気に入っておりますので」
「そうか……では、うちの末っ子の娘を付けるぞ」
はい?まぁ……可愛いけどさ。それでここに王女様がいたのか?
平民に嫁がせるって……どうなのよ?それだけの価値が俺にあるという事か?
「それは光栄でありますが……すみません」
「それでも断ると申すのか?無礼だぞっ!うちの娘を……要らぬと申すのか?」
「婚約をしていますし」
「なんだと?そこにいる小娘か?」
「はい」
「そこの平民の小娘より、うちの娘の方が可愛いし頭も良いぞ。それに娘と結婚をすれば貴族にもしてやるぞ」
「それでも婚約をしているのでムリです」
「それでは、仕方あるまい……少し痛い目に遭わないと分からないらしいな……」
王様が手を上げ合図をすると槍を持った兵が俺達に近づいてきた。
はぁ……こうなると思ってましたよ。さて……どうするかな。バリアで防いで逃げるか?とか考えていると、跪いていたミリアが勝手に立ち上がり王様を睨みつけた。
え?何やってるんだよ……また大騒ぎになっちゃうんじゃないの?っていうか兵の詰め所じゃないぞ、ここは。
「わたしの婚約者を、どうなさるおつもりかしら?ラウム国王?」
「貴様!無礼だぞ!発言の許可をした覚えは無いぞ!」
「わたしも……貴方に発言の許可をした覚えは無いのですわよ?」
「何を言っているのだコイツは……牢屋に入れておけ!国王に対しての侮辱罪だ!」
「良いのかしら?わたしに、そんな事を仰って。重罪になりますわよ?」
「頭がおかしいのかコイツは……何を言っても聞くな!」
跪いていた護衛の2人も立ち上がり近づいてきていた兵士の武器を奪い取った。って、おいおい……国王の兵士の武器を奪い取って、ただじゃ済まないんじゃないの?
「貴様ら……こんな事をして冗談でした、間違いでしたじゃ済まんぞ!謀反の罪で死にたいらしいな。コイツらを謀反の罪で捕らえて牢屋に入れておけ!後で、処刑だ!」
増援の兵士が入ってくると槍で俺達を囲い槍を向けられていた。
「わたしに刃を向けて、どちらが謀反の罪になるのかしらね……?ラウム」
「さっきから何を意味の分からぬ事を!」
さっきから余裕そうな感じだけど大丈夫なのか?王様もミリアの威圧感とオーラで萎縮してる気がするんだけど?
「本気で、わたしに襲い掛かる気なのかしら?その覚悟がお有りなのですか?ヘイゼル家一族も路頭に迷い反逆罪の罪で山奥か遠い国外に一族で逃げる気なのですかしらね……恨まれますわね」
「貴様は、いったい何者なのだ?頭は大丈夫なのか?」
「アイラシス帝国の第1皇女ミリアですけど?わたしに触れただけでも王国が攻め込まれた事あるのを知りませんの?牢屋に入れておけって皇女を監禁しろと命令ですわよね?それに、わたしに刃を向けてただで済むとお思いなのかしら?」
顔を青褪めている王様がミリアの前に跪いて頭を下げだした。
はい?どうなってるの?王様が頭をミリアに下げてる?お貴族様じゃないの?王様より地位が上って事なのか?そんな存在を俺は知らないんだけど……
帝国?まあ、よく聞くよな・・・帝国って王より偉いのか?そもそも……ミリアって貴族じゃなかったの?領主の娘じゃ?皇女ってお姫様って事?俺は、お姫様と婚約をしようとしてたのか?それにお礼とか言って頬にキスしちゃってる……膝枕までしてもらってるし……
「ちょっと椅子を借りますわよ?」
「は、はい。ご自由にお使いください……」
「ユウヤ様こちらへ……どうぞ、お座りください」
はい?ミリアに手を引かれて玉座に座らされた……ダメでしょ!
「なぁ……ミリア。ここは王様の玉座だろ……」
「あぁ……この玉座は空席なので大丈夫ですわよ」
「え?空席って、あそこに王様がいるだろ」
「わたしを捕らえて牢屋に入れようとした謀反を起こした王が国王でいられると?」
そう言いながら国王を睨んだ。うわっ。ミリアさん恐いんですけど。
「それは……ミリアって知らんかったからじゃないの?」
「そうです。その少年が言う通りで知らなかったことで……」
「それにしても、わたしより可愛くて頭が良い王女様ですか?わたしの婚約者に手をだそうとしてましたよね?」
王女様は、あまりの恐怖で震えて跪くと言うより座り込んでしまっていた。
「なぁ・・・王女様は何の発言もしてないぞ」
「ユウヤ様を狙う人は敵ですわっ」
「許してあげれば?」
「ダメですわ!国王の行いとは思えません。まったく王族の恥ですわっ」
ミリアが王様を睨みつけると目を逸らして更に頭を下げた。
どんな状況なんだよ?俺達5人が玉座を占領して……王様達が跪き頭を下げてるし。
「えっと……そこの兵士の人、大扉を開けないように伝えてくれるか」
「はい!」
「兵士の人集まってくれる?」
「はい」
20人の兵士が俺の周りに集ると、全員が俺の前で跪いた。うわ~俺が偉くなった気がする……
「ここで見た事は話さないようにな!話すと家族が危険に晒される事になるから気を付けろよ」
「はい。絶対に話しません」
「ユウヤ様・・・なにを勝手に終わろうとしてるのですか!この王の謀反は許しませんよ」
「え?ダメ?早く帰りたいし……」
「許せなくないですか?この王は……わたしからユウヤ様を奪おうとして、刃を向け牢屋に閉じ込めるつもりだったのですよ!」
「分かったから……王様も反省してるみたいだしさ。ね?」
「はい。反省しております……」
「これからは、俺達を保護して守ってくれるよね?」
「はい。お護り致しますし、全力で協力させて頂きます」
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