第12話 商品が順調に売れると、同じくらい次々にやってくる面倒事。

#2024/07/07 読者様のご指摘で、誤字脱字の訂正を行いました。ご指摘をありがとうございます(^^)


「なんだこの手紙は?私にラブレターってやつか?言い寄ってくる女は多いが……こう堂々と渡してくる奴も珍しいな」


貴族風の偉そうにしている奴が仕方が無さそうに受け取り懐へ見もせずに仕舞いニヤニヤして嬉しそうにしていると、ミリアがムッとした表情で手紙の内容を言った。


「冒険者ギルドのギルマスからの販売許可証ですけれど?見て分かりません?」


「なんだと?冒険者ギルドだと?」


 

驚いた表情の貴族だった。偉そうにしている彼が知る冒険者ギルドのギルマスは面倒な事をしたがらない人物で販売許可など面倒になりそうな事を許可するとは思えずに驚いた。


 

「冒険者ギルドのギルマスは冒険者に係る剣、防具、アイテムの販売許可発行の権限を持っていますよね?面倒だからと言って、普段は丸投げして商業ギルドに任せているようですけれど」


 

は?販売許可取れてたの?ギルドの建物内の販売許可だったんじゃ?町の中でも販売出来るんだ?スゴイじゃん。

 

偉そうなヤツが悔しそうな顔をして帰っていくと歓声があがった。それとミリアから貰った手紙をラブレターと勘違いし、どこか残念そうで恥ずかしそうにしていた。


 

「良く用意してあったな」


「ギルドに行った時に、後で受け取れとギルマスが言っていましたけれど……?」


「そういえば、そんな事を言ってたな……忙しくて忘れてた」


「そうだろうと思いトラブルが起きる前にメイドに取りに行かせました」


「助かったよ……はぁ。開店して2日目で店が終わるかと思ったよ」


「ユウヤ様のお役に立てて嬉しいですわ♪」



ミリアの助けもあり無事に夕方まで販売を続けられて皆もクタクタになり帰宅した。


 

翌日……


国王から招待状と言う名の断る事の出来そうにない出頭命令書に近い手紙を兵士が届けに来た。あんまり儲け過ぎるとこうなるんだよな……はぁ。明らかに儲けすぎてるよなぁ……そりゃ目を付けられるとは思ってたけど国王も出てくるとはな。


それにしても国王からって……まぁポーションの事しかないよな。

 

部屋で出発の準備をしているとドアをノックをする音がして返事をするとミリアが入ってきた。


 

「出発のご準備ですか?」


「まぁね。国王様から呼び出されちゃったからね」


「わたしもご一緒させて頂きますわね」


「良いの?実は一人で行くのが不安だし心配だったんだよね」


 

お貴族様のミリアが居れば心強いし助かる。それに国王との謁見の作法とか知らないし。


 

「明日の朝に迎えの馬車が迎えに来るみたいだよ」


「へぇ~随分と高待遇ですわね……」


「そうなの?」


「国王が平民に迎えを出すなんて高待遇ですわよ。王国に多大な貢献をしたりすれば別ですけれど……」


 

そりゃそうか。普通は平民に馬車を出す事なんか無いよな?どうしても会いたいと思ってるって事か……やっぱり治癒薬の件だよな。他に行動していないし……

 

ベッドに座るミリアの隣に座ってお礼になるかは分からないけど……言葉のお礼は言ってるし、お金をお礼で渡しても興味が無さそうだしと思い、前回とても喜んでいた頬にキスをしてお礼を言った。


 

「いつもありがとね」


「きゃぁ♡あ、わっ、わぁ……い、いえ……はぅ……♡ もっと……ユウヤ様のお役に立てるようにガンバりますわっ」


 

頬を赤くしておろおろとして……お休みの挨拶をして出ていってしまった。

 

俺も寝るかな……それにしてもミリアの頬は柔らかくて良い感触だったなぁ。


 

 

翌朝……

 

準備を終えて、いつものメンバーで店の前で待っていると迎えがやってきた。


いつものメンバーは、俺とミリア男女の護衛で2人とメイドさん1人の5名なので迎えの馬車は4人乗りなのでミリアが用意をしていた馬車に俺とミリアが乗り込み、迎えの馬車を追いかける感じになった。


 

「ユウヤ様と二人っきりで……緊張しますわっ♪」


「えぇ?ミリアが緊張?」


「そうですわね……緊張など普段はしませんけれど……ユウヤ様の前ですと緊張してしまいますわ」


 

そういうと向かいの席に座っていたミリアが立ち上がり俺の隣に座ってきた。


本当に緊張してるのか?堂々と隣に座ってきたし。


 

「先は、長いのでお休みになられていても構いませんよ?」


「そうだなぁ……昨日は緊張して寝られなかったから寝ておこうかな……」


 

馬車に寄りかかって寝てしまった。


迎えに来た馬車よりも広く快適な馬車だったので、途中で石だか段差で揺れ壁に頭を打って目を覚ましたけど直ぐに寝れた。

 

目を覚ますと柔らかい枕に優しい良い香りがして心地良いし誰かが優しく頭を撫でてくれている……ふんわりと癒やされる……


……ん?頭を撫でてくれている?誰だろ……え!?慌てて目を開けるとミリアの膝枕で寝ていた。


 

「あ、ごめん!」


「何を謝っていらっしゃるのかしら?」


「いや……膝枕をさせてしまって……」


「構いませんわよ?もう少し休んでいて下さい……」


 

いや……休めないって……美少女の顔が目の前だし膝の感触がぷにぷにしてるし。それにミリアが俺の頭を撫でて微笑みかけてくれてるし、緊張というかドキドキ……して寝れないってっ!


 

「十分に休ませてもらったよ。ありがと」


「まだ時間がありますので、このままでお休みください……」


「俺に膝枕なんて……」


「……わたしじゃ……お嫌でしたか?」


「そんな事は無いよ。とても心地良かったし」


 

ううぅ……ん……良いのか?俺は良いけど……


 

「ユウヤ様の髪の毛・・・サラサラで気持ち良い触り心地ですね」


「それはミリアの髪の毛の方じゃないのか?」


「そんな事はありませんよ……」


そんな感じで数日間も移動をし、王都に入り王城の前に着いた様で馬車が止まった。

 

はぁ……長かった。緊張してドキドキ……したよ、まったく。


馬車が止まったからといっても王都に入る時の検問や盗賊の襲撃等で止められる事もあるし。窓の外を眺めていたミリアが教えてくれた。


 

「ユウヤ様、王城の前に着きましたよ」


 

平民の服を着たメイドと護衛が馬車のドアを開けてくれてミリアの降りる手伝いをしてくれていた。へぇ~俺もミリアと付き合うなら覚えないとだよなぁ……

 

馬車から降りると兵士が応接室に案内をしてくれた。応接室で待っていると、すぐに声が掛かり王の間へ案内をされた。


 

「俺、初めてだから分からないんだけど……」


「平民なのですから分からなくて当たり前ですよ」


「いや……王様だし。無礼だって言われて牢屋行きになるんじゃない?」


「他の者と同じ様にしてれば良いと思いますよ」


「そうだな……そうするか」

 

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