第10話 冒険者ギルドで実演販売をしてケガをした冒険者を治癒薬で治療して見せた。

え?あれ?俺の目標が無くなったんだけど……いや毎月の支払いが発生してくるから、その分稼がないとだよな。っていうか勝手に契約しないで欲しいんだけど……はぁ……毎月いくらだよ。

 

夕方になって依頼達成の報告に段々と人が増えてきて、その中には負傷をしている者も混ざって苦しそうにして食堂の椅子に腰掛けて休んでいた。

 

これは……商売のチャンスじゃないの?外傷の治療薬の効果が弱めの物を出した。


即効性の痛み止め、止血、傷の治癒促進で完全には治らないので医者からは文句は出ない程度の治癒薬にしておいた。


価格はどうしよう……


医者は傷の程度で変わるけど……少し高めだけど銀貨1枚で良いかな?軽傷じゃ使わないだろうし……重傷なら、この価格じゃ安いんじゃないか?苦痛である痛みが消えるんだし。

 

試供品を10本用意をしておいて、負傷した冒険者に近づいて声を掛けた。


 

「うわぁ〜痛そうですね……」


 

腕に中傷の傷を負って布で押さえているけど出血していて布が血で染まっていた。


 

「クソッ。しくじってモンスターから攻撃を受けちまってな……」


「新しく薬の販売を始めたんですけど、無料なのでお試しに使ってみませんか?」


「無料なら試してみたいな……」


「傷は腕だけですか?」


「傷は腕だけだが……吹っ飛ばされて腰も打って腰も痛めたな」


「では、これをお飲み下さい。傷の治癒を重視するなら直接傷に掛けた方が効き目が高まって治りが早く治りますけど、飲めば全身の負傷した箇所が直接掛けるよりは遅くはなりますが治りますよ」


「そうか……分かった。腰もツライから飲ませてもらうか」


 

効き目が分かりやすいようにしてあって即効性なので痛みは直ぐに消え直ぐに実感できる。擦り傷程度なら1日で完治して、刺し傷や中傷程度なら3日くらい、重傷なら1週間くらいで完治する。


2本飲めば効果は2倍になる。傷口に掛けるのも2本なら2倍の速さで治る。だけど最大は2本までで3本、4本使っても2倍までの効果だ。


 

「これは美味いな。薬と聞いて苦くて不味いと思ってたが……って……あれ?痛みが無くなって血も止まったな!なんだこれは!スゴイな!」


 

声がデカくて宣伝効果もバッチリだな……ありがたい。


お陰で注目されて人だかりが出来たけど……軽傷者に使っても宣伝にならないのでケガの程度がヒドイ人を探していると。


 

「うちのパーティに重傷を負ったヤツがいるんだ!是非1本貰えないか?」


「でしたら食堂まで運んで来て下さい」


 

慈善事業じゃなく宣伝なので皆が見てる前で治さないと意味がないので運んできてもらう。宣伝だからという理由だけじゃなく不衛生な外より室内で処置をした方が良いでしょ。


 

「分かった。直ぐに運んでくる!」


 

運ばれてきた人は腹部にモンスターの爪で引き裂かれて明らかに重傷だった。これは……マジで痛そう!前世の記憶の医者でも大手術だね……内蔵まで切り裂かれてるし……爪なので3箇所も引き裂かれてるし。まー死んでいなければ治るでしょ……多分。重傷だし2本使うか……


 

「今回は特別に2本使わせてもらいます」


「助かるか?大丈夫か?治りそうか?コイツは親友なんだ……」


「はい。大丈夫です。ですが最低3日間は安静にしてればですけどね……痛みが消えたからって言う事を聞かずに出歩いたり、あり得ないと思いますが依頼を受けてモンスターの討伐に行って悪化して死んでも治癒薬のせいにしないでくださいね」


「ああ。勿論だ。良く言い聞かせる!」

 

テーブルに寝かせて治癒の薬を飲ませて傷口にも薬を掛けた。


意識が無が無く死んだようにグッタリしていた冒険者が意識を取り戻した。


 

「クソっ!!油断した!」


 

怒れる程に回復して皆が驚いていた。


 

「あの……痛みが無いからといって、あまり動くと傷口が開いちゃいますし、治りが遅くなりますよ」


「はぁ……?傷口?」


 

自分の腹部を見て青褪めていた。


 

「うわっ!なんだコレ!痛みが無かったから……気づかなかった!」


「一週間くらい安静にしてれば治りますよ。でも2本使ったので……3日程で治るかもしれませんけど」


「その薬の価格は?」


「1本、銀貨1枚です」


「……銀貨1枚で、この効果か……是非買いたい!今は持ち合わせが無いが……家に帰ればある!どこに行けば買えるんだ?」


「この通りの空き店舗になってる場所に明日から販売を開始しする予定です」


「そうか。是非購入をしに行くぞ」


 

こんな感じで中傷者、重傷者を治して宣伝をしておいた。

 

治癒薬と体力回復薬も売り込んで好評になったので次の日からギルドで販売をしなくても良いのかも?

 

食堂の一部を借りられて傷を負った人を待っている時に冒険者が話をしていたのを聞いた。


 

「そういえば町を出て道を歩いてたら中級レベルのモンスターが首を斬られて何体も倒されてたな」


「ああ、俺も見たけど凄腕の冒険者だなアレは……一太刀の切断面だったぞ。骨もスッパリと斬れてたな……あれはスゴイぞ」


「そうだな……モンスターに争った傷も無かったしなぁ」


 

あのモンスターって中級だったんだ……まぁ低級って感じもしなかったしなぁ。


 

「俺達ならパーティ全員で攻撃をして、やっと1体倒せるかって感じだぞ……でも、まぁ無理だろうな。犠牲者が確実に出るな」


「誰が倒したんだろうな……是非うちのパーティに入って欲しいな」


「バカ!そんな方が弱小パーティに入るわけ無いだろ」


「それもそうか……!あはは……」


 

夜も遅くなって来たのでミリアに声を掛けた。


 

「夜遅くまで付き合わせちゃってゴメンな」


「いいえ。お役に立て嬉しいですわっ」


「それじゃ。俺は明日の朝早くに空き店舗に向かうな。ミリアはどうするんだ?明日は忙しくなると思うし、明後日くらいにお礼と報告に屋敷に行けば良いか?」


「明日もご一緒させて下さい♪」

 

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