『人間変性症』 下の11


館長

 『失礼ながら、あの開祖録の原本ならば、ここにあります。あなたがたがおっしゃいますように、そこには、人類の記録もあり、人類の黄昏や、なぜ人類がごき人類に進化したのかも、きちんと、書いてあるのです。ご希望なら、お見せしましょう。』


マーダー捜査官

 『ぜひ、見たいですね。』


スリラー捜査官

 『それは、‘’開祖録‘’にたいする、冒涜よ。』


マーダー捜査官

 『ほら、きみは、優等生だからな。そうやって、逃げようとする。』


スリラー捜査官

 『違うわ。‘’ごき開祖録‘’は、神聖な書物だからよ。あれ以外の存在は許されていない。』


館長

 『たびたび、失礼ながら、‘’開祖録‘’は、本来、書物ではありません。原本は、データなのです。もちろん、書物にもされていて、両方を保管しています。つまり、初版本ですね。現在地球に流布するのは、おっしゃいますように、後年書き換えられたものです。』


マーダー捜査官

 『それは、すごいな。やはり、思った通りなんだ。‘’開祖録‘’には、秘密にされている、初版ばんがあるという、噂があった。ごく、一部にね。いわゆる、ある秘密結社が、隠しているとの情報が、ぼくには来ていたんだ。』


スリラー捜査官

 『‘’秘密結社‘’? それこそ、怪しいわ。』


マーダー捜査官

 『まあ、実物を見てから考えたらいいのでは?』


スリラー捜査官

 『まあ、ね。』


館長

 『では、お食事のあと、見学いたしましょう。わたくしも、長く見ておりません。』


船長

 『いつ、見たのですか?』


館長

 『2000年前でしょうか。 たぶん。記録はきっちりありますよ。地球コンピューターさんが、管理しています。』


アナウンス

 『わたくしの、母体です。』


館長

 『アーニーさんの、母体でもあります。』


船長

 『そうなのか?』


アーニーロボさん

 『ああ。ま、そうです。隠していたわけではないです。訊かれなかっただけ。たぶん。亡くなった、ジポック科学主任兼副長さんだけは、訊きにきましたがね。』 


船長

 『あわれな話だな。ぼくは、マリオネットかいな。行方不明になったとき、ジポックは、たまたま、あっちにいる当番日だったんだ。』


配膳ロボット

 『あ、プレメイン料理の、タルタルステーキ、キョウト絶景風景風であります。』


マーダー捜査官

 『なんだい? それは?』


配膳ロボットさん

 『ラムであります。』


船長

 『月に、ラムがいたかな?』


館長

 『なんでも、作れますわ。』


船長

 『やはり、コピーか。』


館長

 『みな、絶滅に近かったのです。』


船長

 『はあ。思ったより、良くなかったようですなあ。』


館長

 『まあ、そうなのですわ。急ぐ必要がありました。』



       🐑う?

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