『人間変性症』 下の6
ふたごきと、アーニーロボさんは、その大きな筒たちの畔を歩いてゆくのだ。
マーダー捜査官
『非常に解りやすいな。』
スリラー捜査官
『たんに、醜悪なだけよ。』
マーダー捜査官
『そうか?』
アナウンス
『ご覧のように、これは、人類が生き残りをかけて、ごき化の道を辿った、その、真実のあゆみです。なお、これらは、すべて実物です。ただし、自然死したもので、つまり、実験の過程で失敗した実例なのです。ごき化は一日にしてならずなのです。』
マーダー捜査官
『あなたは、質問に答えられるのかな?』
アナウンス
『もちろんです。お客さま。』
マーダー捜査官
『なぜ? ごき化したの。いつから始まった?』
アナウンス
『それは、明確な地球政府の意思によりました。地球環境は、やがて人類の生存に適さなくなることは明らかでした。公表はされませんでしたが。明日すぐに、とかではありませんが、すくなくとも、生物の進化では追い付かないほど急激なものと予測されました。ご覧のように、さまざまな試作がなされました。あり人間。もぐら人間、でばねずみ人間………。最終的にもっとも適切と判断され、実現したのが、ごき化でありましたのでございます。ここには、それらの各種実験過程をみることが出来ます。プロジェクトの開始は、公式には、西暦2050年でした。』
スリラー捜査官
『完成したのは?』
アナウンス
『西暦2250年です。管理された共食いにより、急速なごき化が進み、個体数の適正化と環境改善、戦争の廃止、様々な課題が解決されました。ただし、地球は、もはや、原人間の長期の生存には適しません。宇宙スーツが必要です。』
マーダー捜査官
『なにが、良くないと?』
アナウンス
『大気です。人類にはもはや、酸素が足りない。』
アーニーロボさん
『それは、推測できていました。』
スリラー捜査官
『あんた、解ってたの?』
アーニーロボさん
『そら、そうです。しかし、ぼくには関係しないね。』
マーダー捜査官
『ふん。これなんか、すさまじいな。』
アナウンス
『でばねずみ化しすぎた例です。』
スリラー捜査官
『良くできた人形ね。』
アナウンス
『失礼ながら、本物です。』
スリラー捜査官
『解剖させてくれる?』
アナウンス
『あなたがたなら、可能です。準備します。』
マーダー捜査官
『やりすぎだよ。』
スリラー捜査官
『真実を明らかにするの。』
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