36.哀しい夜

『おいおい、いいのかい?ハサウェイ!ハルトさん、かなしそうだったぜ?』

にすんな、クロード。これでいいんだ……あ、オレさまはちょっとオシッコしてくるわ』

『クロード、かっておやり。ハサウェイは、ハルトさんを危険きけんわせなくないのさ』

『そっか。そういうことなんだね……』

『さあ、みんな。明日あすそなえて今日きょう解散かいさんだ。ゆっくりやすんでおいてくれよ』『おう!』

『ハサウェイ、オイラと一緒いっしょかえろうぜ』

『ああ……』

『……そ、そんなにむなよ。ハルトさんのためなんだろ?』

『……ご主人様しゅじんさまキバいちまった。オレさまは、最低さいていイヌだな』

かえったらあやまりなよ。ハルトさんならかってくれるさ!』

『ああ、サンキューな。クロード』


 そのころ、ボクは寝付ねつけずに布団ふとんうえでゴロゴロしていた。

 ハサウェイが、ボクのことあしでまといだとおもっていたなんて……キバくなんて……。

 くと、ボクのまくらなみだれていた。


〘あーあ、ハルトのやつおこってるかなぁ……いや、かなしんでるかも。とにかくあやまろう〙


 しばらくすると、廊下ろうかゆかがギシギシとおとてた。部屋へやのガラスにハサウェイの輪郭りんかくがぼんやりとえる。

『ハルト、起きてるか?』

 ボクは、タオルケットをあたまからかぶってうごかなかった。ていうか、ハサウェイとかおわせづらくて、うごけなかった。

ちまったのか……。わるかったな、キバくなんて最低さいていイヌだ。おとうと失格しっかくだよ……ごめん。じゃあ、おやすみ』

 ハサウェイは、くようなこえで、そうのこすと、またギシギシとゆかをきしませてそとていった。

 たフリをするなんて、ボクのほう最低さいていだ。明日あしたあやまろう……。


{ボクもごめん!}

 翌朝よくあさきると、オレさまの寝床ねどこにこのメッセージと、大好物だいこうぶつのビーフジャーキーがいてあった。

 オレさまは、ホッとすると、自然しぜん尻尾しっぽっていた。

 ビーフジャーキーをあっというたいらげ、みんなの集会所しゅうかいじょかった。


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