⑲神社

「あれ?ハルトくんどうしたの?かおにして……」

「あ、いや……自転車じてんしゃをこいできたからあつくてさ、アハハッ」

「そうだよね……ごめんね。本当ほんとうはパフェの美味おいしいおみせ案内あんないしたかったんだけど、アルバイトのお巫女みこさんが体調不良たいちょうふりょうきゅうやすみになっちゃって……」

「いや!全然ぜんぜんいいよ!にしないで!夏休なつやすみみのあいだは、ずっとこっちにいるし、これからハサウェイとべつところこうかなとおもってるからさ」

「そっか。ハサウェイくんもごめんね」

 ハサウェイは、陽菜ひなちゃんにあたまでられると、尻尾しっぽってよろこんだ。

「ところで、ここの神社じんじゃ狛犬こまいぬわってるね?」

「う、うん。ウチは狛犬こまいぬじゃなくて、なの……」

 っ!!

「ニホン……オオカミ!」ハサウェイとボクはかお見合みあわせた。

「このあたりはむかしから農家のうかさんが多いから、農作物のうさくもつ豊富ほうふなの。けど、鹿しかいのしし田畑たはたらされてこまっていた。そんなとき、ニホンオオカミがあらわれて田畑たはたらすけもの退治たいじしてくれたらしいの。だから、この神社じんじゃはニホンオオカミをまつり、農作物のうさくもつがたくさんみのるようにと、あがめられているの」

「なるほど、狼信仰おおかみしんこう神社じんじゃなんだね!」

『ハルト、こりゃ、ラングレンがってた魔物まものや、れんってたニホンオオカミの写真しゃしんも、真実味しんじつみしてきたな……ん?』

 ……一瞬いっしゅん、ほんの一瞬いっしゅんだったが、ハサウェイは陽菜ひなった。いや、まるで自分じぶんはなしいていたように、ハサウェイはかんじていた。


 その参拝客さんぱいきゃくえてきて、陽菜ひなちゃんはいそがしくなった。ボクらは陽菜ひなちゃんにって神社じんじゃからた。そこから徒歩とほ10ぷんほどはなれたやま入口いりぐちった。

なんだかなつかしいね。ハサウェイ……おぼえてるかい?」

『ああ、もちろんさ!さてと、のぼるとしますか!』

「よし!いざ、入山にゅうざん!」


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