⑱傷だらけのボクら

「ハルくーん、あさごはんできたよぉ」

「ん……はぁい!今行いまいくよ!」

 そうだ、大翔ボクはおばあちゃんまっているんだった!そういえば、ハサウェイのやつかえっ……ぐぬぬっ!

「おい、ハサウェイ!なんでボクの布団ふとんてるんだよ?」

 ハサウェイは、ボクの足元あしもともぐんでイビキをかいていた。

『んん……お、ハルトおはよう。えっ?!なんだよおまえきずだらけじゃねぇか!』

「え……?てか、ハサウェイもじゃん!一体いったいなにがあったの?大丈夫だいじょうぶ!?」

 ボクら兄弟きょうだいきずだらけだった。そのきず理由わけを、ゆうこった出来事できごとをおたがいにはなした。


 おばあちゃんの美味おいしい朝食ちょうしょくをたらふくべて、ボクらは出掛でかけた。

 昨夜さくや陽菜ひなちゃんからLINEがて、いえあそびに約束やくそくをしたのだ。なんと、陽菜ひなちゃん獣護山ししもりやまのふもとにある神社じんじゃらしい。

『そうなのか!じゃあ、じょうちゃんでおまいりしてから獣護山ししもりやまのぼろうぜ!』


 自転車じてんしゃで、獣護川ししもりがわ土手どてを30ぷんほど走ると、やまふもといた。そこからなが石段いしだんをのぼったところ陽菜ひなちゃんがある。森林しんりんかこまれた、とても神聖しんせい場所ばしょはじめてたのにどこかなつかしい気持きもちになる。

獣護神社ししもりじんじゃか……へぇ」『そのままだな……』

 あか鳥居とりいをくぐりけると、参拝客さんぱいきゃくがパラパラといた。かん観光客かんこうきゃくではなく、地元じもとひとたちのようだ。

 あたりをキョロキョロと見回みまわしていると、社務所しゃむしょ(おまもりなどをっている建物たてもの)から陽菜ひなちゃんがりながらてきた。

「ハルトく〜ん!」

 なんと、陽菜ひなちゃんは、巫女みこさんの衣装いしょうにまとっていた。しろ着物きものあかはかまながくて綺麗きれい黒髪くろかみうしろでまとめ、足元あしもと草履ぞうりいていた。

 ボクはわずいきみこんだ。だって……まるで女神様めがみさまのようにえたから!



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