⑰軍団入り

『ハサウェイ、大丈夫かい?』

 ゴールデンレトリバーのクロードが心配しんぱいそうにった。

大丈夫だいじょうぶ!どうだ?オレさま、つよいだろ?』

 オレさまは、いたいのを我慢がまんしてニッコリとしろせた。

 それからもなく、ボスイヌのラングレンがました。

『グゥ……やられた。おれ気絶きぜつさせたのはおまえさんがはじめてだよ。

 ラングレンは、あかがったあたまでながら苦笑にがわらいをかべた。

『なぁに、とっさの機転きてんってヤツさ。ところで、名前なまえんでくれたな。これで仲間なかまれてもらえるか?』

『ああ、もちろんだ!それどころか、ボスにならんか?ハサウェイ』

『あー、無理無理無理むりむりむり!そんなめんどくせぇこと興味きょうみないぜ』

 まわりのイヌたちは、オレさまたちのやりりに大笑おおわらいした。

 れて、オレさまはこの軍団ぐんだんのメンバーとなった。

『ところで、ここにはメス子犬こイヌ見当みあたらないが……?』

『ああ、アイツらをよる外出がいしゅつさせるのは危険きけんだ。よるあつまるのはオスだけさ』

『へぇー、ラングレンさすがはボスだな』

『ねぇ、アタシをわすれてなぁい?』

『あっ!アンタは……フォンダ!』

 『ウフフッ、おぼえていてくれたのね』

『しかし、なぜ美人びじんさんがよる集会しゅうかいへ?』

 オレさまは、ボスの言葉ことば矛盾むじゅんしたフォンダの存在そんざい不思議ふしぎおもった。

『フォンダは、みずか志願しがんして集会しゅうかいている。おれたちの軍師ぐんしだ』


『ハサウェイ、アナタは猟犬りょうけんではないのでしょ?』

『ああ、そうだ。それがどうした、フォンダ?』

『なら良かった。りょう獣護山ししもりやまたのではないなら問題もんだいないわ』

りょうではないが、明日あす飼い主アニキ予定よていだが?』

『な、なんだと!やめろ、くんじゃない!あそこには!』

 ラングレンは、あわてた様子ようすくちはさんだ。

魔物まもの……?どういうことだ?そんなモンいるワケないだろ。それにあのやまはじめてじゃねぇ』

おれらこのまち犬界隈イヌかいわいでは、むかしからの伝説でんせつだ。半年前はんとしまえ冗談半分じょうだんはんぶんやまはいったヤツも行方不明ゆくえふめいのままだ』

 こんなにつよいラングレンが、こえふるわせていた。

『そうか、忠告ちゅうこくサンキュー!オレさまはそろそろかえるわ。アニキにおこられちまうからよ。クロード、みんな、またな!』

 オレさまは、不思議ふしぎはなしだとおもいながらも、ただの伝説でんせつだろうととくにもせず帰路きろについた。




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