⑬うごめく影

 獣護山ししもりやまのとある神社じんじゃでうごめくかげがあった。


 こけえた石段いしだんのぼり、ふるびた鳥居とりいをくぐりけると、石造いしづくりの2体の狛犬こまいぬがある。その狛犬こまいぬが、青白あおじろひかった。

 すると、そこからるように、しろけものが2とうあらわれた。そして、神殿しんでんまえき、せてあたまげた。

『おびでしょうか?』

 けものびかけに、神殿しんでんおくから何者なにものかがあらわれた。くらがりで姿すがたえないが、だけがあお発光はっこうしている。

風神ふうじん雷神らいじん最近さいきんうごきがあわただしい。警戒けいかいおこたるな』

『はは』

『それともうひとつ、まちイヌどもに新入しんいりがたとのうわさだが……?』

『はい、たしかぬし人間にんげんどもだったはずです』

 童子わらしか……まさか……


童子わらし】……むかし言葉ことばで[ども]のことだよ!


『すまぬが、そのさぐってきてくれ』

ぬしイヌではなく、人間にんげんを……ですか?』2とうくびかしげた。

『そうだ、童子わらしほうだ。たのんだぞ』

御意ぎょいっ!』

 2とうしろけものは、ぶようにまち方角ほうがくへとえていった。

 そしてまた、あおけもの神殿しんでんおくへとえていった。


 そのころ大翔ボクはおばあちゃん縁側えんがわで、夕涼ゆうすずみをしていた。

「おばあちゃん、よるになるとだいぶすずしいね」

「そうだね。おばあちゃんはえてきたからそろそろるね。ハルくんもはやめにるんだよ」

「はぁい。おやすみ、おばあちゃん」

 ああ、スズムシのごえか。都会とかいではくことのないおと。やっぱり自然しぜんはいいなぁ。なぜかく。

 それにしても、おどろいたなぁ。まさか陽菜ひなちゃんと再会さいかいしたなんて。ボクより、すこしだけたかかったな……


 っ!!

 ボクは、屋根やねうえ気配けはい察知さっちした。ポケットからスマートフォンをし、ライトモードで気配けはいのするほうてららした。

 そこには、2とうしろけものがいた!

 

 

 

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