⑫この町のボス

 クロードとハサウェイオレさまは、まちイヌ一堂いちどうかいするもりなかへとかった。

 5分程走ふんほどはしると、小高こだかおかひらけた場所ばしょいた。ここは滅多めった人間にんげんないため、イヌたちの集会所しゅうかいじょってけの場所ばしょなのだ。

 すでに、おおくのイヌたちがあつまっていた。ザッと数十匹すうじゅっぴきはいるだろう。

 『ほぅ、随分ずいぶんにぎやかだな。クロード、ボスはどいつだい?早速さっそく挨拶あいさつをしようじゃないか』

 『あのさ、ハサウェイ……じつは、新入しんいりにはちょっとした儀式ぎしきがあるんだ』

 『儀式ぎしき?いったいなにをするんだ?』『えっと、その……』

 クロードが、くちごもったとき、ボスがあらわれた。

 おおおっ、コイツはスゲェ威圧感いあつだ!

 ここにいるみんなは、整列せいれつしてボスにあたまげた。そして……

 『新入しんいりはどいつだ?まえろ』

 『ちわッス!オレさまはイングリッシュ・セターのハサウェイだ。よろしくたのむ』

 オレさまは、まえて、ボスの野太のぶとこえこたえた。

 『おれはこのまち一帯いったいをまとめているラングレンだ。ほう、セターか。猟犬りょうけんか?』

 『いや、ただのさ。アンタは、ピットブルか……』

 コイツはヤバい予感よかんがしてきたぜ……


【ピットブル】

 攻撃性こうげきせいたか犬種けんしゅおおきさは中型ちゅうがただが、カラダは筋肉質きんにくしつ。アーモンドがたからこわい。世界最強せかいさいきょうイヌともわれているんだ!

 ちなみに、ラングレンはグレーいろ


『おい新入しんいり。いまから歓迎かんげい儀式ぎしきおこなう』

儀式ぎしき……?ってか、オレさまはなつあいだここにるだけだ。あと、名前なまえんでくれよ。ハサウェイだ』

『ヤロウども儀式ぎしき準備じゅんびだっ!』

 ラングレンの命令めいれいで、イヌたちは円状えんじょうになりオレさまたちをかこんだ。

『オイオイ、なんのマネだコリャ?』

『クククッ、いまからおれをしてもらう』

だと?どうてもアンタにかなうワケないだろ……』

心配しんぱいするな、新入しんいり。きは禁止きんし体当たいあたりとのみでたたかう。気絶きぜつしたほうけだ』

 まわりをかこんでいるイヌたちは、クスクスとわらっていた。



 

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