45.裏の神職

 一方いっぽう、ハサウェイは……

 オオカミのキバをギリギリのところでかわす!

 しかし、オオカミは攻撃こうげきゆるめない!

 ガッ!ガッ!ガッ!ガッ!

 まるであたまがいくつにもえるほど俊敏しゅびんうごきできにくる!!

 ハサウェイはそれを縦横無尽じゅうおうむじんにかわす!

『は、速い!!』

 2とうは、みんながえないほどスピードだ!

 そんなはげしい攻防こうぼうつづいているときだった!

「サウス!ノース!やめなさい!!」

 そのさけごえは、巨大きょだいきないわうえからこえた。みんな一斉いっせいあたまげた。

「……えっ?!ひ、陽菜ひなちゃん?!」

 なんと、そこにっていたのは、巫女装束みこしょうぞくにまとった小林陽菜こばやしひなちゃんだった。

「ハルトくん!って、いまりるね!」

 シュッ!ふわりっ

『!』『!』『!』『!』『!』『!』「!」

 なんと、陽菜ひなちゃんはしろくておおきなオオカミのって、いわからりてきた!そして、その両脇りょうわきには……風神ふうじん雷神らいじんがいた!

 ボクたちとたたかっていたオオカミ、サウスとノースも陽菜ひなちゃんのもとけてった。


「こ、これは一体いったい……どういうこと?」

 ボクたちは、仰天しょうてんいきんだ。

 5とうのオオカミをなづける巫女装束みこしょうぞく陽菜ひなちゃん。これは一体いったい……?

「ハルトくん、ごめんね。かくすつもりじゃなかったんだけど……神社ウチのしきたりで絶対ぜったい他言たごんしてはいけないの。でも、ハルトくんがへやってたということは、説明せつめいする必要ひつようがある」

「う、うん。おねがい……ボク、混乱こんらんしてる」

 陽菜ひなちゃんは、オロオロしているボクをて、もうわけなさそうに苦笑にがわらいをかべた。


 獣護神社ししもりじんじゃは、明治時代めいじじだいからつづ五穀豊穣ごこくほうじょう邪気壊滅じゃきかいめつかみまつられている、狼信仰おおかみしんこう神社じんじゃだ。農作物のうさくぶつそだつよう、また悪事あくじきないようにとみな参拝さんぱいする。そして、もうひとつうら神職しんしょくがある。それは、ニホンオオカミをまもこと明治時代めいじじだい絶滅ぜつめつ危機ききであったニホンオオカミを数十頭すうじゅっとう保護ほごした小林家こばやしけ先祖せんぞが、このやま一部いちぶ結界けっかいった。それが、いまハルトたちのいる〘ユートピア〙。ここは、人間にんげんづくことのないオオカミたちの住処すみか獣護神社ししもりじんじゃ代々だいだい、このユートピアに結界けっかいつづけオオカミたちをまもっているのだった。




 





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