ハサウェイとボク～白狼神話～

43.アメノカクの刺客

　ボクの足元（あしもと）に伸（の）びる3つの影（かげ）……

　肩越（かたご）しから背後（はいご）をのぞくと、そこにいたのは、ボクらを襲（おそ）って来（き）たニホンオオカミたちだった！

『クククッ、見（み）ぃつけた』『間（ま）に合（あ）ったな』『アメノカク様（さま）に怒（おこ）られなくて済（す）む』

「な！アメノカクだって！？キミたち、アイツの仲間（なかま）なのか？！」

『仲間（なかま）なんておこがましい。ワイたちのボスさ』

「どうしてボクたちを襲（おそ）う？」『まだそんな事（こと）を言（い）っているのか？』『アメノカク様（さま）に言（い）われたろ？ミ・コ・ト・くん』

「また、それかよ……。とにかく今（いま）は何（なに）もしないでくれ！みんなを川（かわ）から引（ひ）き上（あ）げないと、もう少（すこ）しで滝（たき）なんだ」

『そいつは大変（たいへん）だぁ！よし、手伝（てつだ）ってやろう』「本当（ほんとう）かい？助（たす）かるよ！」

『いや、気（き）にするなよ』『どれどれ……』『ハイよっと！』

　ドンッ

「ウッ！」

　ボクは背中（せなか）を押（お）された。

「な、何（なに）をするんだ！」『何（なに）をって、手伝（てつだ）ってるのさ、みんな仲良（なかよ）く滝（たき）に落（お）ちるのを』『ギャッハッハッ！』

　ドンッ！ドンッ！ドンッ！

　ブシェーミは、わざと手加減（てかげん）して押（お）してくる。

「く、クソゥ……」

　ボクは、手（て）の皮（かわ）がすりむけて、踏（ふ）ん張（ば）る力（ちから）も限界（げんかい）になってきた。

『ハルト！もういい、木（き）の棒（ぼう）を離（はな）せ！』『ハルトさぁん！オイラたちにかまうな！』『ハルトさんがあの能力（のうりょく）を使（つか）えば、こんなヤツらに負（ま）けない！早（はや）く離（はな）して！』『そうだ！ハルトさん！アタシたち、この棒（ぼう）につかまったまま滝（たき）に落（おち）ちてみるわ！ひょっとして、助（たす）かるかも！』

「フォンダ、それでもボクは離（はな）さない！ひょっとしてじゃなく、絶対に助（たす）けるんだ！」

『ヒュゥッ！さすがはミコトだねぇ。でも、もうそういうの要（い）らないんだわ……バイバイ』

　ドコッ！！！

「うわぁ！」

　ついに、ボクは川（かわ）に落（おと）とされた。棒（ぼう）につかまるみんなも流（なが）される……チクショウ！なんでこういう時（とき）にオーラがでないんだ！

　ボクたちは全員（ぜんいん）、激流（げきりゅう）に飲（の）まれ滝（たき）から落（お）ちた。