38.邪神

 そのバケモノ、大木たいぼくえだのようなツノ、ひかしろなそのカラダは、まるでバスのように巨大きょだいだ!

 大翔ボクたちは、いきをするのもわすれてソイツを凝視ぎょうししていた。

 ブフォォォォォッ!!

「っ!!」

 ソイツはおおきな鼻息はないきいた!

 しろつめたい鼻息はないき……なんと、きり正体しょうたいはこのバケモノの鼻息はないきだったのだ!

『クッ……キサマ!何者なにものだっ?』

 ハサウェイのいかけに、ソイツはひくくこもったこえこたえた。

われ邪神じゃしん 天迦久神アメノカク なり

『じゃ、邪神じゃしん?か、かみってことかよっ!』『マジかよ……』

「お、おまえは、なぜボクとハサウェイをねらう?」

〖……ほほぅ、まだ目覚めざめてはおらぬようだな、よ〗

 目覚めざめ?ミコト?!一体いったいなんなんだ?またばれた……。

都合つごうがよい。いまのうちにつぶしてくれよう〗

『っ!!まずい、まずいぞ……フォンダ、なにさくはあるか?』

 ラングレンは、あせりをせていた。こんな事態じたいこるなど、だれもが想像そうぞうできなかった。

『……そうね。こういうときは……のみ。撤退てったいが1ばんさくよ!』

 フォンダは、軍師ぐんしとして冷静れいせいだった。いや、せる恐怖きょうふ自制じせいしているのかもしれない。

げれる……のか?』

『アタシにかんがえがある。すこしのあいだ時間じかんをかせいでしいの。できる?』

『ああ、なんとかやってみるさ!』

〖ほほぅ、雌犬メスイヌわれからげるとな?できるかのう?〗

『う……こ、こわい。でも、ってやる。みんな!なんとか時間じかんをかせいでちょうだい!クロード!アンタはアタシにいてきて!』

『わ、かった!』『よっしゃ、やってやる!』『たのんだぞ、フォンダ!』

 フォンダとクロードは、全速力ぜんそくりょくはしした!

『まずはおれたちがむ!』

〖ツインズ・シザーズ〗!!『ウオオオオッ!!』

 邪神じゃしんアメノカクに左右さゆうからんだ!

 ガツンッ!!

『よし!双子ふたり必殺技ひっさつわざをまともにらったぞ!』

『グァッ!』『ガフッ』

 しかし!ばされたのはふたりのほうだった!アメノカクはビクともしない!

『クソォ!つぎおれだっ!!』

 ラングレンはアメノカクのふとあしいた!

 そして、なんと!そのあしげた!

『オリャアアア!』

『スゲェ!』『さすがはラングレンだ!』

 しかし、それはアメノカクがみずかあしげただけだった。

 ラングレンは、まるでボールのようにばされ、激突げきとつした!

 ドコンッ!!『ウオッア!!』

『くっそぉ!つぎはオレさまだぁ!!』



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