28.ブシェーミ

 集会所しゅうかいじょあらわれた、ちいさめのイヌ動物どうぶつは、カラダにつかぬはなっていた。

〘フォンダ、おれ合図あいずしたらげろ〙〘ラングレン!アタシもたたかうよ!〙

〘ダメだ!これはボスとしての命令めいれいだ!〙〘わ、かったよ……〙

〘よし、イイだ。それと、ハサウェイには絶対ぜったいらせるな〙

『おいおい、なにをコソコソはなしてんだよ?どうやらっているようだな、その人間にんげんイヌを』

 ソイツは、かおをニヤつかせた。

『ふんっ!っていてもおしえるワケないだろ!……フォンダ、いまだ!け!』

 ラングレンの合図あいずで、フォンダははしした!しかし、ソイツはにもまらぬはやさで、フォンダをつかまえた。

『ク、クソッ!なんてはやさだ……』

『ケケケッ!残念ざんねんだったな。ワイはスピードに自信じしんがあるんだ』

 フォンダの犬種けんしゅはボーダーコリー。おも牧羊犬ぼくようけんとしてはたらくため、あしはやい。

 フォンダも、仲間なかまたちのなかで12あらそはやさだが、コイツはそれよりもうえをいっていた。

『さてと、デカイの。お友達ともだち居場所いばしょおしえなければ、可愛かわい彼女かのじょくびをへしるぞ。ケケケッ』

『ちょっと、失礼しつれいね!彼女かのじょじゃないわよ!かれ父親ちちおやみたいなものさ!』

 フォンダは、まだおさなかったころからラングレンに可愛かわいがられていた。

 まさに、むすめちちのような間柄あいだがらなのだ。

『フォンダをはなせ!おれ堂々どうどう勝負しょうぶしろっ!』

『おおっ!こわいね。たしかピットブルって犬種けんしゅだろ?犬界イヌかい最強さいきょうなんだよな?いいぜ、勝負しょうぶしてやる。ワイの名前なまえはブシェーミ。ただ、おんながさん。仲間なかまばれたら面倒めんどうだしな』

 ソイツはそううと、あごちからでフォンダのくびをギリギリとめた。

 フォンダは、うしいそのたおれた。

『キサマ!メスすとは、ゆるさん!』

 ラングレンは、キバいてソイツにおそいかかった!

 しかし、ソイツはその攻撃こうげきをするりとかわす!

遅っおそ!それじゃあ、いくらつよくてもワイはつかまらんぞ。ケケケッ』

 今度こんどはソイツがうごいた!

 ものすごいスピードで、ラングレンのよことおけた!

 すると、ラングレンのあしちいさなかすりきずがついた。

なんだこの攻撃こうげきは?よわすぎてはなしにならん。キサマこそ、おれたおことはできん!』

たして……そうかな?』

 


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