22.大ピンチ!

 そして現在げんざい……

 大翔ボクたちが出会であったここ獣護山ししもりやまで、ニホンオオカミの真相しんそうさぐるべく兄弟ふたりやまなかあるいていた。

 おおわれたみどり屋根やねで、真夏まなつ太陽たいようまない。わりとすずしい。

『なぁハルト。あの神社じんじゃじょうちゃんだけどよ、たぶんイヌ言葉ことばかるぞ……いや、絶対ぜったいかってる!』

「え?陽菜ひなちゃんが?どうして?」

『オレさまがはなしたとき反応はんのうしたんだ。ほええたワケでもねぇのに、ったんだよ……が』

「そうか。でも、だとしたらなぜかくしているんだ?」

『は?ハルトは本当ホント頭悪あたまわるいな。ワタシイヌ言葉ことばかります!とかったらしろられるだろぅが』

「……たしかに」

『まぁ、いずれにしろなにかしらかくしていること間違まちがいはないな』

 そんな会話かいわをしているとき突然とつぜんきりあたりをおおくした。

しろだ!ハサウェイをつけろ!たかいぞ、このがけ

『シッ!しずかに!』

 ハサウェイがうごきをめた。ボクもすぐさまくちじ、あたりを警戒けいかいした。

けものにおいだ……なにかいる、かなりちかいぞ!』

 ハサウェイが、そうつぶいた瞬間しゅんかん……

 いわうえから、きりばすいきおいで、しろ大型おおがたけものした!

 シュンッ!!

 ソイツは、とてつもないはやさでハサウェイの背後はいごからびかかってきた!

「ハサウェイ!あぶないっ!」

 ボクは、ハサウェイをがけ反対側はんたいがわばした。

 そして……ボクは、ソイツの体当たいあたりをまともにらい、がけうえからちた。ボクは、そこからの記憶きおくが……ない。


『ハルトオオッ!クソッ、コノヤロウ!』

 ハサウェイオレさまいたとき、すでにしろけものはいなかった。オレさまハルトをって急斜面きゅうしゃめんをダッシュでりた。

『クソォ、なんでオレさまなんかをたすけた!バカヤロ……ハルトのバカヤロウ!無事ぶじでいてくれ、ハル……にいちゃぁん!!』


 その、オレさまは石段いしだんうえよこたわるハルトと、鼻先はなさきでハルトをまさぐるしろ大型おおがたのイヌけもの鉢合はちあわせる。

 無我夢中むがむちゅうけものびかかるが、ソイツはまるでけむりのようにえた。

 そして、なぜかかすりきずひとつないハルトに安堵あんどする。

「あれ?ハサウェイ……どうした?」

『やっとましたか!どうしたじゃねぇよ!』

「ああ、そうだ、がけからちたんだった!あれ?ハサウェイ、なんかいてね?」

『うるせぇ!きりうるんだだけだよ!』

「いやきり……スッカリれてるぞ」

『ぐぬぬ……』

 カプっ!

ったぁ!みつくんじゃないよ!このバカおとうとが!」

『ふふんっ』





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