21.ハサウェイとの出会い

『クゥン……クゥン……』

 あらわれたのは、ちいさなちいさなイヌあかちゃんだった。

「ねぇ、とうさん!あれって、もしかしてオオカミどもじゃ?!」

 ボクは、ニホンオオカミがのこっていたにちがいないと確信かくしんしていた。

 とうさんは、そのやさしくげた。

「ハルト、これは子犬こイヌだよ。まだまれてもないだろう」

「そ、そうなんだ……」

 たしかに、みみくろブチ模様もようわれてみれば、全然ぜんぜんオオカミにはえない。

とうさん、このどうするの?」

「そうだな……このすこってみよう。これはイングリッシュ・セターという犬種けんしゅ猟犬りょうけんなんだ。もしかして、ハンターと親犬おやイヌちかくでさがしているかもしれない」

たしかに!くびなにかぶらげてるしね。これはなんだろう?がったいしかな?」

「これは勾玉まがたまだね」

 ボクは、さむさにふるえるちいさな生命いのちふくなかれてあたためた。しばらくすると、ボクのふくふくらんできた。

 あれ?子犬こイヌうごいてるのかな?ふくくびもとからのぞむと、子犬こイヌねむっていた。

 あれ?これは……?

 なんと、勾玉まがたまひかりをおびてかんでいた。もなく、ひかりはすぼんでえた。

 なんだったのだろう?オモチャかな?

 それから数時間すうじかんぎた。

 ちて、あたりは薄暗うすぐらくなっていた。

とうさん、ハンターさんないね……」

「そうだね。やまりて、ふもと集落しゅうらく方々かたがたいてみよう。もしかしてぬしっているかもしれない」

 ボクたちは、何軒なんけんものおたくいてまわったが、このひとどころか、このあたりでハンターをしているひとさえつからなかった。

こまったね……」

 とうさんは、腕組うでぐみをして夜空よぞら見上みあげていた。ボクは、この数時間すうじかん芽生めばえた気持きもちをとうさんにつたえた。

とうさん、ボクこのおとうとにしたい!人間にんげん動物どうぶつ仲良なかよくしなければいけない。そうしないと、ニホンオオカミのように絶滅ぜつめつしてしまう動物どうぶつえてしまう。だから、せめてボクはこのすくいたいんだ!」

「このとハルトは出会であ運命うんめいだったのかもね」とうさんは、やさしく微笑ほほえんだ。

 ボクは、このをハサウェイと名付なづけた。ハサウェイはスクスクと元気げんきそだった。いまでは、スッカリ家族かぞく一員いちいんとうさんやかあさんもハサウェイのことをのように可愛かわいがっている。


 ボクたちふたりは、どんなときも、いつもでも一緒いっしょ信頼しんらいできるパートナーであり兄弟きょうだい

 とてもかたきずなむすばれているんだ。


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