Re地球人
星るるめ
Re地球人
あいつもあの子もみんなみんないつもそう。本当のことなんて何ひとつ知らないくせに好き勝手を言う。そして世界はいつだってどこにいたって中も外も混沌と混沌と混沌だ。生き急いでもだめだし、死に急いでもだめ。でもあまりのんびりしていると取り残される。
それがこの世の答えだから、今日僕はこの星を出る。地球人は今日でやめるのだ。
乗り込んだ宇宙船。ただ眩しいだけの青い光から遠ざかる。さよならを込めて一粒だけ涙をこぼしておいた。
僕は違う。あいつらやあの子達とは違う。僕は全てを知りたい。初めから終わりまできちんと知りたい。その摂理を知りたい。事実と真実を知りたい。その上でずっと静かな傍観者でいたい。ただそれだけなんだ。
辿り着いたのは深い緑の美しい星。履いていたボロ靴と引き換えにビー玉みたいなきらきらを手に入れても使い方はわからない。そして僕と同じような形をした彼女は目を瞑り何も言わない。それなのに僕は何故だかとても満たされた気分で、彼女に話をしたくなって。
「地球人はおかしな生き物でね。ずっと同じ場所では最高の幸せを感じていられない。僕らの幸せってのはやがて無に返る。特別が殺されてあたりまえに埋もれる時と、感動が溺れて退屈に沈む時は、ただただ自分にがっかりして死にたくなるばかりなんだ。」
彼女は静かに目を瞑ったまま。
「誰が悪いのかって?それはわからない。いや、もしかすると本当は誰も何も悪くはなくて、ただ僕らがそういう生命体だってだけなのかも。…ううん、違うな。結局いつもこれなんだ。いつだってみんなこういう風にいいながら誤魔化しあって、もうすっかり本当がわからなくなる。」
突然彼女が目を開ける。その途端、不思議な高揚感が僕に流れ込む。
「君ってなんだか、すごく素敵だね。レモンみたいに爽やかなのに憂いを帯びた瞳だ。絶望を纏っていながら穏やかな光が差し込んでいて、矛盾っていう言葉の意味から溶かしてしまうような。そうだ、あの歌みたいな」
『私も地球人。あなたと同じ地球人。』
!!!!!!!!!!!!
彼女から急に放たれたその声が頭の中で強く鳴り響く。
!!!!!!!!!!!
いつもの目覚まし時計が鳴る。目を開けると見慣れたいつもの風景。
僕は再び地球人になった。こうなるってことはいつだってわかっている。
だけど微かに残った心地よい高揚感のおかげで、今朝は昨日までとは少しだけ違うような気がしている。これでいい。これでよかったんだよね。
そんなことより僕にはやらなきゃならないことがある。彼女に似たあの歌のタイトルを早く思い出さなくちゃ。
Re地球人 星るるめ @meru0369ymyr
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます