第14話一人で行動
「全員確認が終わりましたね。今日のクエスト活動はこれで終わりです。また明日お会いしましょう。」
「私は寮に帰る予定だけど、ケントはどうするの?」
「俺はクエストを受けようかと思ってるよ。」
「そうなの?私も一緒にクエスト行っていい?」
「ああいいよ。リゼとメイはどうする?」
「私達も行くです。」
「行…く。」
「なら全員でギルド支部に行こうか。」
(いいのですか?彼女達を連れて行くとスキルの取得ができないのでは?)
(大丈夫。1階層だと別行動ができるからな。訓練だと言ってバラバラになるつもりだよ。)
学園内にあるギルド支部に到着したので中に入ると殆ど人がいなかった。
「他の人いないね〜。」
「そうだな。」
「多分私達の授業が終わるのが早かったからです。」
「同…感。」
「それなら人が増える前にクエストを取りに行こう。あそこにあるのがクエストボードだな。」
クエストボードには大量の紙が貼ってある。全部がクエストのようだ。入り口に近い方が1学年用のクエスト右に行くほど学年が上がるようだ。
「こっちが1学年用だな。今の俺たちが受けられるのはゼリースライムに関するクエストだな。これとこれでどうだ?」
クエストボードから2枚のクエスト票を剥がしてみんなに見せた。
◯クエスト票
場所
学園都市
スライムダンジョン
依頼内容
ゼラチンを10個納品する
条件
4/11まで
報酬
小銀貨6枚
依頼者
探索学園
◯クエスト票
場所
学園都市
スライムダンジョン
依頼内容
寒天を100個納品する
条件
4/11まで
報酬
小銀貨3枚
依頼者
探索学園
「いいよ〜。」
「異論はないです。」
「同…意。」
みんなから同意を得たのでクエスト票をそのまま受付に持っていった。今は空いている時間だからなのか受付には1人しかいなかった。20歳前後の緑髪の女性が受付業務をしている。1人しか並んでいなかったのですぐに俺たちの番になった。
「次の方どうぞー。」
「こんにちは、依頼の受注お願いします。」
「こんにちは、クエストの受注ですね。あれ?皆さん新入生ですか?まだ授業中のはずじゃ…?」
俺達のネクタイが赤色なので1学年だと分かったようだ。ちなみに2学年は青、3学年は黄、4学年は緑、5学年は白のネクタイになる。
「俺達のチームは早く授業が終わったんです。」
「そうなんです。私は総合受付の受付嬢をしているエルザです。この時間帯だと私が担当が多いのでよろしくね。」
「俺はケントで右がマリーさん左がリゼでその隣がメイです。こちらこそよろしくお願いします。」
俺の紹介に合わせてみんなエルザに向かってお辞儀をした。
「クエスト票と人数分の学生証の提出お願いします。」
言われたものをエルザに渡した。
「えっ⁉︎2つもクエスト受けるんですか?皆さん新入生ですよね?明日までにゼラチンを10個の依頼は新入生が達成したことがないんですよ?更に寒天100個なんて無茶です。寒天のクエストだけにした方がいいと思います。達成できないとペナルティーがあるんですよ?」
どうやら前例がないらしい。エルザをものすごく驚かせてしまったようだ。
「心配してくれてありがとうございます。さっきクエスト活動をしたんですがその時に余裕でできたので大丈夫です。」
「そっそうなんですね。わかりました。クエストを受注します。」
俺の言い分を聞いて落ち着きを戻したようですぐに受付処理をしてくれた。
「これで受注完了ですね。学生証お返しします。気をつけて行ってらしゃいませ。」
「ありがとう。行ってきます。」
エルザに礼を言ってから俺たちはすぐにギルドを出た。
入口を出てから途端に『ぐぅー』とマリーのお腹が大きい音で鳴った。
「お腹減ったー。」
「そういえばお昼の時間だったな。あの店でご飯を食べてからダンジョンに行こうか。」
みんなが賛成したのでギルド近くにあるお店で食事をしてから真っ直ぐスライムダンジョンに向かった。
*スライムダンジョン*
「みんなクエスト活動をやって感じたんだけど今の俺達には1階層のモンスターは簡単すぎる。だからルールを決めて競争をしてみようと思うんだけど、どうかな?」
「楽しそー、私はいいよ。」
「私もいいと思うです。」
「私も…いいよ。」
「みんな賛成してくれるんだね、ありがとう。じゃあルールの説明をするね。」
◯ルール
同じ色のスライムだけを討伐する
一番最初の空間で狩りをしてはいけない
1階層と2階層で狩をする
1人でモンスターを討伐をする
スキルと魔法を発動しないで武器だけで倒す
1階層のボスは討伐しても良いが計算に入れない
制限時間は1時間、時間になったら2階層の転移の間に集合
ドロップ品が一番多い人の勝ち
「みんな何色のスライムにするか決めた?ちなみに俺はブルーだ。」
マリーはグリーン、リゼはパープル、メイはレッドにしたようだ。
「みんなはまだ2階層の地図を持っていないよな?俺のスキルで作った地図を渡すよ。これが2階層の地図だ。確認してくれ。」
数分してみんな地図の確認が終わったようなので話しかけた。
「みんな準備できたな?始めるぞ?」
メンバーを見るとみんなうなずいていたので俺は学生証を見た。学生証には時間表示機能があるので現在時刻を確認した。
「集合時間は2時45分だ。よーい、スタート。」
メンバーはみんな一斉に走り出した。
(マスターはどうするつもりなんですか?)
(最初はここで狩りをしてスキルを獲得する。獲得してから改めて勝負に参加するよ。)
(ここで得たドロップ品はどうするのですか?)
(ここで得たのを計算に入れるとルール違反になるからな〜。しばらくはストレージの肥やしだな、折を見てギルドに売ることにするよ。)
(そうですか。2階層でもいいならいい方法があります。実はダンジョンの最初の空間には隠し転移の部屋があります。それを使い2階層に行くとブルーだけが出るモンスターハウスが1部屋あります。100体いるのですぐに条件を達成できると思います。)
(えっ⁉︎そうなの?それならルールを守れるぞ!すぐ行くから教えてくれ。それにしても同じ魔物が100体でるモンスターハウスがあったらみんなノーマルドロップスキルを獲得できてもおかしくないと思うんだけど。持ってる人なかなかいないよな。なんでだ?)
(それはスキルを得る条件が分からないからと1人で探索する人が少ないからです。ダンジョンでは命を落とす可能性が大きいのでパーティーを組んでから探索を人が多いです。)
(そっかー。条件が分からないと同じ魔物を100体も狩ろうとは思わないもんな。それじゃあ転移の部屋の行き方教えてくれ。)
(はい、まず右側の壁まで行きます。壁の近くにある大きい岩の上部分に小さい穴が2つあります。指を入れて2つ同時に音がするまで押してください。そいすると入り口が現れます。)
(わかった。)
メティスに言われた通り右壁の近くにある大岩の上に登ってみた。
(この穴だな、よし指で押してっと。)
カチッ、パアアアア
光った場所を確認してみると岩の側面に扉現れた。
扉を開けて中に入ると構造は2階層にある転移の間と同じだった。宝玉に触り2階層に転移しメティスに教えてもらったモンスターハウスでブルーを100体討伐した。するとステータスにスキルノーマルドロップが追加されていた。LVアップの時もだけどスキルを獲得しても知らせる音や声がないから条件がなかなか分からないのも頷ける。
(無事スキルが手に入ったようですね。おめでとうございます。)
(ありがとう、メティスのおかげだよ。メティスがいないと獲得条件が全然分からないからな。これからもよろしく頼むな。)
(どういたしましてマスター。メティスもマスターがいないと存在することができないのでとても感謝しています。こちらこそよろしくお願いします。)
(そうか。メティスにそう言われると嬉しいよ。)
(ところでマスターはこらからどうするんですか?)
(そうだな〜。1番最後に居たはずの俺が2階層にいると変だからな。1階層に行って今度はゆっくり2階層に来るとするよ。)
(では少し急いで転移の間に行った方がいいですね。もう少しでリゼがボス部屋につきそうです。)
(そうなの⁉︎わかった。急いで行く。)
無事、リゼが転移してくる前に1階層に転移した俺はゆっくり奥に向かって歩き始めた。
その後20分ほどで2階層につき、まだ時間が残っているので2階層を探索した。
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