大人になる僕ら

霧桜

夢と女

子供のころ、夢を見た。


「君は何にでも会うことができるんだよ。」

狐の仮面をかぶった少女は言った。

「サンタさんにも?」

幼いころの僕は言った。

「ああ、もちろん。」

「やったぁ、サンタさんに会ってみたいと思ってたんだ!」


今、僕は15歳。受験の年だ。


「じゃあ、ここの問題を_______________」

「_________________」

雑音が聞こえる。


_______ガタンゴトン

「______________」

ここでも雑音しか聞こえない。


_____ガチャ

「あ、おかえり_________」

雑音。


雑音。


雑音雑音。


もういいや、眠ってしまおう。


「君は何にでも会うことができるんだよ。」

狐のお面をかぶった少女は言った。

「例えば?」

僕は言う。

「サンタさんにも、妖怪にも、宇宙人にだって…」

「でも存在しないだろ?」


「…存在するよ。」

「君が存在すると思えば存在するし、君が信じないなら見ることはできない。」

「何年か前のあの日には、確かに見えただろ?」

少女のお面のひもが解けていく。


____カラン

「…信じてよ。」


その少女…いや、女の顔は、

母であり

姉であり

担任であり

近所の人であり


_______初恋の人だった

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大人になる僕ら 霧桜 @uiu

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