飾った想いは汚く見えるもの

カランベリル中央病院救急救命課、通称【救急隊】所属 Rank5 リフィア

隊長であり院長でもある 葉月海はづきうみ の元で研修を終わらせて、正式隊員として今年で2年目

思いっきり働いてようやく上官の立場に食い込み、市役所との会合時にも想い人の隣に立つことができるようになった

「リフィアおはよ~、」

「葉月院長、おはようございます。 今日も夜勤だったんですか?」

まぁね、、と欠伸をしながら重そうな瞳で此方を見てくる葉月院長の座っているベンチの隣に座って端末を弄り始める

出勤しているのは私と院長ともう一人の隊員だけで、今日も人は少なかった

最近はさらに起きてくる人が減ってきて、院長級の負担が多くなってきて夜勤や連勤が多くなってきている

「新人来ないかなぁ、、出来れば転職しないで長く救急いてくれる奴」

「いたらいいですけどね、職業柄を考えたら仕方ないですよ」

煙草片手に何時もの雑務を終わらせては院長のぼやきに言葉を返す

院長の担当した研修で残って此処までRankをあげたのは私以外に居ない

他に4人ほど研修の子はいたのだが正式隊員になるまでに2人、正式隊員になってから2人とも辞めて、3人はギャングに行っている

カランベリル有数の人の足りない行政で此処まで続けている院長は相当堕ちることを嫌っているのだろう

何となしに他愛ない会話を続けていると隊員用端末に何件かのダウン通知

「嗚呼、、私これ行ってきますよ、西地区の山の方任せて大丈夫ですか?」

「おっけぇ~、、ヘリ出してくるか」

東地区の通知を地図に入れてガレージでバイクの後ろにメディカルバッグを入れて発進

一番古い通知の場所へバイクを走らせる

「なんつーとこで死んでるんすか理沙さん、、」

「あは、、w ちょっとミスって落ちちゃったんだよね」

通知場所に行けば、建物の間で蹲っている顔馴染みのギャングが居た

近くに黒焦げのバイクがあることから如何やらバイクでの山登りチャレンジ中に失敗して此処まで落ちてきたのだろう

此処バイクで登るとか相当暇だったんですね なんて言いながらダウンの処置をして請求書を送り別れる

残りは4件だけ、マーカーは警察署内を差しているので恐らく打ち合いの練習か喧嘩だろう

ダウン通知をざっと見ては生きているであろう警察に連絡をしてみる

「はい此方警察本署海里です、なんすかリィさん」

「あ~、すいません 本署内で4人ほどダウンのマーカー見えるんですけどこれは襲撃か何かですか?」

顔馴染みでありよく処置をする海里君に電話をかけて行っても大丈夫か聞いてみる

「嗚呼、これはあれです シーヴァの暴走でぶっ飛ばされた後輩と同期なので来てもらって大丈夫です」

どうやら海里君と同期のシーヴァ君が暴走して後輩と同期をぶっ飛ばしただけらしい

ダウンと負傷者は何人くらいかな、なんて考えながら警察本署へバイクを走らせる

本署の駐車場について怒鳴り声の聞こえるガレージへ

「なぁんでまた暴走してんだお前は!? これだから血の気多いのは嫌なんだよ、、!」

大分ご立腹の様子の咲坂がテーザーガン片手にシーヴァ君と対峙中

” しつれぇしますよ~~、、 ” とこっそりダウンしている人たちを連れて安全な場所へと移動する

キレてる4人娘と雑談をしつつ処置と請求書送信を終わらせてはどうせまた誰かダウンするだろう、と安全地帯で雑談を続ける

やはり女子しかいないと必ず恋バナに行くのだろうか、段々と警察メンバーの恋愛事情の話題へと舵を切っていた

今は恋愛よりも仕事がいい人や、好きな人はいるけど告白が出来ない人

「そう言えばリフィアさんはどうなったんですか?」

ふと、先ほどまで話していた羽澄さんが此方に話しを振ってくる

「私、、ですか?」

「そうですよ、院長さんに片想いしてましたよね 確か」

ずばっと切り込まれれば他の人も食い気味に色々聞いてくる

短くなった煙草の灰が足元に落ちていくのを見ながら、私は答える










「私のこの汚い想いは、永遠に飾っておくと決めているので」








仕事に伝えられない想いなんて、持ち込むだけ無駄だ

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