修行

『初にしては良かったんじゃないか?』

「印象も悪くないみたいだな。一先ず成功って事で」

『そうだな。良いスタートダッシュだ。この調子で増やしてくぞ』


 SNSのコメントを確認する

 終わったばかりだからか配信に関しては悪いコメントは少ない


「チャンネル登録数少し増えたな」

『そりゃ良いな、再生数増えれば収入も手に入る』

「そういやそんなシステムあったな」

『ガッポガッポ稼ぐぞ』

「そんな稼げる物なのか」

『有名な人は凄い稼げてるらしい』


 ……ダンジョン以外の収入は有難い


 ダンジョンで稼ぐ事しかしていなかった俺からすると少しでも別方面の収入があるのは助かる


「そりゃ良いな」

『それで次はどうする?』

「配信の事か。……数日後にはダンジョン行くしその動画が先だな」


 傷は治っているし体力も回復してる

 もう11階層に向かえるが翼羽の特訓も兼ねて予定より数日時間を取る

 数日であの技術を得られるとは思わないが今よりはマシになるだろう


『11階層か。炎関連の魔導具選んどいたぞ』

「魔導具は魔力使うから多く持っててもう邪魔になるだけだぞ」

『一部はバックに詰めとく』

「服は変えたのか?」

『いや、あれが結構良さそうだからそのまま行く』

「まぁ変えすぎてもだからな。あっ、そうだ」

『どうした?』

「レベル11になったし弱い階層なら1人で挑んでも大丈夫だぞ。油断はしたらダメだがな」


 レベル11になった今なら5階層までなら楽に倒せる

 それも狛は近いレベルの時点で複数体を相手取れた事を考えれば余裕だろう


『そうだな、魔法の特訓したいし偶には潜るか』

「私有地とかなら魔法は使用しても問題無いぞ?」

『ステータスに影響あるのか?』

「いや、ほぼ影響無い。あってもほんの少し」

『外だと魔力はどうなるんだ? あれはステータス依存だろ』

「外だと初期ステくらいの魔力しかない。ダンジョン外でも育つって都市伝説並みの信憑性の話はあるが」

『ならダンジョン潜るかぁ。今日はもう寝るわ、お疲れ様』

「おう、お疲れ様……俺も寝るか」


 電源を落とした事を確認して布団に入り眠りにつく

 翌日から道場で翼羽の維持の特訓を行う

 魔力が切れるまで行い魔力が切れたら木刀を振るう


「疲れた」


 後ろに倒れ込む

 数回振っただけで腕が痛い、一振りでかなり体力が持っていかれているのが分かる

 腹筋や腕立ては出来ない


 ……くっそ……体力がねぇ


 ダンジョンアタック中に何度も休憩を挟まないと持たない程に体力が無い

 ダンジョンまで歩くだけでも疲れ移動でも疲れ戦闘では更に疲れる

 身長が小さくなった分、戦闘時は前より大きく動かないとならない

 呪いの効果も相まってこの身体はダンジョンに向かない


「……もう諦めてる事だ。魔力回復したら特訓再開だ」


 翼羽の維持の練習をする

 4秒足らずで羽が地面に落ちる


「最大で4、3秒か。かなり集中してだからこれじゃ使えないな。何かやり方を見つけないとな。初心に帰るか」


 基礎的な魔力の操作を行う

 指先にまで魔力を回す


「これは問題無く出来るんだよな」


 魔力を全身に回す事で魔力の盾を作る事が出来る

 擬似的に耐久力を上げる事が出来るこの技術は近接で耐久力を上げられる魔法が無い人には必要となる

 しかし、今の俺は戦闘中に全身に魔力を回して防御するだけの魔力の余裕は無い

 狛は身体ステータスを強化できる魔法で耐久力も上がる為、ほぼ不要な技術


「これの延長線の筈なんだが……」


 時間をかけて試行錯誤する

 それから毎日道場で特訓をするが成果が出ないまま11階層へ向かう日になる


「今日は……11階層行く日か。特訓の成果は出てないが仕方ない。入る前に狛から炎系の魔導具借りるかぁ」


 しっかりとゴスロリ風の装備を身に付けてチョーカーを付ける

 ダンジョン前で狛と合流する


「チョーカー付けてきたか」

「魔力補正は幾ら有っても足りないからな。炎系の魔導具1つ貸してくれ」

「幾つかあるがどのタイプにする?」

「短剣型だな」

「短剣型便利だよなぁ」

「短剣としても使えるのが大きい」


 短剣型の炎系魔導具を手に取る


 ……これで準備OK


「狛は準備出来てるか?」

「おう、バッチリだぜ」

「そんじゃ10階層に降りて休憩してから11階層に向かう」


 俺達は準備を整えて11階層へ向かう

 戦闘を避けながら向かう

 10階層で休憩するとはいえ無駄な体力の消費はしたくない


 ……1週間経ってるからあっちのルートだな


 広場を通ればリザーリオレムとの戦いをしないとならない

 その為、別ルートで11階層へ向かう

 特に問題なく10階層に着く


「こっちじゃないよな?」


 狛が扉の方を指差す

 扉の先にはリザーリオレムが居る、今回は戦う気が無いので扉は開かない

 俺は頷き細い道を指差す


「あぁ、今日はあっちだ」


 細い道を見る

 ガタイが良いと苦労するとよく言われる道


「狭っ」

「そうか?」

「体格差」

「あぁ、お前ガタイ良いもんな」


 魔物は出てこないが遠回りになる


「遠いな」

「まぁ階層主をスルーする道だからな。遠回りでも安全な分マシだ」


 暫く歩いて細い道を抜ける

 するとゲートのある広場に出る


「ここか、見た目変わんねぇな」

「ここで間違いない。休憩取るぞ」

「了解」


 端に座って休憩をする

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る