11階層 森のエリア

「確認だ。11階層は全体が森の階層だ。背の高い木が大量にあり足元は草が多く足元の草に引っかかり転倒などもある」

「そりゃ厄介だな。魔物が下に潜んでる事は?」

「普通にあるぞ。虫系は草の下や木の上などに潜んでるケースが多い。特にレロムビー、レロムスパイダー、レロムピードとか厄介だぞ」

「そういや名前英語? だけど日本語の名前の奴は居ないのか?」

「一応日本語名の奴は居るぞ。名前に関してはつけた奴によるから統一されてないんだよ。レロムビーは森赤蜂って名前があったはず」


 日本にあるダンジョンだが挑んでいるのは日本人だけではない

 その為、色んな言語で呼び方がある

 ややこしくなる為、仲間内で呼び方を統一しているケースが多い


「森赤蜂」

「一応複数ある場合は呼びやすい方を選んでる。話を戻すぞ。11階層からはレベル11〜20まで出る。最も15以上は13階層からが多く12階層まででは余り出ない」

「ほうほう」

「余り出ないってだけで出るから気をつけろよ」

「出てきたらどうするんだ?」

「レベル差のある魔物とは基本戦わない。しかし囲まれる場合があるから状況次第では戦闘をする」


 レベル差があると危険、特に今回は最悪レベル9差がある

 戦えば苦戦は確定だろう


「囲まれると厄介そうだな」

「このエリア種は地上も空も魔物の領域だからな」

「燃やすとどうなるんだ?」

「草木は燃やしてもすぐに再生する」

「成程」

「毒を持ってる魔物がチラホラ居るから攻撃は極力食らうなよ。解毒薬はあるが戦闘中に使ってる余裕があるか分からない」

「そりゃ気をつけねぇとな」

「休憩は終わりだ。行くぞ」

「おう!」


 11階層に繋がるゲートに入る

 森の中にゲートがある

 背の高い木が大量に生えていて薄暗い

 ドローンを起動して飛ばす

 地面には大量の草が生えている

 短剣を手に持って警戒しながら進む

 観察系のスキルと危機察知を使いながら進む


 ……魔物が見えないな


 暫く歩くと危機察知が反応する

 そして頭上から草を掻き分けるような音がする


「回避!」


 俺は叫んで横に飛ぶ

 俺の声に反応して狛も横に飛び槍を抜く

 俺の居た場所に粘性の液体が付着している


「上か!」

「ちっ、面倒な」


 頭上を見ると蜘蛛型の魔物が糸にぶら下がっていた


 ……遠いな。レベルは13か


 蜘蛛型の魔物の居る位置はかなり上、接近戦は出来ない


「どうする?」

「頭上に居られるのが厄介だ。落とす」

「了解」


 短剣を向けて炎を飛ばす

 魔物は糸を切り離して落下する

 そして直ぐに糸を別の木に飛ばして重力に従って振り子のように移動し炎を回避する


「まじかよ! 器用だな!?」

「器用に逃げやがる」


 粘液を吐いて攻撃をしてくる

 粘液を躱す


「如何にもやばそうな粘液だな」

「こいつの粘液に毒は無いがクソ重い!」

「つまり避けろって事か」

「燃えろ!」


 炎を飛ばして攻撃を仕掛ける

 本体ではなく糸を狙う、狙い通りに糸を炎で焼くと魔物は支えを失い落下する

 すぐに糸を出そうとする


「狛!」

「炎よ弾けろ!」


 狛は指輪型の魔導具を使用する

 同時に攻撃をしなかったのは連続で攻撃を仕掛けて立て直す隙を与えない為

 指輪から複数の火の玉が現れ蜘蛛型の魔物に襲いかかる

 遠い事と精度が悪い事が相まって1発だけしか当たらない


「1発か」

「充分だ」


 当たるのは1発で充分

 当たった火の玉は内部から破裂するように炎を飛び散らせる

 空中で体勢を崩した魔物は地に落ちる


 ……落下位置は……今!


 落下地点と落ちてくるまでの時間を計算する

 縮地で接近して魔物が地面に激突する寸前で翼を魔物に突き刺し切り裂く

 落下した後、草に隠れられると厄介

 魔物は力なく倒れて消滅する


「よし、倒した」

「落下地点とタイミング完璧だったな。よく出来るなそんな事」

「ただの慣れだ。いずれ出来るようになるぞ」

「落下地点の予測は出来るだろうがタイミングまでは出来る自信はねぇな」

「慣れだ、慣れ、魔物探すぞー」

「了解」


 魔物探しに戻る

 チラホラ他の探索者を確認する

 他の探索者の邪魔にならないように移動する


「凄い広いな」

「1階層とかと同じくらいの広さだと思うぞ」

「なら結構広いな。特に6階層からは狭かったからな」

「あぁ、確かに余計広く感じるよな」


 四足の獣型の魔物が現れる

 それも3体同時に


「レベル11だな」

「あぁ、複数体か面倒だな」

「俺が引きつける」

「分かった、攻撃よりも防御と回避優先だぞ」

「了解」


 狛は槍を持って突っ込む


「炎よ弾けろ!」


 火の玉が魔物に襲いかかる

 魔物は避けるが弾けた炎が魔物を焼く、攻撃に怯んだ魔物に槍を突き立てて1体を倒す

 1体が狛目掛けて飛び上がり噛み付こうとする

 狛は槍で防御の構えを取る


「羽よ飛べ」


 魔力を込めて数を増やした羽を飛ばして突き刺す

 羽が突き刺さった事で魔物は横に押され倒れ込む


 ……多分倒せてないよな


 噛み付きをギリギリで回避する


「こっち来てたのか」


 前足による引っ掻きを躱して翼を叩きつけて短剣を首元に突き刺す


「……危なかった」

「悠永、助かったぜ」

「俺の位置から狙えたからな」

「同レベルとはいえ結構余裕で倒せたな」

「想定よりステータス上がってんのかもな」


 レベルで上がるステータスは一定では無く個人差がある

 その個人差は圧倒的な差自体は無いがレベルが上がるにつれて差が広がっていく


「それは助かるな」

「俺1人の時はここ結構苦戦してたけどなぁ」

「そうなのか」

「装備が無かったってのもあったが蜘蛛型とかが中距離で攻撃してくる挙句届かねぇって事が良くあってな」

「あぁ……成程、魔導具持たない近接の人はかなり不利って事か」

「魔法それも炎系の魔法を使える奴が大体無双する」

「炎系か。炎に弱い魔物なら無双出来るな」

「炎系の魔法特化もやっぱ居るのか」

「結構多いな。高レベルにも2人位いた気がする」

「高レベルって何レベ?」

「低い方が60とか? 60も充分高いぞ」


 高レベル探索者は大きな枠組みでレベル50以上の探索者の事を指す

 レベル50になれる探索者は本当に一握りでそこから60、70と上がる事にどんどん減っていく


「60も遠いだろうなぁ」

「遠いな」

「もう1人は?」

「確か前会った時に76だったかな」

「ヤバっ」

「異名が灼滅しゃくめつだったかな」

「かっこよ。異名って悠永もあるのか?」

「俺は無い筈だ」

「残念」

「詠見は慈悲深き聖女、鳴が荒ぶる雷」


 戦闘スタイルやその振る舞い、見た目から名が付けられる

 勝手に付けられる名前で本人が認めていない場合や知らない場合がある

 灼滅は呼ばれている本人は多分その名前を知らない


「すげぇな……うん? 荒ぶる雷?」

「お前も高レベルになって活躍すればいずれ付けられるぞっと雑談は終わりだ」


 前方に魔物を発見する

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