翼羽の真髄
『翼羽』
短文詠唱
翼から複数の羽を分離させ操作する魔法
分離した羽は翼に戻す事は不可能
……俺が使ってる通りの魔法だよな? うん?操作? あぁ飛ばす時一応操作してるか
下の内容を見る
翼に込めた魔力量で分離出来る羽の数が変動する
「ふむふむ……え?」
「何かありました?」
「これ」
鳴にステータスを見せる
鳴も魔法の説明文を見る
流し見で見たのでこの説明文までは読んでいなかった
「成程、これは色々試せそうですね」
「そうなのか? まぁ込めた魔力量で分離できる羽の数が変動するってのは知らなかったな」
……増やせるのか良いな。しかし魔力量でって事は今までは込める量少なかったか?
分離出来る羽の量が増やせる事を知っただけでもかなりの進歩
「ちょっと道場で試しましょう。今思いついた事が出来るかも知れません」
「思いついた事? あぁ、分かった」
……あの説明で何か思い付いたのか
家の近くの道場に移動する
そして部屋の1つに入る
部屋の中は2部屋分と言った感じで思っていた程の広い印象は無い
壁や床を見ると大量に切り傷がある、練習の時の跡だろう
……これ全部練習の時の傷か、鳴や他の門下生の練習の跡かな
「ちょっと待っててくださいね」
鳴が別の部屋に向かう
「翼は出しとくか」
魔法を発動させて翼を生やす
鳴は別の部屋から試し斬りなどで使用される巻藁を持ってくる
「使ってみてください」
「羽よ飛べ」
短文詠唱をして魔法を発動させて羽を飛ばす
羽が巻藁に突き刺さる
「……精度はよし、羽を飛ばさずに維持は出来ますか?」
「飛ばさずに維持? やった事ないな」
「試してみてください」
「分かった」
羽を分離させた状態で維持を試みる
羽が空に浮くが数秒後に力無く地面に落ちる
……きっつ、これ普通の魔力操作じゃねぇな
魔力が必要な魔導具を扱う時に困らないように魔力操作は昔からしていた
しかし、今回は触れている魔導具に魔力を流すのとは勝手が違う
自分の体から離れた魔力の操作、それは今まで俺はした事が無かった
「恐らく翼羽の本領は羽の精密操作です」
「自身から離れた魔力の維持って高等技術じゃなかったか?」
「はい、高等技術と言われていますね。ただその代わりに色んな魔法で使える技術です」
鳴は指先に電気を発生させて俺目掛けて飛ばす
咄嗟に翼で防ごうとするが寸前で曲がり俺の頭を一周した後、鳴の腕の周りをクルクル回って消える
……簡単にやるなぁ
多少操る程度なら魔法をメインに扱っている探索者なら出来る
だがさっきのような自在な操作は魔法特化の探索者でも一握りしか出来ない
「これの特訓をすれば翼羽もかなり役に立つ物になると思います」
「最初の派生でやる事じゃねぇだろこれ」
序盤で手に入れる魔法にしては難易度が高い
高等技術が使える事が前提の魔法
「あぁ……確かにそうですね」
……操れれば時間差で攻撃とかやりようはあるが威力が低いから結局メインにはならないか。だがまぁ魔法を使うなら欲しい技術だ、特訓するかぁ
「お前はどうやって特訓したんだ?」
「えぇっと、私は魔法を使っていたら出来るようになりました」
「流石天才、参考にならねぇ……」
殆どの人は魔法を使っていたら出来るようになる代物では無い
何度か羽の維持を試すが進歩は無い
「ダンジョンでやるよりここで特訓した方がいいかも知れません」
「そうだな、これはかなり集中した特訓じゃないときつそうだしな」
集中力を使う技術の特訓はダンジョン内で戦いながら行うのは危険が伴う
「この技術を手に入れれば一段とパワーアップするのは間違いなし!」
「明日以降も道場を暫く使いたいんだが良いか?」
「大丈夫ですよ」
今日は一先ず終わりにして戻る
9時から配信がある
それに間に合うように食事、風呂などを済ませて部屋で準備する
配信の前から通話を始める
『あと20分で開始だ。もう少し早くても出来たな』
「想定外の事が起きて遅れるよりはマシだ。20分か了解……この待つ時間嫌いだわ」
待つ時間が長いとその分緊張する時間が長くなる
だからこう言った時間は嫌い
『お前結構緊張しやすいもんな』
「今回は特に配信だからな……今までみたいに配信関係なく戦うのとは勝手が違う」
『そうだな、お前配信気にせずに戦ってるもんな』
配信していると言ってもダンジョンでやる事は変わらない
ただ自分のペースで戦うだけ、配信を考えた行動は一切取っていない
「配信を気にして戦える程肝は座ってない」
『まぁ戦闘は俺も集中しないと怖いな。緊張ほぐすために雑談しようぜ』
「雑談?」
『今日は何食ったんだ?』
「今日はカツ丼」
『鳴さんが作ったのか?』
「あぁ、そうだぞ」
『美人の手料理とは羨ましい。美味しかった?』
「美味かったぞ。お前は何食べたんだ?」
『激辛明太子パスタ』
「激辛になったか……激辛が付いてなければ美味そうなんだがな」
『辛くても美味いぞ』
「度が過ぎる辛さなんだよ」
『そういや生活時ラッキースケベとかあったか?』
「ラッキースケベ? あぁ……」
……あれはラッキースケベと呼ぶのかわからんな
鳴は寝起きの時は服が乱れている事がちょくちょくあり寝間着も暑いからと少し肌を出している
「特には無いな」
『その間はなんだ?』
「お前が思ってるような物は無い」
『ちぇー、そういや詠見さんと鳴さん美人だけど他にも居るのか?』
「顔整ってる奴は結構居るぞ。イケメンも」
『けっ、イケメンか。やっぱイケメンはモテるだろうなぁ』
「イケメンの探索者は人気者になりがちだな。確か俳優とかも居たっけ」
『俳優やりながら探索者ってすげぇな』
「と言っても殆どダンジョンには潜ってないらしいがな。いつ死ぬか分からないような探索者を行ってたら仕事貰えないだろうしな」
探索者であるというだけでも自慢出来るステータスになると聞いた事がある
俳優や芸人なども探索者になっている者が何人も居る
『それもそうか、高レベル探索者ってのはモテるのか?』
「有名な奴は結構モテる印象あるな」
『お前は?』
「知らん」
知人でも無ければ関わっておらずモテているという感覚は無い
それに高レベル探索者だが俺は有名人では無い、俺の事を知らない人の方が多いだろう
……鳴や詠見、詠見は違ぇな。調もモテるし優一もモテそうだよなぁ、他の奴は恋人居たりするしな……あっ、でもあいつはあんまりモテてるって印象ねぇなファンは居るだろうが
『知らんて』
「俺は有名人では無いからな。モテたいなら頑張れ」
『おう、頑張るぜ』
そんな感じに雑談していると配信の時間が来る
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