怪しい動き
地上に向かっている途中に見覚えのある顔を見掛ける
野崎圭介、月詠の幹部であり現在、怪しい動きをしている疑いのある人物
……他に仲間は無し、1人、これは
普段の活動を知らないが1人で動いているのなら可能性がある
「まずは詠見に連絡するか」
ドローンの回線を利用して詠見に電話をする
月詠に報告しているかの確認をする
『誰や?』
「悠永だ」
『主か、何用で?』
「今日、野崎圭介はダンジョンに向かうって報告はあるか?」
『ちょっと待ってな。優一ダンジョンに向かったメンバーのリストに圭介ある?』
少し待っていると返答が来る
『圭介は報告はしてないみたいやわ。どないしたんや?』
……報告していないか
「今丁度ダンジョン内で見掛けた」
『それはほんまか?』
隠れてドローンを起動して写真を撮り詠見に写真を送る
『間違いなく圭介やな。報告無しでダンジョンにとは何をしているのやら』
「なら良いチャンスだな」
『尾行する気?』
「尾行出来る範囲までだがな。こんなチャンス次来るか分からない」
『その姿で尾行なんてバレるやろ』
尾行する為の装備を持ってきていない
この服装ではかなり目立つ
……装備は無いが今は絶好のチャンスだ
ここで逃せば次あるか分からない
尾行が成功すれば情報を得られる、情報次第では作戦が大きく進むだろう
『そもそも主は隠密得意やないやろ。辞めとき』
「それはそうだが……」
『下手な真似は作戦そのものを破綻させる』
「しかし」
『焦りは禁物、主がよく言っている言葉やろ? それはダンジョンアタック以外でも当てはまる言葉やで、考え直しな』
「……そうだな。すまん焦った」
今下手に追ってバレたら取り逃す可能性が高い
警戒されて動きを更に潜めたら見つけられなくなるかもしれない
頭を軽く叩く
……焦りか。落ち着け俺、バレる訳には行かねぇんだ
1度深呼吸して落ち着く
『圭介に関しては次の会議でちと問い詰めるわ。クランのルールの報告義務を幹部が果たしてないのは問題やからな』
「頼んだ」
通話を終えて尾行は辞めてそのまま地上に戻る
「今日は配信をするしちゃんと切り替えないとな」
施設内で飲み物を買って椅子に座り休憩をする
休憩していると探索者達がザワザワし始める
「なんだ?」
探索者達の視線が集まる場所を見ると皇さんが立っていた
……皇さんだ。万全の装備だな何かあるのか?
皇さんの周りに立派な装備を身に付けた探索者が十数人立っていた
大きな荷物を持った者もちらほら見える
「あれはもしかして遠征に行くのか?」
下の階層の安全地帯でキャンプを張り連日ダンジョンに挑む行為
遠征は長期間に渡る、大きな荷物はその為の道具を入れているのだろう
連日戦闘する為、普段よりも多い準備を整えて挑む
「おぉ、遠征か」
「威圧感すげぇな、流石最強の探索者」
「やっぱかっこいいな」
「今回は氷災の女騎士も居るのか」
「相変わらず美しい」
「そう言えば今日だったな」
「今回は最高で43階層だってさ」
「45は行かないのか?」
「45階層はレベル80、皇さんは今78で他のメンバーは70行ってない、無理だろ」
現在45階層の階層主を討伐した探索者は居ない
「周りのメンバーのレベル上げも兼ねて調査する予定って話だろ?」
「調査? 何の?」
「階層主のイレギュラーじゃないのか?」
「あぁ、そうか」
「今のところイレギュラーの情報一切出てないもんなぁ」
イレギュラー捜索は一切進展が無い
俺が倒したイレギュラー以降、1度として発見されていない
「イレギュラー発見されればいいよね」
「そうだな」
「俺らは何か情報が出るまで階層主は行かない事にしてる」
「私も」
恐らくあのメンバー全員が高レベル探索者、皇さんが所属するクランの精鋭達
下の階層でも戦える者達
……43階層か……見つかってくれればいいが
43階層と言えば俺に呪いを掛けたイレギュラーが居る階層
もし皇さんが討伐すれば呪いが切れる可能性がある
そうなるように祈る
この身体から早く戻りたい、この身体は現状不便でしかない
「体力回復したし今のうちに帰るかぁ」
皇さん達が話題になっているうちにコソコソ移動する
〜〜〜
「…………」
「どうした?」
「知人が居た気がしたので」
「知人? 探索者なら居てもおかしくないだろ?」
「そうですよね」
「話に行くか?」
「急いでは居らん、知人と話す時間はあるが」
「その必要はありません」
「そうか、では往くぞ。イレギュラーの確認も兼ねている為、階層主を倒して進む。決して油断はせずに往くぞ」
「はい!」
遠征部隊はダンジョンへ入っていく
〜〜〜
「明日もダンジョン行くか。せめて使いこなさんとならんし森エリアだと中距離攻撃してくる奴出てくんだよなぁ」
蜘蛛型の魔物は糸や毒を吐いてくる種類が居る
他にも芋虫のような見た目の魔物の中には毒を吐いてくる
接近するまでが厄介
恐らく翼羽の出番も多くなるだろう
「翼を増やせば羽の量増えるだろうが今、増える見込みがない」
翼の数が増えれば翼羽で飛ばせる量も増えると考えられる
威力は変わらずとも数が増えれば今よりは役に立つ
色々と考えながら家に戻る
「おかえりなさい」
「ただいま、めっちゃ暑い……」
「お疲れ様です。ダンジョン行ったんですか?」
カップに入れた冷えた水を渡してくる
「ありがとう」
受け取り飲む
暑さにやられた身体に冷たい水が効く
「魔法に慣れる為にちょっとな」
「あの翼の魔法ですか。充分扱えてるように見えましたが」
「
「あの羽を飛ばす魔法ですね。そんなに弱いんですか?」
鳴は生配信や動画を見ている
リザーリオレム戦で使った事もありその為、翼羽の事も知っている
「めっちゃ弱い。数と威力が低くてな。その上で使い続ければ羽を失って翼の力が減る」
「それは厄介ですね。大抵デメリットがある魔法は高い性能を持つ物ですが」
「折角の中距離攻撃魔法だが到底メインウェポンには出来ない性能」
「何か特殊な条件があるとかありませんか?」
「特殊な条件?」
「デメリットがある魔法は高い性能を持ちます。なので翼羽の性能を考えると別の扱い方が本来の使い道なのかも知れません」
「そういう物なのか」
鳴は魔法も使っている人物、魔法については俺よりも詳しい
俺はステータスの魔法欄を確認する
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