配信準備

 家に帰り昼頃に配信道具が届く

 配達員によって次々とダンボールが積まれる


「思い切って買ったが……多いな。それに重いよなこれ」


 力が下がっている今重い物を持つのはきつい

 試しに持ち上げようと試みるがビクともしない

 持ち上がる前に腕と腰が死ぬと察して辞める


 ……重い……これは狛呼んで手伝って貰うか。1人じゃ無理


「荷物多いですね。重い物は私が運びますよ」

「結構結構重いぞ?」

「この程度なら大丈夫です」


 鳴が重い物を抱えて部屋に持っていく

 鳴は今の俺よりもかなり力がある

 近接主体な事もあって力関係のスキルも保有している


「おぉ、力持ち、俺は軽い小物を運ぶとするか」


 俺は比較的軽い物を部屋に運ぶ

 何周かして運び終えた後ダンボールを開けて説明書を見て弄る


「なるなるほどほど」

「これは高いの買いましたね。机や椅子もあるんですね」

「1番高いのから3番目くらいの評価高い奴買った。机とかは無いと出来なそうだったから」


 ……机と椅子、ちょっとデカイな。まぁ椅子に座れば届くから大丈夫か


 身体に合わないサイズの物を買ってしまったようだ


「高過ぎず安過ぎずが結構丁度いいって聞きますしね」

「安すぎるのは怪しいからな」

「ですね。一先ず写真通りに置きました」

「ありがとう」

「では他に何かあったらまた呼んでください」

「分かった。助かった」


 鳴が部屋を出る

 一通り説明書に書かれていた物を終える


「さて、後は配信の設定だが……顔出しするかどうか? あぁ配信中顔を写すかどうかか」


 色々と調べて試すが分からなくなってくる


「ぐへぇ、狛は……おっ、今日仕事じゃないのか」


 狛は今ゲームをやっているようだ

 仕事では無いなら電話を掛けられる


『機材来たか?』

「来たぞ」

『昨日頼んでもうか早いな。重いのあるが部屋に運べたのか?』

「鳴に手伝って貰ってセットも終わった。後は配信のやり方なんだが」

『あぁそれなら、ちょっと待ってろ』


 狛に教えて貰いながらやる

 時々専門用語が出てきて唸る

 俺は専門用語などの知識は殆ど無い

 ダンジョン一筋であった影響が今出ている


「これで出来るのか」

『これで繋げば、よしこれで配信出来る』

「準備は出来たな。配信はいつする?」

『先に宣伝しておきたいな。だからやるなら明日の夜辺りが良いかもな』

「明日は仕事じゃないのか?」

『仕事だ。だから夜ちょっと遅くなる』

「俺はフリーだからそっちの時間に合わせるぞ」

『それなら9時頃でそれと明日は試運転がてらだから自己紹介配信にするか。質問も受け付けとくわ』

「自己紹介かぁ……ある程度答え作っとこ」


 パッと思いついた簡単な質問の答えを幾つか紙に記しておく


 ……9時か時間あるし明日ダンジョン少し潜るか


 配信の時間まで暇、ダンジョンで時間を潰そうと考える

 話題はあってもチャンネル登録者数は多くは無く再生数も生配信が多いだけで動画はその半分にも満たない


『それがいいかもな。やばい質問ならNGは出せるが』

「物によってはすぐ出す」

『良いと思うぞ』

「まぁそもそも質問来ないと思うがな」


 急な募集な事もあって質問は対して来ないだろうと考える


『そうだな。こういうのは早めに準備しておく物のイメージあるしあっても数個だと思うな』

「まぁ無かったら雑な質問作るか」

『悲しい裏話だな』

「悲しいなぁ」


 その後雑談を交わして通話を終える


「あっ、そうだ何かしら魔法関連のスキル得てねぇかな」


 ステータスを確認する

 今持っているスキルは近接系が多く魔法メインで戦う場合、限界調整などの負荷がある特殊スキル頼りになる


「……魔力、魔法関連は……無いな。確かに近接主体で今戦ってるしな」


 翼の魔法は片翼では飛行はできず攻撃方法も翼での近接攻撃

 翼羽は弱いので倒すなら近接になってしまう


「近接スキル使えるから良いんだが……高レベル相手になるとステ差が響くぅ」


 ……あれも狛の一撃が無ければ無理だったしな


「明日は上階層でひたすら翼羽使うか。進化か派生しないとマジで目潰しか牽制にしか使えない。それも割りに合ってない……」


 翌日

 朝からダンジョンに向かいすぐに2階層まで降りる

 新しい魔法や動きなどを試す場合は今のレベルよりかなり低いレベルの魔物が出る階層で試す

 何か問題があっても大事故が起きないように


「流石に今ならレベル2くらいなら倒せるよな?」


 周りを見渡して魔物を探す

 とりあえず確認の為に手頃なレベル2を探す


 ……レベル3、レベル4、2が見つからんな


「おっ、丁度良いの居た」


 翼の魔法を使い魔力を込めて羽を飛ばす

 羽は真っ直ぐ飛び魔物に深く突き刺さり倒す


「これなら倒せるか。もう少し倒して試すか」


 羽を飛ばしまくって魔物を倒す

 当たり所によっては1度では倒しきれない


「ちゃんと狙わないと倒れないか」


 近くに来た魔物は攻撃を躱して翼を叩きつける

 翼羽は接近されると弱い


 ……数もどうにか増やせねぇのかな


 休憩を挟んで魔物を探して翼羽で倒していく

 翼羽の利点は距離があっても攻撃が出来ると言う所、見つけて直ぐに攻撃が出来る


「近くに居るな……あっ、羽枯れたか」


 翼を消してから再び魔法を発動させる


「これが厄介だな」


 翼の魔法を再発動させれば羽も復活するがその分の魔力消費、解除と再発動の時間

 これが一番割に合っていない


「結構魔力減ったな」


 魔力の消費を考えずに使う

 派生、進化の条件は分かっていないが数をこなす事は共通条件と言われている


「翼羽で自分よりレベル高い魔物とかだったらキツいが……」


 魔力が尽きるまで使いまくる

 羽を飛ばして羽が切れたら翼の魔法を再発動させて飛ばす

 レベル関係なく倒していく

 3階層に進んだ後も翼羽で魔物を倒して進む

 そして4階層の魔物を倒していると魔力が尽きる


 ……想像より持ったな。チョーカーと服のお陰か。チョーカーの命醒刻印試すかな。試すならもうちょい強い奴で試したいな


 翼の魔法を使える程度に魔力が回復するまで休憩する


「魔力回復薬買っとかないとな。これからは魔力切れる事多いだろうし」


 俺も狛も魔法を使う

 長時間の戦闘になれば魔力が切れかねない

 何個か持っているが元々俺は魔力をほぼ使わない探索者、他の探索者との協力時用の予備分しか待っていない


「もう帰るかぁ」


 休憩を終えて地上を目指す

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