ドローン

 ダンジョンの前の施設に行くと探索者の中の何人かの視線が集まる


 ……うん? なんだ?


「今話題の2人だ」


 俺は仮面を付けていて狛は顔を明かしている

 配信を見ている人なら分かるだろう


「あぁ新しい配信者だっけ? 確かリザーベドルをレベル2の時点で討伐したり既に複数のスキルを保有している噂があったり……」

「そそ」

「とんでもない探索者」

「普段からタッグで活動してるのか?」

「カップルチャンネルじゃない? まぁ本人達はその辺に触れてないけど」

「異性コンビイコールカップルって認識は辞めた方がいいぞ。そもそも年齢差かなり有りそうじゃん」

「ロリコンかもしれない」

「憶測で話す物じゃないぞ」

「2人ともパーティに誘いたいな」

「勧誘はあり、玉砕覚悟でやってみようかな」

「配信者だし断られると思うが」

「2人で進むのは難しい、見た感じヒーラーも後衛も居ないようだし」

「ならワンチャン行けるか」

「なら俺達が」

「横取りすんな」

「私達が先」

「俺達が先にだ」

「いえ、あたし達よ」


 何やら揉めている間に距離を取る、出来る限り面倒事は避けたい


 ……何してんだあれは、まぁ良い受付行くか


 受付に行って行く予定の階層を書きに行く

 小さい紙に5階層から9階層までと書く


「9階層? 10じゃないのか?」

「10階層はまだ行かない。あの階層は特殊だからな」


 狛が鎧を着てからダンジョンに入る

 真っ直ぐ次の階層のゲートへ向かう


「5階層行ってからカメラ起動でいいよな?」

「その前にリザーベドルと戦闘にでもならない限りはしなくていいと思う。バッテリーも使うしな」

「動画には使えるだろうが会いたくは無い」


 魔物に注意しながら最短距離で行く

 5階層までは階層の見た目は余り変わらない

 問題無く5階層に着く


「レベル5狙うでいいんだよな?」


 戦う前に狛が確認を取る

 俺は頷く


「あぁ、今回はレベル4以下との戦闘は出来る限り控える。倒すならレベルを6に上げてから数を倒す」

「OK、連携?」

「あぁ連携だ。カメラ起動するぞ」

「おっ、ドローン出番か」


 2個起動してドローンにしっかり固定して飛ばす

 ドローンも配信用の道具でネットで購入した

 ドローンは高く狛は購入をしていなかった

 リザーベドルの生配信や今までの動画はバックにくっつけて放置していたがこれがあれば色んな角度で取れる、自動で安全圏から撮ってくれる

 今までの動画は基本定点で見辛いというコメントがあった


 ……複数必要なのは色んな角度で撮る必要があるからか


 リザーベドル戦は運良くしっかりと戦闘の姿が写っていた


 レベル5の魔物を探して戦闘をする

 連携の練習をする

 2人で戦うのは1人で戦うのとは違う

 最低でもどちらかは味方の位置と行動を把握して戦わないとならず戦闘において互いの攻撃が当たらないように気を付けないとならない

 もし戦闘中に当たれば負傷や体勢を崩す事になりそれが原因で敗北や死亡も有り得る


 狛が魔物の前に出て攻撃を仕掛ける

 四足の魔物はハンマーによる攻撃を躱し意識が狛に向く

 その隙に死角に入り待機する

 ハンマーで噛み付きを受けた瞬間に飛び出して翼で首を切り落とす


「ナイス……まだ居るな」


 狛が気づく


「1体か。なら殺るぞ」

「さっきと同じで行こう」


 狛が引き付けて俺が仕留める

 耐久は鎧を身に付けている狛の方が高い

 攻撃力も狛が上だが縮地による接近と翼による攻撃はハンマーの攻撃より早い

 倒し終えて周りを見渡す


「よしもう居ないな」

「カメラ確認するか」

「定点の時と違ってちゃんと撮れてると思うが」

「いや付け忘れてるとか」

「流石に……してない……と思う」


 カメラを確認するとバッチリ撮れている

 付け忘れているなんて事がなく一安心する


 ……偶にやらかすからなぁ俺は


「ちゃんと撮れてる」

「このドローン魔物の攻撃受けたらぶっ壊れねぇか?」

「……まぁ強い攻撃には耐えれないと思う。結構配信者カメラ壊れたりしてるから」

「そうなると出費が増えるな」

「壊れるペースにもよるけどかなり増えると思う」


 カメラも安くは無い

 そして壊れるなら恐らくドローンから壊れる


「一応危機回避の機能があるって見たしその危機回避の機能を信じるしかないな」


 ドローンを飛ばしながら戦闘をする

 レベル5の魔物を狙い連携の練習をしながら倒していく

 そしてレベルが6に上がる


「レベル上がったな」

「魔法覚えなかった……あっ、もう暫く連携の練習したいんだけど」

「その予定だ。だが先に休憩だ。安全地帯行くぞ」

「了解」


 5階層には安全地帯がある

 その為距離はあるが魔物に襲われない安全地帯に向かう

 その道中魔物が襲いかかってきたら迎撃する

 攻撃を躱して翼を叩きつける

 突っ込んできた魔物に真正面からハンマーを振るい吹き飛ばす


「3体か」

「俺が引きつける」

「3体はきついだろ」

「少しキツいが1人で戦う訳じゃない。抑え込むから頼んだぞ」

「……分かった」


 狛が3体の魔物を引きつける

 ハンマーを振るい魔物の攻撃を避けて蹴りを叩き込む

 魔物の死角に入り蹴りで吹き飛ばされた魔物に翼を突き刺して先に倒す


 ……あと2体


 すぐに2体の魔物を見る

 狛は1体に蹴りを入れてもう1体の攻撃を受けてからハンマーで反撃して仕留める

 俺はすぐに蹴り飛ばされた魔物を復帰する前に仕留める


「蹴り強いな」

「仮ステータスが力に振られてるっぽいんだよな」

「まぁ戦闘スタイルからしてそうか」


 魔物を倒し進む

 そして平原の中に不自然にある柵を見つける

 柵に囲まれたエリアが5階層の安全地帯


「誰も居ないな」


 人は誰も居ない


「そうだな」


 安全地帯に入り座ってドローンを回収して電源を切る

 飲み物を飲み休憩をする

 狛は兜を外して地面に置く


「あちぃ」

「長時間はきついか?」

「きついな、最悪別の装備がいいかもしれん。今までみたいに攻撃を敢えて受けるがその場合、出来なくなるが」

「他にも防具はあるし使ってみろ。武器もハンマー以外も使ってみるといい」

「そうするか」


 魔物が近くを通るが魔物はそのまま素通りして去っていく

 安全地帯に入ってこない


「近くまで来てたな」

「偶に来るんだよな。本当に偶に、それに別に入ってこないから気にしなくていい」


 ……まぁ想定外の出来事は起きる可能性はあるがそんな事言ったらキリが無い、そん時対応するしかない


 暫く休憩をした後、連携の練習の為に数体と戦い休憩してから6階層へ向かう

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る