1週間後

 1週間後、狛の休みの日にダンジョンへ向かう


「虎を見つけたら即逃げるだ」

「わかった」


 ダンジョンに入る前に釘を刺しておく

 そして2階層へ向かう


 ……レベル2の魔物を探さないとな


 レベル5のリザーベドルを倒してもレベルは上がらなかった

 上がってもおかしくないと思っていたが確認してもレベル2だった


「あの魔物レベル2だな」

「よく分かったな」

「観察ってスキルが手に入ったんだよ」


 観察は自分と同等のレベルまでの魔物の情報が分かるスキル

 取得方法は曖昧だが殆どの探索者が持っているスキルで俺はその観察の上のスキルを持つ


「虎倒した後、レベルは上がったか?」

「いや上がってないな」

「レベル5、3も上の相手倒して1も上がらないか。あいつは経験値が少ないとか?」

「あんな強いのに少ないとか最悪だな」

「憶測だけどな。それより倒すぞ」

「2体居るな」

「短剣の能力で分断してから各個撃破かっこげきは

「了解」

「弾け!」


 短剣の能力で突風を起こし分断する

 狛が先に突っ込みハンマーを振るう

 狛に魔物の意識が向いている間に縮地で接近して翼を振るう

 回避される


 ……不意を付いたんだが


 二足の獣型の魔物が手を振るって襲いかかる

 翼で攻撃を防ぎ力を入れて大きく弾く

 体勢を崩した魔物に翼を突き立て倒す

 そしてレベルが上がった


「狛は」


 狛は既に倒し終えていた


 ……早いな


「レベル上がったか?」

「あぁ、レベル3になったぞ。悠永もか」

「あぁ」


 ステータスを見てすぐに振り分ける


 ……一体分足りなかった感じか?


 ギリギリレベルが上がるのに足りなかっただけかと思う


「魔法は覚えたか?」

「いや覚えてないな。もう覚える物なのか?」

「早い人はレベル3くらいで覚えるらしい。俺はレベル5で覚えた」


 魔法の覚えるレベルも人によって変わる


 ……狛の魔法はなんだろうな。案外治癒系とか?


 最初に覚える魔法は在り来りな魔法を覚える可能性が高いが稀に俺のように特殊な魔法を覚えることもある


「レベル2の魔物倒すか?」

「レベル2を倒しつつレベル3が1体だけ居たら狙おう」

「了解、俺が引き付ける」

「分かった」


 レベル2の魔物を倒しながらレベル3の魔物を探す

 翼の扱いにも少し慣れて少し余裕を持って倒せるようになってきた


 ……見つかるが近くに2体以上居るな


 孤立している魔物を探すが見つからない


「居ないな」

「1体ずつ倒すならまぁ出来るとは思うが」

「孤立してる奴探そう。居なかったら仕方ない」

「一先ず休憩するか」


 周りを見渡して魔物が居ない事を確認した後座りバックから飲み物を出して狛に手渡す


 休憩を終えてレベル2の魔物を倒していく

 慣れてきた狛は同時に2体を相手取っても余裕で倒す

 ハンマーで薙ぎ払う


 ……ステータスが力に特化しているのだとしてもレベル3でここまで早くなるか?


 レベル以外でも成長している

 ダンジョン内でも剣を振り続けるや戦い続ける事で力がつく

 その為、長くダンジョンに潜る探索者は自然と鍛え上げられた肉体を持つ事が多い


 戦いを見てレベル3と戦えると踏み単独で戦わせる

 その間に俺もレベル3の魔物と戦闘を行い勝利する

 狛は余裕を持って倒す


「成長早過ぎねぇか」


 ……成長が早い事は悪くないが


 それから数日に一度ダンジョンに潜りレベル上げを行う

 次々と魔物を倒してレベルを上げていく

 今は5階層まで活動域を広げ俺と狛の今のレベルは5になった

 レベルが上がる事にレベルは上がりづらくなる

 リザーベドルと同じレベル

 狛はまだ魔法を覚えていない


 ダンジョンから帰ってきたらカメラで撮った戦闘シーンを狛が編集して動画を投稿する

 強い武器と防具を身に付けてどんどん急成長していく男と経験豊富で仮面を付けた翼の生えた少女の初心者タッグは話題になった

 最初の生配信でレベル2の状態でリザーベドルの討伐に成功した事も理由に動画の再生数が増えていく


「再生数増えたなぁ」

「コメントもちらほら書かれてる」

「なになに、男の方は装備が強いだけじゃんと装備に頼り過ぎと……成程」

「アンチコメントそれも俺のだけ読み上げるな」


 ……武器の性能に頼る事は別に悪い事じゃない


 強い探索者は寧ろ優秀な魔導具や防具武器を装備している

 強い武器に頼らないのは相当の自信家か命知らずがやる事


「俺に関するアンチコメントは?」

「これだな。初心者のくせに偉そうだってさ」

「……まぁ初心者には見えるよな」


 レベルが1桁のベテランなんて本来は居ない

 殆どの人からすれば偉そうにしている初心者にしか見えない

 実際は高レベル探索者など言っても殆どの人は信じられないだろう


「その実、レベル80の探索者とか意味分からんからな」

「事実だがな。呪いとはそう言う物だ、ましてや見えないとなるとな」

「他のコメントは」

「生配信の方に探索者からっぽいコメントがあるぞ」


『リザーベドルの攻撃受け流してやがる。どうなってんだ』

『たった2人で討伐するか』

『なにあの翼、初めて見る魔法』

『片翼の魔法? 興味深いな』

『くっそリアタイ見逃した。面白いことしてんじゃねぇか』

『ドローンは無いのかな? 定点だと戦闘見辛い』

『1人戦闘の時、翼の少女の方は戦闘に合わせてるから見易いけど男性の方は定点だから場所によっては分かりづらい』

『初見であの攻撃受け流せるっけ』

『他で聞いた事はねぇな。レベル高いなら行けるだろうが』

『あれスキル使ってるくね? レベル2で習得してるのか?』

『観察ならともかく戦闘のスキルをレベル2で覚えるのはほぼ無いだろ』

『だがスキルのように見えるが』


 コメント欄で会話もしている

 リザーベドルはレベル5の中では攻撃力が高く速度も早い

 初心者は受け流すのは至難の業


「一部の人はスキル使ってる事にも気づいてるな。まぁスキル使う時に声出してたし」

「声は乗ってないぞ?」

「乗ってないのか」

「その設定がされてなかった。初期設定である筈だが」


 ……適当にやったから間違えて外したか?


 配信を始めた時焦っていた

 その際に間違えて音声オフにしていたのかもしれない


「なら普通に気づいたって事か」

「分かるものなのか?」

「分かる人は分かるってイメージだな。俺も近接系のスキルなら分かる事がある」

「て事はこの人達は前衛の探索者?」

「かもな」


 コメントの1つを見る

 リザーベドルとの再戦希望と書いてある


「再戦するか?」

「レベル5になったし2人でなら戦っても問題は無いとは思うがそもそもリザーベドルは余り姿を現さない魔物だ。探すだけ時間の無駄、それよりも確実にレベルを上げていく」

「見つけたら戦うって事か」

「状況次第でもあるが戦う事も視野に入れておく。最もレベル6になったら次の階層へ行くから長居をする気は無いがな」


 体力が減っている状態で遭遇したら逃げる

 同レベルになったからと言っても負ける恐れはある


「6階からはレベルが上がるんだよな?」

「6階層から10階層まではレベル6から10まで」

「リザーベドルみたいなのは居るのか?」

「居ないはずだ」

「それは助かるな」

「だがレベルが高くなる分一体一体の強さも上がっている。油断はならない」

「そうだな、慣れてきた時がってよく言うしな」

「あぁ探索者も特に慣れてきた期間の死者数が多い」


 初心者は場に慣れていない為、慎重に動く、それ故に危機ですぐに逃げる選択ができる

 ベテランは状況を把握し的確に行動が取れる

 慣れてきた時、それは最も油断する時

 もっとレベルを上げれる、強い魔物と戦える、少し数が増えても問題ない

 理由は様々、しかし、それが仇となり死ぬ


 2日後俺達は再びダンジョンに潜る

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