最初の苦戦
「2階層はどうやって行くんだ? ゲートがあるのか?」
「あぁ、ゲートがある」
「魔物が待ち構えてたりは……」
「無い、一定範囲は魔物が生息しない。最も発見されればゲート付近に居ても襲われる」
一定範囲に魔物は生息しない為、昔は安全地帯だと言われていた
その結果、安全地帯と勘違いして襲われる探索者が後を絶たなかった為、定期的に探索者全体に注意喚起がされている
「それは注意が要るな」
「ダンジョンは危険だらけ、注意しないでいい場所なんてほぼ無い」
「その言い方だとあるのか?」
「ダンジョンの中には稀に魔物が現れない近寄らない安全地帯がある。見つけたら覚えておくといざと言う時に役に立つ」
ダンジョンに存在する安全地帯、魔物が一切近寄らない特殊なエリア
何泊もする際は良く利用する、警戒せずに身体を休められる
5階層に1つ存在する
「ほほう、安全地帯か」
「ゲートが見えてきたぞ。あれだ」
見えてきたゲートを指を差す
ダンジョンの入口と同じ形をしている
「入口と同じだ」
「ここから先が2階層、見た目は変わらないが魔物のレベルが変わるから気をつけろよ」
一緒にゲートを通る、景色はほぼ変わらない
しかし、魔物の強さは変わる
……ここに出てくるのはレベル2〜5、油断は出来ない。しっかり戦う魔物は決めないとな
「1階層と同じ見た目だな。空があるのはどういう事なんだ?」
空を見上げる
1階層と同じで上は空が広がっている
2階層、本来なら空なんてあるはずが無い
「知らん。もっと下の階層でも空がある階層があるからそう言う物なのだろう」
「謎だな」
「あぁ、謎だ」
一探索者に過ぎない俺に言われても知らんとしか答えられない
それよりも別の質問に答えておく
レベル上げの為に2階層に来た理由
1階層ではレベル2以上には上がらないと言った仕組みの事を
「2階層でレベル4まで上げる予定だがレベル上げの仕組みについて教える」
「1階層ではレベルが3以上には上がらないって奴か」
「言ったのを覚えていたか」
「覚えてはいたけどゲームだと大体最初の場所でレベル上げたりするからさ。その感覚が残ってて」
「ダンジョンの中では同レベル以上の魔物との戦闘で勝利しないとレベルは上がらない」
「うげ、何その厄介なルール」
「確かに厄介だ。探索者の平均レベルが低いのもこれが原因だ」
「レベルを上げるには危険を犯さないと行けないとなるとある程度のレベルで足踏みする人は多いよね」
レベル上げに必要な条件が同レベル以上の魔物という事はレベルの低い弱い魔物と違い危険が伴う
それ故にレベルが高い魔物との戦闘を避けそこからレベルが一切上がらないという事がよくある
「勿論自分以上、レベル差があればあるほど倒した時に得られる経験値は多い」
「経験値って見れるの?」
「いや?」
「ならなんで多いって?」
「数年前に俺の身に一度起きた現象だ。その時の俺のレベルは40で魔物のレベルは45、その魔物を討伐した時俺のレベルは43に上がった」
これはあくまで経験からの推測に過ぎない
実際は違う可能性は全然ある
「一気に上がったのか。ならレベルを上げるなら高レベルを狙うべき?」
「勝てるならな。ゲームのようにレベル差で攻撃が通らないなどは無いがステータスの差でダメージが入らないなんて事は良くある」
「大人しく同レベルと戦うわ」
「それが良い」
魔物を探してレベル2の魔物と1対1で戦わせる
戦闘音を聞いて1体の魔物が近くに現れる
四足の獣型の魔物
……こいつは確かレベル3の魔物か
翼を構えて戦う
攻撃を翼で防ぎ弾こうとするが押される
相手の方が力のステータスが高い、ジリジリと押し込まれる
短剣を抜いて突風を起こす
しかし、避けられる
当たれば倒せただろう
「レベル1が余裕だったからどうにかなると思ったんだが……甘く見過ぎたな」
翼で応戦する
翼を振るうが軽く掠る程度、致命傷には程遠い
……捕食者の視覚
スキルを発動させる
目に関するスキル、魔物の動きを捉えて待ち構える
真っ直ぐ襲いかかってくる魔物の攻撃をギリギリで躱す
爪が僅かに当たり頬に浅い切り傷が出来る
避け切れなかった事に一瞬驚くがすぐに切り替える
攻撃が避け切れなかった事よりも先に魔物を倒す方が優先
魔物に短剣を突き刺して能力を使う
「弾け!」
突風が内部から魔物を貫き倒す
「はぁはぁ」
息を切らす
前の俺なら余裕で回避が出来た
なのに今俺は攻撃を避け切れなかった
……見えていた……なら身体能力の問題か
見えていても身体が追い付かなかったのが原因
「倒したぞ」
「そうか」
「大丈夫か?」
俺が疲れている事に気付いた狛が聞いてくる
……まだ2階層来たばっかりなんだがな……
体力の限界を感じる
狛はまだ体力があるが初心者という事もあって今日は引き上げるのも有りだろう
「問題無い。もう一体倒して終わりにする」
「了解」
レベル2の魔物を探し倒す
そして1階層に戻る
魔物との戦闘を避けて入口に向かうが見つかり襲われる
翼で攻撃を防ぐ
狛がハンマーで魔物を吹き飛ばし倒す
俺は体勢を崩して尻もちをつく
「抱えるか?」
「必要ない」
狛が抱えると魔物に襲われた時狛も俺も攻撃が出来ない
そうなれば頑丈な鎧を付けている狛であっても危険になる、それと抱えられたくない
魔物を避けながらダンジョンの入口のゲートに入る
「鎧外してこい……椅子で休んでくる」
「分かった」
一番近くにあった椅子に座る
水を飲み休み体力を回復させる
……レベルを上げないとダンジョン内で活動がキツイな
10分後に狛が鎧とハンマーをバックに入れて戻ってくる
「そんじゃ帰るぞ。抱えるか?」
「車までなら大丈夫だ」
「了解」
車に乗って狛のマンションに戻る
部屋に帰ってからすぐにソファーに寝転がる
……足が痛いな。ここまで体力が無いとは
「次はいつ行く? 明日は仕事終わりに時間あるが」
狛は仕事をしている
俺のように探索者のみとは違い長期のダンジョン潜りや連日戦闘は難しい
「ダンジョンは基本連日行かない方がいい」
「連日ダンジョン潜り続けてたお前が言うか」
「その俺が言うんだ。疲れてる時疲れを取らずに挑めばその分きつい戦いになりかねん」
疲れは寝れば取れるなんて単純な物では無い
物によっては次の日以降にも続く
ダンジョンに潜る探索者も一度挑んだら1日2日休みを挟む
「シャワー浴びる」
「行ってらー」
シャワーを浴び買った下着と寝間着を身につける
……明日1階層で練習するか。流石に弱過ぎる
再びソファーに寝転がる
翼の魔法は今の段階でもかなり優秀と思える
攻防一体で魔物にダメージも与えられる
しかし、使いこなせてはいない
使いこなさないとダンジョンで戦うのは厳しいのは確実と言える
俺はボーとソファーに寝転がりながら考える
そして狛もまたダンジョンについて考えていた
翌日疲れで昼頃に起きた俺は食事を取り支度をしてダンジョンへ向かう
疲れたので一先ずダンジョン前の施設で休み受付を通ってゲートに入る
1階層で1対1の訓練をする為丁度いい魔物を探し翼をメインに戦闘をする
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます