思考に配信が浮かぶ

 ゴスロリ風の服はバックに仕舞う


「俺の方は置いといてなんか良いのあったか?」

「これ良さそう」


 全身鎧型の防具とハンマー型の武器

 全身鎧型は動きづらくなる為、俺は使わなかったが優秀な防具


「その2つか」

「これも補正入ったりするのか?」

「するぞ。良いチョイスだ。鎧の方は装着者及び鎧に効果のある自動治癒が付いてる」


 装着者に影響のある防具

 ダンジョン製でも珍しい

 その上、この鎧はその中でも希少な治癒の力を持っている

 防具の性能も高い


「治癒? あの本みたいなやつか?」

「あれは所有者しょゆうしゃが使用を宣言しないと使えないがそれは装着者に自動的に発動する」

「自動か! それは強いな」

「最も効果はそこまで高くは無い。致命傷ちめいしょうを受ければ治癒の前に死ぬ可能性があるし即死はまず無理だ。だが多少の傷ならすぐ完治するしある程度のダメージなら時間をかければ治る」

「いやいや、それだけでも破格の性能だろ。いいな」

「他にも筋力に補正が入る。つまり装着時は普段より力が出せる。そのハンマーは腕力と握力に補正が入って尚且つ魔力を消費する事で瞬間的にだが推進力すいしんりょくを得れる。その推進力を利用した一撃はかなりの破壊力を持つぞ」


 ……最も補正が入っても結構なレベルの時でも振り回すのは大変だったが元々身体能力の高い狛なら問題は無いな


 入手した時に使った事があるが重く振り回すのは大変な上、推進力に至っては制御が出来なかった

 だいぶじゃじゃ馬な武器だが使いこなせれば強いのは間違いない


「もしもの時用に短剣たんけん系も持っとけ」


 短剣やナイフが並んでいる棚を見る

 色々な形や長さがありそれぞれ違う能力を持っている


 ……護身ごしん用の武器なら、扱いづらい能力や機能は要らない、魔力は消費しない方がいいか。となると威力は抑え目だがこれが良いな


 条件を決めて探す

 棚の中から刃が赤く炎を思わせる短剣を取り出す

 傷などがないか確認してから狛に渡す


「これは? なんか炎出せそう」


 興味ありげに短剣を見る


「見た目通り炎を放てる。威力は低いが魔力を消費しない。緊急時用の武器として使える」


 ハンマー型の武器のように魔力を消費して能力を使う物が多いが威力が低い代わりに魔力を消費しない物も中にはある


「優秀な武器多いなぁ」

「ダンジョン製は優秀なのが多い」

「お前は持たなくていいのか?」

「俺も持つよ。身体能力低くてもスキルが使えるから多少は何とかできるとは思う」

「そっか」

「全部入れるぞ」


 バックの中に一先ず全部詰める

 かなりの量があり武器や防具は嵩張るかさばる、一部は置いて行くことになると思っていたので驚く


「あの量全部入るのか」

「正直一部は入らないと思ってたが、しかし、全部置ける場所あるか?」

「2個使ってない部屋があるからその部屋に置いとけばいい」

「分かった使わせて貰う」

「代わりに貸してくれよ〜」

「良いぞ」


 狛の家に戻る

 偶に泊まる時に使っていた布団を部屋に敷く


 ……これで寝れるな。汗かいたな


 結構歩いた事と体力が減った事で疲れ汗をかいている


「シャワー浴びたい」

「先良いぞ」

「サンキュー」


 俺は服を脱ぐ

 身体を見ないように視線を動かす

 自分の体とはいえ異性の体、見るのには抵抗がある

 見ないようにしてシャワーを浴びる

 冷たいシャワーに身を震わせる


「さて、ちゃんと考えないとな」


 シャワーを浴びながら思考する


 今現在のダンジョンに潜る目的は呪いをかけた魔物を倒して呪いを解く事

 しかし、あの魔物はイレギュラーな存在

 今まであの階層で見た事の無い魔物、その上同時に2個の呪いを掛けてくる相手


 ……あの階層まで行くにはかなりレベルを上げないときつい、ましてや今は……


 呪いの効果で身体能力が下がっている

 レベルはまた上げ直す事が出来るが身体能力低下の呪いはどうにも出来ない

 装備で多少誤魔化ごかませる程度

 レベルも上げ直せばいいと言ってもあのレベルまでは早くとも数年は掛かると考えられる


「時間がかかる、その間にこの呪いがどう影響を及ぼすか分からない」


 性別が変わるだけでも厄介ではあるが呪いの効果がそれだけとは限らない

 時間を掛ければその分呪いの効果が身体を精神を蝕むむしばむ可能性がある

 2つの呪いを掛けたのは呪いの進行が円滑に進むようにする為かもしれない


「やはり情報を集めたいな……深い階層以外でも出現する可能性がある。その為に情報収集……」


 何か良い手が無いか考える

 ソロ探索者では情報を余り多く得られない

 その上、探索者の知り合いは居るが探索者が集うクランには参加していない

 クラン外の人間はレアな情報を得るのが難しい

 クランに入ろうにもレベル1ではどこも入れてはくれない


「……確か配信ってのがあったな」


 1つ最近話題のダンジョン配信と言う物を思い出す

 ダンジョン内での状況を配信する行為

 探索系配信者たんさくけいはいしんしゃと言われていてかなりの人気がある

 基本的に強い程、人気がある

 そして配信者同士でも交流があったり人気になればクランに勧誘される事もある


「あれをやって見るのもいいな」


 レベルは1から再スタート、ステータスも呪いで半減しているが経験と魔法がある


「ただ正体は隠したいな」


 ネットで素顔を出すのは危険が伴う


 ……確か認識阻害にんしきそがいの仮面あるな。あれを使うか


 シャワーを浴び終えて脱衣所に移動する

 そして硬直する

 今重要な事を思い出したからである

 それは服の問題


 ……服どうすりゃいいんだこれ……借りるにしてもサイズ合わないし……仕方ない


 先ほどまで着ていた服を着る

 服を着る際にチラチラ身体が見えてしまう

 意識的に視線を外そうとするが見ないと着れない

 諦めて出来るだけ素早く着る

 服がサイズを勝手に合わせてくれる


 ……服買わないとな……


 脱衣所を出る


「おっ、出たか」


 扉の開いた音に気付いた狛の声が聞こえる

 台所から聞こえ台所に行く


「あっ、そういや服無いか」

「明日買いに行く」

「それがいいな。風呂入ってくるわ」


 狛は風呂場に向かう

 暇なのでテレビを付けてニュースを見て狛を待つ

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